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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十三話 ハウステンボスから帰ってその十二

「今朝はお粥にしました」
「そうだったんですか」
「はい、そして栄養を考えて内臓とザーサイもです」
「作ってくれたんですか」
「はい」
 そうだったというのだ。
「では」
「それではですね」
「召し上がられて下さい」
 お粥もおかずもというのだ。
「今朝は」
「そうさせてもらいます、ただ」
「ただとは」
「朝からお粥なんて」
 僕は小野さんに申し訳ない顔で言った。
「すいません」
「手間がかかるからですか」
「お粥は何かとそうしたものがかかりますから」
 むしろ普通の御飯を炊いた方がいい、手間暇を考えたら。
「旅行疲れの配慮までしてもらって」
「いえ、仕事ですから」
「だからですか」
「はい」
 それでというのだ。
「お気遣いなく」
「そう言って頂けますか」
「私も食べますし」 
 小野さんは笑ってこうも言った。
「そうしたお気遣いは無用です」
「左様でえすか」
「そしてです」
 さらにだった、小野さんは僕に話してくれた。
「今日も頑張って下さい」
「義和も部活よネ」
「今日もあるな」
「うん、そうだよ」
 僕は二人に答えた、まだいただきますはしていない。
「バスケ部のね」
「私もヨ」
「私もある」
 ジューンさんも水蓮さんもだった、このことは。
「だから部活は違ってもネ」
「一緒に頑張るある」
「その為にもしっかり食べテ」
「学校に行くあるよ」
「そうだね、食べないとね」
 何といってもだ。
「何も出来ないね」
「はい、一食抜くとです」
 小野さんはまた僕に話してくれた。
「それだけで力が出ません」
「朝こそ食べろですね」
「勿論お昼も夜もです」
 三食共にというのだ、これは小野さんの持論だ。とにかく食べないとどうしようもないというのだ。
「ですから」
「それじゃあ」
「召し上がられて下さい」
「そうさせてもらいます」
 ここでだ、皆いただきますをしてだった。
 僕達は朝のお粥を食べた、長い旅の次の日は落ち着いたものだった。それがまたとても美味しかった。
 それでだ、僕は一杯で終わらないでだった。
 もう一杯食べた、そうして小野さんに言った。
「今日も有り難うございます」
「お気に召されましたか」
「はい」
 心から言った、この言葉を。
「本当に」
「それは何よりです、では」
「それならですね」
「どんどん召し上がられて下さい」
 これが小野さんの返事だった。
「朝を食べてから一日がはじまりますから」
「だからですね」
「そうです、お好きなだけです」
 こう言ってくれた、しかも笑顔で。
「そうされて下さい」
「そうさせてもらいますね」
 実際にとだ、僕も答えた。
「ザーサイも鶏の内蔵も」
「はい、どうぞ」
「そうさせてもらいます」 
 こう応えて実際にだった、僕はお粥をおかわりした。勿論ザーサイも内蔵も食べた。そうしてから部活に行った。


第百二十三話   完


                       2017・1・9 
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