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レーヴァティン

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第二十四話 都その十二

「やはりまずはです」
「知ることだな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「ですから」
「ではだ」
「四人になってからも」
 即ち三人目が加わってもだ。
「情報を集めて」
「そうしていってです」
「進んでいくべきだな」
「そうすべきかと」
「そうだな、そしてだが」
「そして?」
「今は剃っているが」
 謙二のその頭、仏教の僧侶らしく剃っているその頭を観ての言葉だ。
「あちらの世界でもか」
「いえ、確かに拙僧は本来の世界でも寺の者ですが」
「それでもか」
「宗派でよいとされているので」
「それでか」
「剃っていません」 
 英雄に微笑んで答えた。
「総本山で修行をさせて頂く予定ですが」
「大学を出ればか」
「大学で僧侶の資格を得て」
 八条大学でだ、この大学の宗教学部では仏教の各宗派に神道、天理教にカトリックやプロテスタントの聖職者の資格を得られるのだ。
「そうしてです」
「家、寺を継いでもか」
「剃りません」
「現代の仏教だな」
「はい、ですから」
 あちらの世界でとだ、謙二は英雄に笑顔で話した。
「黄色と赤にして伸ばしています」
「パンクか」
「そんなところです」
「パンクの僧侶か」
「如何でしょうか」
「それはまた奇抜だな」
「信仰は心です」
 笑ったままだ、謙二は英雄に話していく。
「髪の毛の問題ではありません」
「しかしパンクか」
「今は。ですが大学を卒業しましたら」
「パンクは止めるか」
「色を黒に戻し」
 地毛の色はそれだというのだ。
「そしてオールバックにするつもりです」
「何故オールバックでござるか」
 正はそこに僧侶らしからぬものを感じて謙二に問うた、パンクについてもそう感じていたがだ。
「その時の髪型は」
「はい、オールバックも好きなので」
「だからでござるか」
「そうしたいのです」
 寺を継いだ時はというのだ。
「ジェルで固めた」
「ゲッペルスだな」
 オールバックと聞いてだ、英雄はナチスの宣伝相の名前を出した。ヒトラーの政治上の重要なブレーンだった。
「それなら」
「そういえばゲッペルスも」
「オールバックだったな」
「当時のドイツの要人には多かったですね」
「何故かな」 
 オールバックが流行りだったのかと思える程にだ。
「ナチスの高官にも軍人にもな」
「何故か」
「その影響か」
「そうではないですが」
「オールバックが好きでか」
「そちらにしたいと考えています」
 こう英雄に話した。
「その時は」
「そうか、ではな」
「あちらの世界では今はパンクなので」
「その髪型で会うか」
「そうしましょう」
 謙二はこう話してだ、そのうえでだった。
 旅に出る許可を求める為に老師のところに向かった、英雄と正も同行しその挨拶に同席することにした。


第二十四話   完


                 2017・7・2 
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