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夢幻水滸伝

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第十九話 四国上陸その八

「その辺りもやっていくぜよ」
「はい、是非」
「関西のモン達もよくわかってるぜよ」
「全くですね、吉川さんもおられて」
「姫巫女さん達もぜよ」
「関西は太宰さんが抜群の政治力をお持ちなので」
 彼のことは日本中で非常によく知られている、関西の政を取り仕切る見事な宰相としてである。
「そちらも治まっていますね」
「凄いお人ぜよ」
「ですから関西は港も整っています」
「いいことじゃ」
「はい、そして我々は」
「その太宰さんもじゃな」
「仲間にしますね」
 織田は家鴨の顔を笑わせて正岡に問うた、見れば鳥の顔にも表情がある。特に目にそれが出ている。
「やはり」
「当たり前じゃ、関西の星のモンは全員じゃ」
「我々の仲間ですね」
「わしが棟梁になってじゃ、ただのう」
「正岡さんのお考えではですね」
「天下が豊かになればええ」
 こうした考えだというのだ。
「わしが棟梁になるとかはな」
「実はですね」
「二の次でじゃ」
「天下が豊かになること」
「貿易で力をつけてな」
「そしてですね」
「日本が太平洋、ひいては世界の一番の国になることぜよ」
 これが正岡の第一の願いなのだ。
「それがわしが一番目指してることじゃ」
「そうですね」
「わしが棟梁になってもじゃ」
「それでも日本が豊かにならないのなら」
「何もならんぜよ」 
 着物の袖の中で腕を組みつつ言った。
「それじゃあ」
「そうですね」
「だからぜよ、わしが棟梁になるとかはええんじゃ」
「まさに二の次ですね」
「おまんには棟梁に推挙してもらったが」
「当然です、私は只の僧です」
 織田は自分のことをこう述べた。
「この世界では学識と法力には自信がありますが」
「それでもじゃな」
「一つの勢力の棟梁にはです」
「向かんっていうんじゃな」
「そうした器ではありません」
「ええ坊さんになると思うがのう」
「僧は僧、棟梁は棟梁です」
 また違うものだというのだ。
「ですから」
「おまんは棟梁にはならんかったか」
「はい、そもそも私は人の星で正岡さんは地の星」 
 織田は星の格のことも話した。
「使う神具の数も違うだけに」
「わしの方が強いっちゅうんじゃな」
「はい、そうです」
「そうでもないと思うがのう」
「そうですか」
「そうじゃ、それ言うたら日本じゃ関西じゃ」
 星のことでもこの勢力が第一だというのだ。
「神星が三人もおるんじゃ」
「特に紫さんはですね」
「神星の中でも頂点の三極星の一つじゃ」
 そうだというのだ。
「そうじゃからあの人が一番になるわ」
「言われてみますと」
「そうじゃな、あそこが天下を統一することになるわ」
「確かに関西はかなり有利な立場ですが」
「勢力が大きい、星のモンが多いとかその力が強いだけで決まるか」
「そうとも言い切れないですね」
「そういうことだけで世の中は決まらんぜよ」 
 正岡ははっきりと言い切った。 
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