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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1824話

 影時間になったのを確認すると、俺はそのまま影のゲートに身体を沈めていく。
 そうして出たのは、当然のようにゆかりの部屋。

「おう」
「ええ。……何だか影からアクセルが出てくるのにも、もう慣れたわね。それがいい事なのか、悪い事なのかは分からないけど」

 どことなく微妙な様子のゆかり。
 ちょっと前まではファンタジー要素のない一般人だった事を考えれば、その態度は当然かもしれない。
 ともあれ、このまま月明かりと星明かりだけ……ってのはちょっと微妙なので、いつものように子猫の炎獣を作り出す。
 炎獣の明かりによって、部屋の中は蛍光灯が付いている程度の明るさにはなる。

「ありがと。……で、わざわざ私の部屋に来てここまでするって事は、多分何か理由があるんでしょ?」
「正解だ。……こういうのを遠回しに言うのも好きじゃないから、正直に言わせて貰うが、桐条美鶴と真田明彦。あの2人に俺達の事を知らせないか?」

 そう告げた瞬間、てっきり反射的にゆかりの口からは否定の言葉が出てくるのでは……そう思っていたのだが、予想外な事にそこに否定の言葉はなく、何かをじっと考えているような様子だった。
 意外……そう、意外と言ってもいいだろう。

「そう、ね。今の状況を考えると、そうしないといけないのは分かるけど……でも、そう簡単に頷けたりもしないのよ」
「だろうな。それはこれまでのやり取りで分かってるよ。けど、お前が何を考えていようとも、俺達の事を隠しながらタルタロスを攻略するのはかなり難しい。それは分かるな?」
「それは……それこそ、アクセルが本気を出せば……」
「まぁ、それもありといえばありだろうけど、そうなると俺だけがいればそれでいいって事にならないか? なら、その場合ゆかりがいる意味はなくなるぞ?」

 実際、ゆかりの言うとおり俺だけでタルタロスを攻略するという事も考えはした。
 だが、それを行ってしまうと、ゆかりに言ったように戦力は俺だけで十分になってしまうのも事実だ。
 いや、それで問題がなければそれでいいのかもしれないが……この世界の原作を知らない以上、実はペルソナでなければ倒せない相手とかが出てきた時、俺だけに頼っていれば色々と危険だろう。
 まぁ、ペルソナでしか攻撃の通用しない敵がいても、精神コマンドの直撃とか使えばどうにかなりそうな気がしないでもないが。
 ともあれ、その辺りの事情はともかく、俺以外にもきちんと戦力を揃えて置いた方がいいのは間違いのない事実だ。

「それは……」
「なぁ、俺がお前と会ってから、まだ1ヶ月くらいだ。たった1ヶ月でもあるし、もう1ヶ月でもある。それでも、普通の時間を1ヶ月すごしたんじゃなく、濃厚な……それこそ、濃すぎる日々を一緒にすごしてきたよな?」
「……そうね」

 ゆかりも、この1ヶ月が濃厚な日々であった事は否定出来ない事実なのだろう。
 俺の言葉に、大人しく頷いてくる。

「そうして時間を共にしたけど……それでも、俺にお前の抱えてる事は教えられないのか?」
「それは……」

 ゆかりが俺の言葉に黙り込む。
 そのまま部屋の中には沈黙のみが満ちる。
 影時間である以上、周囲の部屋の声や、道路の騒動とかも聞こえてはこない。
 つまり、こうしている間に俺達は周囲の状況とかを気にする必要はない訳だ。

「……お父さんが、ね。いたのよ」

 やがて、その沈黙を破るようにゆかりが口を開く。
 いるではなく、いた。
 つまり過去形という事は、ゆかりにとってその父親は既に存在していないという事になる。

「その、こことは違う世界にいたアクセルは知らないと思うけど、今から10年前にこの辺りで大きな事故があったの。……それを起こしたのが、私のお父さんらしいわ。それで、お父さんが働いていたのが、桐条グループの研究所で……」
「あー、なるほど。つまり、その事故を起こしたのはお前の父さんだったのか?」
「違うわ! ……いえ、世間一般ではそう言われてるけど……」

 最初に大声で否定し、次の瞬間にはそう告げる。
 ゆかり自身にも、その辺りの事情は分からないのだろう。

「何か手掛かりとかはないのか?」
「……一応、アクセルが来るちょっと前、2月9日にお父さんから手紙が届いたんだけど……」
「うん? ちょっと待て。お前の父さんはまだ生きてるのか?」
「……いえ、手紙は10年前に出された手紙よ。郵便局には、そういうサービスがあるらしいわ」
「あー、なるほど」

