夢幻水滸伝
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第二十一話 地の星達その一
第二十一話 地の星達
中里達は二年生の校舎に来た、中里はその二年生の校舎の中に入って共にいる綾乃と芥川に言った。
「懐かしいな」
「去年までここにおったしな、うち等」
綾乃が中里の今の言葉に応えた。
「そう思うとな」
「ああ、懐かしい場所や」
「そやな、大昔におった気分や」
「この前までやった筈やのに」
いささかしみじみとしてだ、中里はこうも言った。
「ほんま大昔におった気分や」
「不思議やわ」
「ああ、遠い昔に思えるわ」
「そんなもんかも知れんな」
芥川もこの前までいた校舎の中を見回しつつ感慨を見せていた、三人で校舎の中を歩いて星の者達がいるクラスに向かっている。
「人間今いる場所に慣れるとな」
「前いた場所は懐かしく感じる様になるんか」
「記憶になってな」
「記憶か」
「ああ、頭の中のな」
それになるというのだ。
「そうなってな」
「それでか」
「ああ、変わるんや」
「成程な」
「一年の校舎にも行くけどな」
「その時は余計にか」
「懐かしく思う筈や」
こう中里に話した、綾乃を入れて三人でその懐かしい校舎を歩きつつ。
「僕も今懐かしく思ってるしな」
「自分も実際にか」
「ああ、一年前はここにおったな」
実際に郷愁がその言葉の中にあった。
「それでこうして歩いたわ」
「そういえば去年ここでな」
中里はこんなことも言った。
「丁度この場所で人とぶつかった」
「それは誰でもあるやろ」
「坂口とな、けどその時はお互いに悪いって言ってな」
「それで終わりやったか」
「そうやったわ」
「まさかお互いに星のモンになるとは思わんかったやろ」
「全然や」
それこそとだ、中里は芥川に返した。
「思わんかったわ」
「そやろな」
「うちもここで人とぶつかってこけて」
綾乃も言った。
「それで尻餅ついてショーツ丸見えになってもうたわ」
「それはかなり恥ずかしいな」
「朝の遅刻遅刻って駆けての展開やな」
二人は綾乃のその話を聞いてこう話した。
「曲がり角でぶつかってな」
「それめっちゃ古典な展開やな」
「実際にこの展開で書く人少ないみたいやな」
「古典過ぎてもう誰も描かんやろ」
「幸い女の子やったさかい」
そのぶつかった相手はというのだ。
「見られても困らんかったけど」
「それは不幸中の幸いか」
「そやな」
「そやったわ、ちなみに女の子あっちの世界でも下着変わらへんで」
綾乃は二人にここでこのことも話した。
「男の子はわからんけど」
「いや、それ僕等もやし」
「皆トランクスかボクサーや」
そうした下着だというのだ、男の方は。
「そやからな」
「特に変わらんで」
「下着はそやねんな」
綾乃は二人の話を聞いて頷いて言った。
「そこも面白いな」
「というかや」
中里はやや首を傾げさせつつ綾乃に返した。
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