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英雄伝説~光の戦士の軌跡~

作者:トロイヌ
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第二話

 
前書き
閃の軌跡Ⅲ、自分はまだやってないんですがなんかまだ買ってない知り合いとの話で絆システムとかないっぽいという話を聞いてしまいました。
まあそれでもうちはこんな感じでやっていきますんで生暖かい目で見てやって下さい。
あと第一話をほんの少しですが直しました。 

 
七曜暦1204年 3月31日

トリスタ駅の鉄道ホームに鉄道が停まり、暫くしてドアが開きそこから数多の人が流れ出した。老若男女色々な年齢層が溢れ出すが、今は三月。それ故に制服姿の少年少女の姿が多く見れる。
そんな中、深紅の制服を着たカイムの姿があった。


「やっぱこの時期は人が多いな、まあ入学式があるから当然だが。さて……。」


そのままカイムは出口に向かった。改札を通り、駅から出たカイムを出迎えたのは花吹雪であった。


「おお~、ライノの花が満開だねぇ。手紙のネタがさっそく一つ出来たな。」


そう言いながら暫く立ち止まってその光景を眺めていると


「きゃっ。」

「おおっ。」


その背中に誰かがぶつかりその誰かが倒れる気配がした。


「あいた……。」

「大丈夫か?……すまん。少々ぼうっとしていた。」


後ろを振り向いて手を差し伸べた先にいたのは……


「気にしないで。私も花に見惚れちゃってたか…ら…。」


太陽の光に反射する金色の髪、意思の強さを見せる真紅の瞳に整った顔立ちという、一度会ったらまず忘れないであろう特徴を持ち合わせた……


「アリサか……?」

「カイム……?」


幾度かの時間を彼と共に過ごした友人だった。











その後カイムはアリサの手を引き起き上がらせたのだが・・・


「・・・・・・ありがと。」

「お、おう(やっぱり機嫌が悪い・・・まあ俺の自業自得なのだが)。」


アリサは顔をムスッとして目をそらしていた。二人の間で気まずい空気が流れ、それに耐えかねたカイムが話題を振った。


「あー、えっと、その、久しぶりだな。」

「そうね、最後に連絡をとったのは半年くらい前に二人とも予定が空いてるから会う約束をしたのに直前に一方的に断ってきて以来ね。
しかもその後は……まあ私も出れなかったけど来てくれなかったし。」

「うぐっ、それは・・・」


そう、アリサの言うとおりカイムは半年ほど前に会うのを断ってから話すらしていない。会う約束を決めてから少しした後とある人物から依頼がきたのだ。当然断ろうとしたものの、オリヴァルトの企みに関係していると言われれば行かなければならなかった。再度アリサに電話し謝りながら後日また連絡を入れると言って終わらせたのだ。
無論、ワザとだったりではないが合間に連絡を入れられるタイミングが無かったかと言われれば作れなかった訳ではない。というか連絡はしたのだがお互い用事などですれ違い出れなかったのだ。とはいえ切っ掛けは最初の断りなので割とカイムの落ち度である。


「……すまん、急な依頼が入ってな。その後もその依頼に関しての書類の処理やら別の依頼やらで完全にタイミングを失った。」

「あなたの立場は一応少しは知ってるし忙しいのも分かるわ、けど近くに来たら少し寄るくらいはできたんじゃない?」

「……返す言葉もない。」


なお書類の処理などは依頼主のズボラさが関係しており、連絡を入れるタイミングを失った事にも関係していたりする。また彼女の家の近くに寄った事も何回かはあったがタイミング悪く忙しい案件ばかりで時間が取れなかった。しかしそんな事は言い訳に過ぎず更なる墓穴を掘る事にしかならない為、口にはせず何か打開策はないかと必死に脳を働かせていると、アリサが口を開いた。


「……今度。」

「え?」

「今度埋め合わせで私に付き合って、それでチャラにしてあげる。」

「ほ、本当か!?」

「本当よ、まあ埋め合わせなんだからなにか払うときはそっち持ちね?」

「勿論だ!……本当にすまなかった。」

「ハア~、もういいわよ。こっちも自分の事棚上げしてちょっと苛め過ぎたし。」


そう言いながら少し呆れたような笑みを浮かべた。元々アリサとしてもカイムの立場も理由も無しに人との約束を反故にするような人物ではないと理解しているし一言謝罪を貰えればそれで許すつもりだったのだ。ただ割と珍しいカイムのうろたえる姿を見て少々悪戯心が芽生え弄れるチャンスと思ったのである。あとはちゃっかりと埋め合わせも確保していたりする。女は強いとはよく言ったものである。