 タイムカプセルとか、そんな感じか?
 それで、10年後の自分に手紙を出すとか。
 まぁ、今回は父親から娘に対してだから、微妙に違うかもしれないが。
 ともあれ、その辺りの事情は分かった。

「事故があった時は、TVや週刊誌の人達は皆が揃ってお父さんのせいで事故があったって言ってたわ。それで取材とかそういうので家にも……」

 悔しげな表情を浮かべるゆかり。
 どうやら、この世界でもマスコミはマスゴミと呼ばれるに相応しい真似をしているらしい。
 そういう意味では、シャドウミラーはマスコミとかそういうのがないからいいよな。
 勿論それはあくまでもシャドウミラーだけの話であって、シャドウミラーと繋がっている他の世界では話が別だが。
 他人に対して知る権利を主張する奴は、いっそ、自分の私生活の全てを取材対象の知る権利で全世界に公表してやってもいいと思う。
 ふと、脳裏に知り合いのパパラッチの姿を思い出す。
 学生の時からパパラッチとして活動していたその女は、現在ジャーナリストとして活動中だ。
 学生時代には色々と騒動を引き起こしていたが、朝倉はスクープを取る為に自分の私生活を公開しなければならないとなれば……うん、恐らく何の躊躇もなくそれを受け入れるだろう。
 同じパパラッチであってもその辺りの覚悟は違う。

「なるほど。それで月光館学園に……うん?」

 そこまで考え、時系列が少しおかしい事に気が付く。
 てっきりゆかりは桐条グループについて……正確には父親の死について調べる為に月光館学園にやってきたと思ったのだが、違うのか?
 手紙が届いたのが先月だというのであれば、その辺りは一体どうなっている事になる?

「ああ、お父さんの事を調べるのは、前からやっていたわ。ただ、手紙はそれを補強する意味で来たっていうか……」
「なるほど」

 詳しい手紙の内容は口にしなかったが、何となくその手紙の内容は予想出来る。
 10年前と言えば、まだゆかりは6歳か7歳といった年齢だ。
 そんなゆかりに対して出した手紙なのだから、恐らくゆかりが現在どんな生活をしているのかとか、まさしくタイムカプセル的な内容なのだろう。……もっとも、タイムカプセルというのは、自分で自分に出すのだが。
 ともあれ、その手紙を読んでゆかりは更に父親が本当に事故を起こしたのか、はたまた桐条グループのスケープゴートにでもされたのか。
 その辺りの事情を知りたいと、以前より強く思ったのだろう。
 ……時系列的に考えて、もしかしてその手紙がゆかりの影時間に対する適性への最後の一押しとなった……可能性も否定は出来ない、か。
 で、影時間に対して適性を得て……俺がこの世界に転移してきた。
 うん、何だか色々な意味で出来すぎなような気がしないでもない。
 ともあれ、こっちとしては影時間に適性があり、俺の事情を理解して協力してくれている人物がいるというのは非常に助かったが。

「桐条グループについて調べるのなら、いっそ桐条美鶴達と行動を共にしてみてもいいんじゃないか?」
「それは……」

 恐らく、それはゆかりも理解している。
 だが、それでもゆかりにとって、父親との関係もあり、桐条グループはそう簡単に心を許せる相手ではないのだろう。
 ……そう言えば、ゆかりの父親についてはともかく、母親はどうしたんだろうな?
 以前ちょっと聞いた限りだと、関係はよくないって話だったが。
 聞くべきかどうか迷ったが、桐条美鶴と近づくべきかどうかを迷っている今のゆかりの様子を見ると、それは止めておいた方がいいと判断する。
 今の状況ですら色々と難しそうなのに、ここで更に問題を持ち出せば……下手をすると、ゆかりが混乱する可能性があった。
 いやまぁ、さすがに難しい事を考えたからって頭から煙が……とかはないだろうが。
 ともあれ、母親の件はまだ後回しにしておいた方がいいのは間違いない。

「何も今日、今すぐにこの場で決めろとは言わない」

 そう告げると、あからさまにゆかりが安堵の息を漏らす。
 ゆかりのこれからに関わってくる事だ。
 そう考えれば、ここでその全てを決めろなんて事は言える筈もないだろう。
 もっとも……

