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夢幻水滸伝

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第二十二話 人の星その二

「何かな」
「そういうもんやねんな、皆」
「そうやと思うで」
「それでそれがやな」
「着地するんや」 
 つまり地に足がついてくるというのだ。
「それで高校生活をしていくんやな」
「三年間やな」
「そうやと思うで」
「そういえばそれって他のところでもやな」 
 中里は綾乃と話していて高校生活以外もだと言った。
「中学校でも小学校でもやったわ」
「何処でも最初はそやろ」
「まだはじまったのが信じられへんで」
「そや」
 それでというのだ。
「地に足が付いてへんえん」
「最初はか」
「そういうものやで、ほな今からな」
「ああ、一年の連中に会いに行こうな」
「今からな」
 こうした話をしてだ、三人は芥川の案内でまずはC組に入った。するとそこには佐藤兄妹がいた。外見は烏天狗の翼がなくなった位の違いだ。兄の方は黒の詰襟で妹は昔懐かしのセーラー服だった。
 その二人を見てだ、中里は言った。
「あまり変わってないな」
「そやろ」
 芥川がその中里に応えた。
「この二人はな」
「そやねんな」
「烏天狗っていうけどな」
「人間の要素高いからな」
「それでか」
「この二人は違和感ないねん」
 そうだというのだ。
「これがな」
「そやねんな」
「この感じでな」
「ちなみに中身は全く同じでっせ」
「はい、いつも明るくにこにこです」
 その兄妹の方も言ってきた。
「漫才部でも二人でやってますし」
「佐藤兄妹って名前でやってます」
「あまり捻りない名前やな」
 そのユニット名を聞いてだ、中里は素直に思って言った。
「せめて佐藤忠志アンド香菜とかな」
「いや、お客さんに覚えてもらいやすいですし」
「それでなんです」
 二人はその中里に漫才のやり取りの如きリズムで話した。
「こうした名前にしました」
「敢えて」
「そういうことか、あとな」
 ここで中里は二人のクラス章を見た、見れば二人のそれの色は一年生の赤だ。二年生は緑で三年生は青となっている。
 そのクラス章がだ、兄はCで妹はDとなっているのだ。中里は二人のそれを見て言ったのだ。
「自分等クラスはちゃうな」
「はい、双子ですから」
「どうも分けられるみたいです」
「けどよく一緒にいます」
「今みたいに」
「それで今は何で一緒におるんや?」
 芥川がこのことを尋ねた。
「僕はまず兄貴の方に話すつもりやったけど」
「部活の漫才のことで打ち合わせしてました」
「そうやったんです」
 二人で芥川、自分の師でもある彼に話した。
「それでなんです」
「一緒にいたんです」
「そういうことか、漫才に燃えてるんやな」
「はい、招来の夢は漫才師ですさかい」
「八条芸能に入って」
 そうしてとだ、二人で燃える目で話した。
「お笑いで天下取ります」
「絶対に」
「そこは精進やな、僕もな」 
 芥川も二人の言葉を受けて言った。 
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