| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

380




 眺むれば

  和みし風の

   そよぎせば

 心波打つ

    秋の夕暮れ



 ふと空を見上げ、明日は晴れるかなどと思っていると…穏やかな風がそよいで草木を揺らす…。

 そんなあまりにも在り来たりな光景に、彼は元気だろうかと…そう考えてしまった。

 彼にしてみれば甚だ迷惑な話だろう…こんな私に想われるなんて…。

 心をざわつかせ想いが揺れ動く…そんな切ない秋の夕暮れ刻…。



 見上げれば

  藍もなきにし

   月影に

 千々にそものを

     思う頃かな



 未だ明るい秋空に、ふと月明かりが染みている…。

 宵に掛かる藍さえない空…まるで泣きそうな月影…。

 愛されぬこの身に重なり…あれこれと物思いに耽ってしまった…。


 想っても詮ないこととは知りながら…尚も彼を恋しく諦め切れぬ私は…実に愚かで滑稽であろうな…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