転生とらぶる
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ペルソナ3
1804話
「えーっと……飴?」
宝箱の中に入っていた物を見せると、ゆかりは首を傾げながら呟く。
そう、ダンシングハンド3匹を倒した俺達だったが、予想通りにこの階層にあった宝箱は1つだけ。
例によって例の如く、罠を怖がったゆかりは隠れ、俺は宝箱を開けた。
……ちなみに、荒垣もゆかりと共に避難していな。薄情者め。
ともあれ、宝箱の中には飴が2つ入っていたのだ。
勿論飴と表現はしているが、その辺で売っている1袋100円とかのような飴ではない。
飴を包んでいる紙も、どことなく高級そうな感じがしている。
恐らく高級な飴というのはこういう風になっているんだろう。……そういう飴は食べた事がないから分からないけど。
ともあれ、飴なのは間違いない。
「……何で飴がタルタロスの中にあるんだ?」
俺とゆかりが感じていた疑問を、荒垣が言葉にする。
そう、俺やゆかりが戸惑っていた理由は、荒垣の言う通り何故か飴がタルタロスの中にある宝箱に入っていたという事だった。
このタルタロスがいつ出来たのかは分からないが、それでも荒垣から聞いた話によればここ1年程じゃないのは明らかだ。
だとすれば、この飴は最低でも1年以上前の……下手をすれば、それこそ十年以上前の代物だという事にならないか?
このタルタロスは影時間の間だけしか姿を現さない建物だが、それでも1日3時間から4時間程度の間は存在している。
当然時間が経てば、飴であっても悪くなるだろう。
そうなると、もしかして誰かが一定期間ごとに入れ替えているのか?
幸いという言い方はこの場合当て嵌まらないのかもしれないが、この10階は小ボスのいる階層であって、他の階層とは違って構造は変化しない。
そう考えれば、それ程不思議でもない……のか?
「あー……まぁ、現金が入ってたりする時点で色々とこのタルタロスについては考えるだけ無駄って気がするしな。取りあえず入手しておけばいいんじゃないか? ……問題なのは、この飴がどんな効果を持っているかって事だが」
相変わらず、この手の代物がどんな効果を持つのかは、全く分からない。
俺達以外に誰かタルタロスを進んでいる奴がいるのなら、その辺りを聞けたのかもしれないが……残念な事に、現在タルタロスを攻略しているのは俺達だけだ。
荒垣と組んでいた桐条、真田の2人も、タルタロスには殆ど手を出していないって話だし。
まぁ、それでもタルタロスから抜け出したシャドウを倒しているってのは、こっちにとって嬉しい出来事だが。
「……そうか。まぁ、アルマーがそう言うのなら、俺はこれ以上は何も言わん。実際どこから金が出ているのかといったように、疑問は抱くけどな。それに、アルマーが持っている飴にしても丁度2つだから岳羽と2人で分ければいいだろ」
「え? 荒垣さんはいらないんですか?」
「俺はお前達にくっついてきてるだけだ。特にさっきのシャドウ……アルマー曰く、ダンシングハンドだったか? そいつを倒したのは、あくまでもアルマーと岳羽の2人だ。俺はそのお零れに預かろうなんて気はねえよ」
まさにツンデレ。
そんな風に口に出したいが、もし言えば荒垣を怒らせる事になるのは確実だろう。
そうである以上、それを言う事は出来ない。
それに、小ボスの宝箱に入っていた以上、この飴が何か特別な効果を持った飴であるという可能性は十分にある。
争わずに飴を分ける事が出来るというのであれば、俺にとってそれは寧ろ運がいいと言ってもいいだろう。
「分かった。なら、荒垣の言葉に甘えさせて貰うよ。……それで、ゆかり。これはどうする?」
「どうするって言われても……このまま食べるのはちょっと怖いわね」
「だろうな」
普通に考えれば、いつからここにあったのかも分からないような、そんな飴だ。
ましてや、宝箱に入っていた以上、何らかの効果があるのは確実だろうが、それがどのような効果なのかも分からないというのは非常に痛い。
……不幸中の幸いというのもどうかと思うが、飴玉という時点で恐らく食べた者に何らかの能力増加とかの効果を与えるのだろうというのは予想出来た。
まさか、敵対しているシャドウに飴玉を与えろなんて馬鹿な事をさせようと思う筈もないし。