「このままだと、タルタロスの攻略に差し障りがあるというのは、分かってくれ」
「……ええ、それは分かってるわ」

 俺達がまだ正体を現さないようにしている以上、堂々と桐条達の前に出る訳にはいかない。
 いや、俺だけなら別に出ても構わないんだけどな。
 向こうが戸籍の類を調べようとしても、元々俺の戸籍はこの世界には存在しない。
 あるいは、アクセル・アルマーという同姓同名の別人はいるかもしれないが。
 ……そうなったら、その誰かさんには思い切り迷惑を掛けてしまう事になるな。
 ともあれ、俺だけなら桐条グループに見つかっても問題はない。
 そもそも、向こうがどうやったところで俺を捕らえるといった真似は出来ない。
 穏便な手段で言えば、影のゲート。乱暴な手段では最悪ニーズヘッグを出すという手段もある。
 桐条グループのどこかの施設から、いきなり人型機動兵器が現れて、堂々と空を飛んでいくような真似をすれば……うん、かなり面白い事態になりそうだ。
 そうなれば、桐条グループは騒ぎを静めるのに奔走する必要があり、少なくても当分は俺に構っているような時間はなくなる筈だ。
 もっとも、逆にその辺りの騒動を収めてしまえば、色々な勢力と協力して俺を捕らえるために躍起になるのは間違いないだろうが。

「うん、そうね。分かったわ。今すぐに答えは出せないけど、もうちょっと考えてみる」

 やがて考えを纏めたのか、ゆかりはそう告げてくる。
 どうやら、最終的にはそのような結果になったらしい。
 少なくても問答無用で却下されるのではなく、しっかり考えるという事になったのだから、問答無用で却下した以前よりは進展しているのだろう。

「そうしてくれ。お前の父さんの件をはっきりとさせる為にもな」
「……うん」

 数秒の沈黙の後で頷いてくるゆかりの様子を見て、今日はもうこれ以上ここにいる必要はないだろうと判断し、改めて口を開く。

「じゃあ、俺はそろそろ行くよ。考えが纏まったら教えてくれ。それまで、暫くはタルタロスの攻略はしない方がいいだろうな」
「そうね」

 そんな短い言葉を交わし、指を鳴らして炎獣を消滅させる。
 急に暗くなったにも関わらず、ゆかりは考えに集中しているのか特に気にした様子もない。
 そんなゆかりを見ながら、俺は影に身体を沈めていく。
 いつもの影による転移。
 ただし、今回の転移先は俺の部屋ではなく、ポートアイランド駅の裏側だ。
 いつもであれば、不良が溜まり場にしている場所。
 だが、影時間の今は当然のように棺が大量にあるだけだ。
 ……この棺、開ければ実は中にその人がいたりするのか?
 ふとそんな疑問を抱くが、今日俺がここに来たのは別にそんな危ない実験をする為ではない。
 桐条の件をゆかりに承諾させたと……少なくても考えるように持っていけたと、そう荒垣に説明する為だ。
 今回の一件には荒垣からのアドバイスもあった。
 そう考えれば、やはりこの一件の結果は荒垣にも知らせておいた方がいいだろうと、そう判断した為だ。
 本来なら影時間が終わった後、携帯で連絡をしてもいいんだが……影時間は3時間から4時間くらいはある。
 そう考えれば、いざ影時間が終わった時に連絡をしようとしてもすっかり忘れている可能性があったし、もしくは影時間の最中に俺が眠ってしまう可能性もある。
 そんな訳で、善は急げとこうして荒垣が溜まり場にしているポートアイランド駅の裏側にやって来た訳だ。
 そうして荒垣の姿を探して歩いていた訳だが……

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 うん?
 その荒垣を見かけたのはいいのだが、その荒垣は荒い息を吐きながら建物の壁に寄りかかっている。
 月明かりと星明かりしかない影時間にそんな真似をしているのを見れば、何だか微妙にシャドウに見えない事もない。

「荒垣、どうした?」
「っ!? ……い、いや、何でもない。ちょっと走って疲れただけだ」
「……本当か?」
「ふぅー……ああ、そうだ。問題ない」

 何だか微妙に怪しいが、かといって何か証拠がある訳ではない。
 そう判断すると、俺は荒垣にゆかりの件を報告するのだった。
 桐条との話し合いが行われて、それが上手くいったら、一度荒垣について桐条美鶴に聞いてみてもいいかもしれないな。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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