DOREAM BASEBALL ~ラブライブ~
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夏合宿
「行くよ!!絵里ちゃん!!」
「いいわよ!!」
バットを構えノックしようとしている穂乃果。右手でトスを上げた彼女はショートを守る絵里に向かって打とうとする。
スカッ
だが見事に空振りしてしまい、思わず赤面する。守っている者たちも唖然として立ち尽くしており、サードを守るにこの笑い声だけが響いていた。
「穂乃果ちゃん、うち代わるわ」
「お願い!!」
いたたまれなくなってノッカーを希が代わる。穂乃果はそこから防具を着けに行きすぐさま戻ってくる。
「はい!!次セカンド!!」
「任せるニャ!!」
緩いゴロを凛の正面に打つ。彼女はそれに突進して捕球体勢に入ったが・・・
「ニャ?」
グラブの下を通りすぎトンネルしてしまった。
「凛ちゃん・・・」
「左右は強いんやけど前後がね・・・」
苦手分野を克服していこうとグラウンドの取れたこの日はノックを中心に行っているのだが、どうしても苦手分野とあってうまくいかない。
「先生がいないからってだらけないで!!あと1時間しかないんだから!!」
今は丁度夏休みに入った時期。そうなるとどうしても他のクラブチームやらがグラウンドを確保するためなかなか練習場所を確保することができない。
わずかな時間しかない中、彼女たちは必死に練習に取り組んでいくが、満足行く練習には程遠いものだった。
「う~ん・・・どうすればいいのかな・・・」
この日は剛が仕事で練習に来れなかったため簡単なミーティングを行い着替えて解散。その道中、寄り道したファストフード店で穂乃果はポテトを頬張りながら頭を悩ませていた。
「そんな顔しながら食べたら消化に悪いですよ」
「でもでも!!これって大問題だよ!?」
バンッとテーブルを叩き立ち上がる。その音に海未たちだけでなく周りのお客も反応しており、視線に気付いた穂乃果は赤面しながら椅子に座る。
「だってグラウンドはなかなか取れないし学校じゃ練習なんかほとんどできないし・・・」
「そうだねぇ、せめてもう少しグラウンドの時間を確保できてればよかったんだけど・・・」
夏休みとなると早くから予約しているチームが多々あり、むしろわずかな時間でも借りられただけマシとさえ思えてしまう。だがただでさえ経験値の低い音ノ木坂。ボールにできるだけ触れる時間を作りたいのも事実だ。
「あ!!そうだ!!」
「「「「「え?」」」」」
何か名案が閃いたようでパッと笑顔になる穂乃果とそれを不思議そうな目で見ている仲間たち。笑顔の少女が視線を向けたのは、赤色の髪をした少女。
「真姫ちゃんちなら別荘とかあるんじゃない?」
「ヴェェェ?」
白羽の矢が立ったのは大病院の娘である真姫。穂乃果は彼女の隣にやって来ると頬擦りしながら懇願する。
「真姫ちゃんお願い!!」
「ちょっと待って!!なんでそうなるのよ!!」
引き剥がそうとする真姫となんとかしてもらおうと食い付く穂乃果。だがその様子を見ていた絵里が穂乃果を摘まんで引き剥がした。
「ダメよ穂乃果。今は夏休みなんだからどこも使ってるでしょうし」
夏休みに入ったばかりのこの時期、真姫の親戚やらが別荘を使うことなど大いに想像できる。そう言われた穂乃果はそっかと悲しそうに項垂れる。それを見た本当は心優しい真姫は、大きくタメ息を付く。
「1ヶ所使ってない別荘があるはずだから、そこを使えるか聞いてみるわ」
「ホント!?」
その言葉を聞いて嬉しそうに笑顔を見せた穂乃果はまたしても真姫に飛び付く。そこでお店に迷惑がかかりそうだったので注意して席に座らせ今後のことを話す。
「でも合宿となると他にも問題があるわ。剛さんにも確認しなきゃいけないし、グラウンドだって借りなきゃいけないのよ」
「そうですね。でも、大会までやりたいことはたくさんありますからね。やれるならやれた方がいいとは思いますが」
真剣な表情でハナシアイヲ始める絵里と海未。他のメンバーもそれっぽく話し合いに参加してみるが、イマイチ状況が理解できていないようで会話に参加するまでには至っていない。
「真姫の別荘、さすがにグラウンドまではないわよね?]