ああ、意外とシャドウを懐かせる……いわゆるテイムする為の飴だったりするのか? まさかな。
ともあれ、そう予想出来る以上、宝石とかよりは使用目的がはっきりしていると言ってもいい。
……もっとも、実は敵対している人間を罠に嵌める為の飴だとか言われれば、こっちはもうどうしようもないんだが。
出来ればそういうのじゃないといいんだが。
「……どうする?」
「どうするって言われても、どういう効果があるのかを確認する為には、実際に食べてみるしかないんじゃない?」
「それはそうなんだけどな」
予想外に積極的なゆかりの意見に、少しだけ驚く。
もし罠だったら……とか、そういう風にはかんがえないんだろうか。
もっとも、小ボスのいる階層にある飴である以上、恐らく大丈夫だとは思うんだが。
「あ」
ん? 荒垣が珍しく唖然とした表情を浮かべているが……
そんな荒垣の視線を追うと、そこではゆかりが渡した飴を口の中に入れようとしているところだった。
「って、おい!?」
注意深く、どちらかと言えば慎重な性格をしているとばかり思っていたゆかりが、まさかいきなり飴を食べるとは思わなかった。
咄嗟に声を掛けるが、それに対してゆかりは特に気にした風もなく飴を舐める。
「ん、これ……美味しいわね。別に何か私に不都合があるって訳じゃないみたいよ? それどころか……そう、私の中にある何かが満ちていくような、そんな感じがする」
「……何か? 何かってのは、具体的に何なのか分かるか? まぁ、説明出来ないからこそ、何かって表現なんだろうが……そこを何とか頑張ってみてくれ」
「え? うーん……そうね、ああ、イオにガルを使って貰った時に減っていった何かが回復する感じ……かしら?」
ゆかり本人も、明確にそれで正解だとは分かっていないのだろう。
だがそれでも、こうして何となくといった感じで言えるという事は、恐らく何かそういう点で感じるところがあるといったところか。
そして、今の説明を聞けば何が回復しているのかというのは容易に想像出来る。
魔法を使った何かが回復するのであれば……それは、魔力以外に有り得ないだろう。
もしそうだとすれば、この飴はかなりの貴重品という事になる。
ネギま世界でも、体力を回復させるマジックアイテムの類はそれなりにあったが、魔力そのものを回復させるとなると、かなり貴重だった筈だからだ。
少なくても、こんなダンジョンの最初の場所に置かれていていいような代物ではない。
「魔力か」
「そうね、その表現が相応しいのかも」
もしかしてこの世界が原作となっている作品では、魔力とかMPとか、そういう言い方はしないのかもしれない。
だが、俺に取っては魔力という言い方の方が分かりやすい。
実際、俺が初めて魔法に触れたネギま世界では魔力という表現をしていたというのも大きいだろう。
ともあれ、この飴が魔力を回復するのだとすれば……
「……ゆかり、これはお前が持ってろ」
数秒悩んだが、結局この飴はゆかりに渡した方がいいだろうと判断する。
「え? 私の分は食べたのに……いいの?」
「ああ。魔力を回復させる代物なら、俺にはいらない」
俺とゆかりのやり取りを見守っていた荒垣だったが、今の言葉を疑問に思ったのか訝しげに口を開く。
「何でだ? 魔法を使うって意味なら、それこそアルマーがその飴を食った方がいいんじゃねえか? あれだけ色々と魔法を使ってるんだからよ」
「俺の場合は元々の魔力がかなりあるしな。それに、体質的にすぐ魔力が自然回復する」
正確にはSPブーストというスキルに複合されているSP回復の効果なのだが、それを荒垣に説明してもまず理解されないだろう。
だからこそ、こうして適当に誤魔化す。
「実際、さっきのダンシングハンドとの戦いで結構な魔力を使ったけど、既に全快してるしな。それに比べると、ゆかりは今日タルタロスに入ってからイオにかなり魔法を使わせている。だとすれば、やっぱりこの飴は俺じゃなくてゆかりが持ってた方がいい」
実際、イオはかなりガルを使っている。
それでもMP切れをしているように見えないのは、元々イオが魔法使い系のペルソナだからなのか、それとも俺のようにSP回復系のスキルか何かを持っているのか。
今はもうなくなったが、相手のステータスを確認出来る能力があれば、その辺りはしっかり確認する事が出来たかもしれないな。
