レーヴァティン
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第二十二話 東の島その九
「死にたくない」
「お互いにな、まああんたも出来る限りな」
「死なないでだな」
「頑張れよ、痛い思いはせずにな」
「そうしていく、そしてだ」
「それでだよな」
「大きなことをする」
青空の味よりも将来を見据えてだ、船乗りに言い切った。
「絶対にな」
「大きなこと?」
「そうだ、やってみせる」
「金もあるからか」
「魔物も巨人も倒す」
「島一の賞金稼ぎか冒険者になるかい?」
船乗りは笑って英雄に尋ねる様に話した。
「そうなるのかい?」
「そんなところだな」
「そうか、頑張れよ」
「まずは堺からだな」
これから入る空の港町のことを話した。
「そこからはじめるか」
「いい街だぜ、ただな」
「悪い奴も多いか」
「人が多い街でな」
「人が多いとな」
「そうさ、悪い奴も多いんだよ」
人が集まる即ち悪人も集まるということだ、どうした世界でも必ずある程度の割合で悪人がいるものだ。
「スリだのヤクザだのな」
「色々いるか」
「ボッタクリや美人局もな」
「色々いるか」
「そうした街だから気をつけなよ」
「わかった、ではまず堺からだな」
はじめるとだ、英雄は船に乗せている馬や驢馬のことも思った。
「全てをはじめるか」
「そうしな、暫く堺からだな」
「はじめることになるな」
「そうだな」
「悪人に気をつけろか」
「まあ悪人もいる位だからな」
そうした風だというのだ。
「悪人だらけっていうとな」
「そこまではいかないか」
「流石にな」
船乗りは笑って話した。
「結構いい感じで治まってるしな」
「そうなのか」
「金持ってる商売人がまとまって治めてるんだよ」
「そうか、堺だけあるな」
英雄は彼の世界の堺の話もした。
「そのことは」
「堺だけは、か」
「俺の世界の堺もそうだった」
「あんたの世界も堺あるんだな」
「今の姿は全く違うがな」
現在の大阪府堺市のことはこう話した。
「しかしだ」
「金持ってる商売人がか」
「治めていた、かつてはな」
「そうなんだな」
「それで上手くやっていた」
「こっちの堺もだよ」
このことは同じだというのだ。
「上手くな」
「治まっているか」
「それなり以上にな」
「ならいいがな」
「やっぱりよく治まっていないとな」
どうしてもとだ、船乗りも言った。
「よくないよな」
「全くだ」
英雄もそれは同意だった。
「本当にな」
「街も儲かるどころかな」
「まともな人間が暮らすことさえな」
それこそというのだ。
「出来ないからな」
「だからだな」
「ああ、街が上手にまとまってないとな」
つまりいい政が出来ていないと、というのだ。
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