「それじゃあ話も纏まったし学院まで一緒に行きましょう?」

「そうだな、そろそろ時間も余裕が無くなってきたし行くか。」


そう言いながら二人は学院に向かって歩き出した。そして公園を通った所で、カイムは見覚えのある姿を発見した。


「……すまんアリサ。少し待っててくれるか?」

「どうしたの?」

「ちとな。」


そうアリサに答えるとカイムは、公園の長椅子に寝転がっている自分と同じ深紅の制服を着ている少女に近づいていった。髪は銀の短髪、体型は丸まっているとはいえ長椅子の幅の方が勝っている辺り同年代の平均よりは小柄、眠っているその顔は体系と同じく若干幼く可愛らしい。


「おい『フィー』。こんなとこで寝るな。もう入学式まで時間が無いし風邪を引くぞ。」


そう言いながらフィーと呼んだ少女の頬をペチペチと軽く叩きながら話しかけた。少ししてフィーはむくりと体を起こし伸びをしながらカイムに答えた。


「おはよう、カイム。起こしてくれてありがと。」

「本当にお前はどこでも眠るな、起こさなきゃずっと寝てるだろ。」

「あまり馬鹿にしないでほしいな。もう少ししたらちゃんと起きるつもりだったし気持ちよく眠れる場所でしか寝ないよ?」

「……さいですか。」


彼女の話を聞いてカイムは若干呆れながらも頷きながら思い出していた、こいつはこういう奴だったと。二人で話していると今まで蚊帳の外だったアリサが会話に入ってきた。


「……ねえ、その子は知り合い?随分と親しそうだけど。」

「ん?ああ、まあな。何年か前に知り合ってな、あとアリサと会う約束断った時の依頼にもちょっと関係しててな。」

「……もしかしてこの子と会うのが目的?」

「いや、本来の目的序でに迷子になったこいつを回収した感じだな。」

「……そうなんだ(本当にそれしかないみたいね)。」


若干不機嫌そうにしていたものの、カイムの答えを聞いて今度はホッとしたアリサをカイムは不思議そうな目で見ていたが袖を引かれそちらを向いた。


「ねえカイム。」

「どうした?」

「その子は?」

「おっと、紹介してなかったな。彼女はアリサ・R、俺の友達だよ。」


質問してきたフィーに対してカイムはアリサを紹介した、『偽』の名前で。アリサには今言ったのとは別にファミリーネームがあるのだがフィーに話しかける前、アリサが学院内では隠しておきたいと言ったのだ。カイムはいずれはばれると言ったものの彼女の実家の事を知っていたのでアリサが頼み込んだ結果、了承したのだ。とはいえ事前に考えていると聞いた後に言われたこの名前には流石に短絡的だとツッコミを入れたが。


「そうなんだ。これからよろしく、アリサ。」

「あ…ええ、こちらこそよろしくね?フィー。」


二人とも挨拶をしながら握手をしていた。自分の知り合い同士が仲良くなる光景にカイムは笑みを浮かべていた。


「さ、紹介も終わったしそろそろ行こうぜ?これ以上遅れるとどやされそうだ。」

「ええ、そうね。」

「うん、レッツゴー。」










少し話し込んでいた為、若干早歩きで三人が学院の校門前まで歩いていくと、


「―――ご入学、おめでとーございます!」


という声と共に緑色の制服を着た小柄な少女と黄色のツナギを着た恰幅がよさそうな男性が三人に近づいてきた。自分たちを出迎えたことから二人とも先輩なんだろうとカイムは予想したが少女の方は、フィーくらいに小ぢんまりとしていてとても先輩には見えない為、自分の予想に自身を持てずにいた。


「(男性はともかく少女の方は……先輩? なのか……どう思うよアリサ、フィー。)」

「(……私もそう思うけど……というか普通に考えたらそうとしか思えないし……?)」

「(でも男の人はともかく女の子の方は私くらいちっちゃいよね。)」


二人は自分達がそんな事を小声で話されているとは思っていないようで笑顔で三人の前に立った。


「えーっと、君達がカイム・グレイス君にアリサ・ラインフォルトさん、フィー・クラウゼルさんだね?」

「……ラインフォルト?」

「さっそくバレちまったよおい……。」


自分の名前を言われた瞬間、アリサは焦った様に二人とフィーの間に視線をさ迷わせ先に口止めをするべきと判断し先輩側に向いた。


「……あの、すいません。お願いがあるんですが」

「ふぇ、何かな?」

「ふむ、言ってごらん?」

「こっちにいるカイムは昔から付き合いがあるから構わないんですが、それ以外の人が居る時は私のファミリーネームを出さないでほしいんです。色々事情があって……あとで自分で言うまででいいので、お願いします。フィーには自分が話しますので……。」

「(……事情持ち?)」

「(ああ、本人がああ言った以上お前には後でちゃんと説明するだろうから今は待っててやってくれ。)」

「(ん、ラジャー)。」


カイムとフィーが小声で話している間、アリサは二人に頭を下げていた。かなり真面目な雰囲気を醸し出していたので二人とも直ぐに頷いていた。その後、ツナギの男性が思い出したように。