「あるわけないでしょ。どこのメジャーリーガーよ」
野球を専門的にやる人間ならいいが一般の人がグラウンドを家のそばに備えているはずもなく、どうしようかと頭を悩ませていると、凛が窓の外にある人物を見つける。
「あれ?あれ剛さんじゃないかニャ?」
「「「「「え?」」」」」
指差した方向を見るとそこには年上と思われる女性と仲睦まじく歩いている監督の姿があった。
「隣の人誰かな?」
「キレイな人だねぇ」
のんびりとした空気でその様子を見つめている花陽とことり。しかし、それを見た瞬間ガタッと立ち上がる音が聞こえる。
「ママ!?」
「「「「「え!?」」」」」
窓の外にいる女性を見て唖然としている真姫。彼女の驚きの声を聞いた彼女たちはひっくりして声を上げていた。
「あの人真姫のお母さん!?」
「なんで剛っちと一緒にいるんや!?」
「不倫だ!!そんな剛さんが!?」
パニックからの大騒ぎ。ことの真相を確かめるために彼女たちはゴミを捨てて外に出ると、2人は手を振りお別れしているところだった。
「さて、あとはあいつらに連絡して――――」
「剛さん!!」
どこかに電話しようとした彼に全速力で突っ込んでくる少女たち。剛はそれに気付いて振り返ると、彼女たちの質問攻めに合うことになる。
「剛さん真姫ちゃんのお母さんと不倫してるんですか!?」
「ウソですよね!?ウソだと言ってください!!」
「学校の先生が生徒のお母さんとなんて・・・」
慌てた者や悲しそうな顔をしている者、それを見ていた剛は何のことかわからず説明を求めていた。
「アハハハハ!!」
場所を移し先程のファストフード店に戻ってきた面々。そこで彼女たちの勘違いを聞いた剛は腹を抱えて大笑いしていた。
「笑いすぎですよ、剛さん」
「いやぁ、すまんすまん。あまりにも面白いこと言うから・・・」
目元を拭い呼吸を落ち着かせる。事の真相を話そうとしたがまた笑いが込み上げてきたのでもう一度間を置いてから話を始めた。
「お前たちがよかったら合宿でもやってみようかと思ってな。んで、借りれそうな球場の近くに泊まれるところが真姫の家の別荘しかなかったからちょっとどうだろうかと聞いてみたんだよ」
「え!?そうなんですか!?」
監督も自分たちと同じことを考えていたと知りちょっと嬉しくなる。真姫のお母さんに面識が会ったことは驚きだが、そこは対して重要じゃないので保留。
「それで!?どうだったの!?」
「穂乃果、タメ口になってますよ」
失礼な言動は完全にスルーして不敵な笑みを浮かべる剛。その顔を見る少女たちはゴクリと唾を飲む。
「偶然空いてるそうなので、借りれることになりました~」
軽い口調でそう言うと、選手たちは大喜び。ただ店内なのですぐさま絵里たちから注意が入り静まると、今後のことを話し始める。
「それで?どこでやるんですか?」
「球場ってことはこの辺だと借りれないと思うけど・・・」
不安そうなにこと花陽。剛はポケットをガサガサと漁ると1枚の地図を出す。
「俺たちが今回合宿を張るのは・・・
沖縄だ」
「「「「「沖縄!?」」」」」
全く予想だにしなかった合宿地。この合宿で彼女たちはどんなことを学ぶのか、ハラハラとドキドキで一杯になっていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
ここからは合宿回にしていこうと思います。
それと1話の文字数が最近少ないですが一応別作品の息抜き的な感じなのでゆるゆるでやらせていこうと思います。
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