夢幻水滸伝
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第二十二話 人の星その五
その二人がだ、早速三人に挨拶をしてきた。
「どうも、正宗大二郎です」
「織田月心です」
こうそれぞれ名乗ってきた、特に正宗が三人に言ってきた。
「まだあちらの世界では敵同士ですが」
「これからはやな」
「必ず打ち破らせて頂きます」
笑みを浮かべて言うのだった。
「拙僧が」
「いつもこう言います」
織田はその正宗の隣で少し苦笑いになっている、見れば二人の身長差は三十センチはあり織田と弥生のそれ十二センチはある。
「僕達に」
「こっちでは一人称僕やねんな」
「まだ僧侶ではないので」
だからだというのだ。
「この一人称です」
「成程な」
「はい」
その通りだという返事だった。
「そうです」
「拙僧はこのままです」
正宗はこうだった。
「こちらの世界でもか」
「態度は変えない主義なので」
それ故にというのだ。
「こうしてです」
「普段通りの態度で」
「誰にも対しています」
「そうなんやな」
「はい、それでこちらに来られた理由は樋口さんから聞きました」
弥生を見つつ言った。
「そうした理由ですか」
「そうや」
その通りだとだ、中里は樋口に笑って答えた。
「大した理由やないわ」
「それは」
「その通りやろ」
「はい、ただ当然だと思います」
「どっちの世界でも顔を見て知っておきたいと思うことはか」
「はい」
樋口は中里にすぐに答えた。
「拙僧もそうしましたし」
「僕もでしたね」
織田もそうだとだ、ここで言った。
「こちらの世界での正宗さんにお会いしに行きました」
「あいつにか」
「そしてこちらの世界でも立派な方で何よりでした」
「それはええことやな」
「特にです」
「特に?」
「あの恰好良さが健在だったので」
こちらの世界でもというのだ。
「感服した次第です」
「そうか、確かにあいつ独特の恰好良さがあるな」
中里は面会した正宗のその明るく常に前を見ているその顔を思い出してから織田に応えた。
「それを見てか」
「こちらの世界でもやっていけると確信しました」
「そうなんか」
「うちは特に」
弥生も言ってきた。
「会いに行ってません」
「何でや、それは」
「どっちにしても会えると思いまして」
「こっちの世界でもか」
「それで何もしませんでした」
自分から会いに行くことはしなかったというのだ。
「こういうのは自然と会っていくものですから」
「導きやな」
綾乃が言ってきた。
「それでやな」
「はい、そうです」
「そういうことやな」
「それに姫巫女さんとはもう知り合ってましたし」
「学園の神社でよお会うしな」
「そうですから」
だからだというのだ。
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