レーヴァティン
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第二十三話 堺の街その一
第二十三話 堺の街
英雄は堺の街の中に入るとまずは腹ごしらえにそうした店を探した、それで近くにいた町人に話を聞くと。
その町人は笑顔でだ、こう彼に言った。
「堺は美味いものが一杯あるけれどな」
「その中でもか」
「一番いいのはな」
それはというと。
「金かけるんなら河豚や蟹やすっぽんだな」
「鍋だな」
「河豚や蟹は刺身にしてもいいしな」
そちらの料理もというのだ。
「当然唐揚げや天婦羅にしても」
「そうだな、どれもいいな」
「だからお勧めだけれどな」
「高いか」
「ああ、それが困りどころなんだよ」
先に挙げた食材の料理はというのだ。
「どうにもな」
「そうか」
「安いのならな」
町人はそちらの話もしてきた。86
「うどんとかたこ焼きとかお好み焼きだな」
「そうしたものか」
「ああ、堺ならな」
こう英雄に話した。
「色々あってな」
「何を食うかはか」
「迷うぜ、それであんた金は」
「ある」
それはというのだ。
「かなりの金がな」
「へえ、金か」
「そうだ、金だ」
「銀とか銭じゃなくてか」
「そちらだが」
「あるには越したことないけれどな」
町人の言葉はやや微妙なものになった、そのうえで英雄に話した。
「出来ることなら銀の方がな」
「こちらでは価値があるか」
「そうなんだよ、金でも銭扱いでもな」
「価値は銀の方が上か」
「そうさ、その格好は西の方のだからな」
そこからだ、町人は察して言った。
「西じゃ確か金の方が価値があるんだったな」
「そしてこちらではだな」
「銀なんだよ」
「また違うな」
「だからちょっと惜しいな」
「価値は銀の方が上か」
「銀で払うよりも高くなるな」
貨幣としての価値がそうなっているというのだ。
「だから出来たら換えたらいいさ」
「金を銀か銭にか」
「どっちかにな」
「そうか、では換金所に行くか」
「そうした方がいいさ」
「金はあるが無駄に使うつもりもない」
そうした価値の違いによるロスは避けるとだ、英雄は考えた。こうした勘定も出来る男なのだ。
「だからな」
「よし、じゃあな」
「まずは換金所に行く」
「あそこだぜ」
町人は二人から見てすぐ傍にある一軒の店を指差して話した。
「あそこが換金所だぜ」
「そうか」
「あそこでその金を銭に換えられるからな」
「銀にもか」
「どっちにもな、あと紙幣もあるぜ」
「紙の銭か」
「そっちもあるぜ、ただな」
その紙幣についてはだ、町人は少し苦笑いになってこう英雄に話した。
「偽札かって間違われることもな」
「あるか」
「銭の話で付きものだろ」
「偽物だな」
「そういう話は特に紙の方で特にあってな」
「それでか」
「下手に出したらな」
それこそというのだ。
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