「ああ、そうだ。案内書に書いてあったと思うけど申請した品を預からせてもらいたいんだけど……。」

「ああ……そういえば。」

「そう書いてありましたね。」

「そうなの?」

「案内書ぐらいちゃんと読んどけよ……。」


太った青年に言われ、カイムはフィーに呆れの視線を向けながら包みを青年に渡し、アリサとフィーも続いて渡した。


「―――確かに。ちゃんと後で返されるとは思うから心配しないでくれ。」

「入学式はあちらの講堂であるからこのまま真っ直ぐどうぞ。あ、そうそう。”トールズ士官学院”へようこそ!」

「入学おめでとう。充実した2年間になるといいな。」

「ありがとうございます。」


二人の言葉を受けて、カイムは応援してくれた事に嬉しさを感じ穏やかに笑顔を浮かべ礼を言いながら頭を下げた。頭を上げると少女の方は顔を赤くし青年は少女を見て苦笑を浮かべ、アリサとフィーはジト目でカイムを見た後頭を軽く下げ、二人でカイムを引っ張って講堂へと入っていった。


「いきなりどうしたんだよ。」

「ふん。自分の胸に聞いてみなさい。」

「自業自得だから。」


アリサとフィーはそれだけ言うと席に座ってしまった。そんな二人に疑問を抱きながらもカイムは適当な席に座った。それから少しして入学式が始まり、学院長であるヴァンダイクが新入生たちの前で演説をしていた。










「―――最後に君達に一つの言葉を贈らせてもらおう。本学院が設立されたのはおよそ220年前のことである。創立者はかの”ドライケルス大帝”――――”獅子戦役”を終結させたエレボニア帝国、中興の祖である。
―――即位から30年あまり。晩年の大帝は、帝都から程近いこの地に兵学や砲術を教える士官学院を開いた。近年、軍の機甲化と共に本学院の役割も大きく変わっており、軍以外の道に進む者も多くなったが……それでも、大帝が遺した”ある言葉”は今でも学院の理念として息づいておる。」


演説を続けていたヴァンダイク学院長は大きく息を吸った後、両手を机について前に乗り出し


「『若者よ―――()(いしずえ)たれ。』
”世”という言葉をどう捉えるのか。何をもって”礎”たる資格を持つのか。これから2年間で自分なりに考え、切磋琢磨する手がかりにして欲しい。―――ワシの方からは以上である」


大声で言った後説明をし、笑顔になった。


「―――以上で”トールズ士官学院”、第215回・入学式を終了します。」


男性の声が聞こえた後、カイムは声が聞こえた方向を見つめた。


「以降は入学案内書に従い、指定されたクラスへ移動する事。学院におけるカリキュラムや規則の説明はその場で行います。
以上―――解散!」


その後、カイムを含めた他の赤い制服の生徒たち以外は全員講堂を出て行った。残された面々は途方にくれていると、


「はいはーい。赤い制服の子達は注目~!」


女性の声が聞こえ、カイムは声が聞こえた方向に振り向いた。その女性を見てカイムは顔が引きつるのを感じた。


「あのウワバミが教官になるのかよ……勘弁してくれ……。」


カイムがそう俯きながらぼやくと突然目の前から何かが飛んでくる気配を感じ頭を右に傾ける。そして何かが通り過ぎた後、後ろを見てみると視線の先にはスパナが落ちていた。ビックリしている周りをスルーしカイムはサラに話しかけた。


「おいサラ、あれがもし命中してたら痛いじゃすまないと思うんだが?」

「なに言ってんの、あれくらいでヤバイ事になるならあんたは今そこに立ってないでしょ。それに避けたんだから問題なしって事で♪」


カイムはサラと呼んだ女性に文句を言うものの、全く悪気の無いあっけらかんとした物言いに青筋を浮かべたがそんな事はどこ吹く風、サラは話を続けた。


「ま、それは置いといて…。―――君達にはこれから『特別オリエンテーリング』に参加してもらいます」

「へ……!?」

「特別オリエンテーリング……」


説明を聞いた眼鏡の男子は驚き、アリサは呆け


「ふむ………?」

「……………………………」


青色の髪の女子は考え込み、フィーは黙り込む。


「まあ、すぐにわかるわ。それじゃあ全員、あたしについてきて」


そういい、講堂を出て行こうとするサラに


「えっ、えっと………」

「とりあえず行くしかなさそうだ」

「やれやれだな」


赤い制服の着た何人かの生徒はサラの後を歩き出した。カイムも溜息をつきながらそれに続くのだった。




 
 

 
後書き
という訳でうちのメインはアリサです、リィアリ派の方は申し訳ありません。
フィーとアルフィンもカイム側ですね。
いずれ幕間みたいな感じで知り合った時とか書いたりしたいです。 
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