「……なるほど。まぁ、アルマーがそう判断したなら、俺からはこれ以上言う事はねえけどな」
荒垣も納得出来たのか、大人しく引き下がる。
実際には、この飴の効果がどのくらいのものかは分からない。
だが、もし量産出来るのであれば……シャドウミラーとしては非常に希少な代物となるだろう。
そういう意味では、確保しておきたい。
だが、タルタロスの10階で出てくるような代物だ。
今よりも上の階層で、再度入手出来る可能性は非常に高かった。
その辺りの事情を考えると、やはりこの飴はゆかりに渡しておいた方がいいだろう。
「いいの?」
最後の確認と言った様子で尋ねてくるゆかりに頷きを返す。
そんな俺の様子を見て、ゆかりは笑みを浮かべて飴を受け取る。
「ありがと」
少し照れくさいように感じられたのは、俺の気のせいという訳ではない筈だ。
「ゆかりとイオには、これからも色々と頑張って貰う必要があるからな。……さて、それよりも先を急ごう。そろそろ階段と双方向ターミナルを見つけておきたいからな」
そう告げると、ゆかりと荒垣の2人も頷く。
もっとも、何故か荒垣は俺に対してどこか呆れたような表情を向けてもいたのだが。
「荒垣?」
「いや、何でもねえよ。ただ、どっちも素直になれない奴だと思っただけで」
「……素直に?」
荒垣が何を言いたいのか分からず首を傾げるが、結局のところはそれ以上は何も言わずにタルタロスを進んでいく。
もっとも、この10階は小ボスと戦う為の階層だ。
そうである以上、特に迷うようなこともなく上に続く階段と双方向ターミナルを見つける。
そして双方向ターミナルを起動させると、今日やるべき最低限の用事は済ませたという事になる。
「さて、どうする? このまま帰るか、それともちょっと11階を見てみるか。俺は11階をちょっと見てみたいんだけど……」
言葉を止め、2人の様子を眺める。
荒垣は言葉には出さないが、どちらかと言えば反対。ゆかりはどっちでもいいと悩んでいる……といったところか。
うーん、どうしたもんだろうな。
まさか、ここまで綺麗に分かれるとは思わなかった。
「取りあえず……行くか」
「おい、結局行くんなら、何で聞いたんだよ」
荒垣が再び溜息を吐きながらそう告げてくるが、俺はそれを右から左に聞き流す。
死神辺りが出ると危険なんだが、ランダムで色々な場所に出るのだろう事を考えれば、多分そこまで心配する必要もない……と、思う。
いや、もしここで死神が出れば、ゆかりと荒垣はすぐに10階に戻して俺がそのまま戦うというのもありかもしれないな。
そんな風に考えながら階段を上がり、やがて俺達は11階に到着する。
「……何も、ないわね」
いつでもイオを召喚出来るよう召喚器を手にし、ゆかりが呟く。
やはり、ゆかりも死神が姿を現すことを警戒していたのだろう。
階段を上がって、すぐだったからな。
それが半ばトラウマになっていたとしても、おかしくはない。
その状況を期待するのかどうかという事であれば、俺もまた似たようなものだが。
荒垣だけは、周囲を警戒しているものの俺とゆかりとは様子が違う。
……実際、あの死神がどれだけの相手なのかというのは、それこそ直接会った者でなければ分からないだろう。
タルタロスにいた以上、あの死神もシャドウなのは間違いない。
だが、臆病のマーヤのようなシャドウと同じシャドウだと言われても、到底信じられない相手だ。
いや、寧ろシャドウという枠の中で強くなっていけば、いずれああいう死神のような強さを持つ可能性もあるのか。
そうなると、タルタロスの上層部にいるシャドウは、いったいどれだけの強さを持つ奴がいるのやら。
「おい、アルマー。11階の様子を見るだけなら、そろそろいいんじゃないか?」
「……そうだな。こうして見る限り、11階も今までの階層とそう変わらない。特に見るべき物もないようだし、そろそろ戻るとするか」
荒垣の言葉に頷き、俺達は10階に戻ると双方向ターミナルを使って1階にあるエントランスに転移し、そのままタルタロスから出るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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