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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十話 明けない夜はないその十二

「折角だから」
「三リットルだね」
「そう、折角美味しいんだから」
 それでというのだ。
「それ位は飲みましょう」
「うん、じゃあね」
 僕も頷いた、そしてだった。
 ベーコンをお口の中に入れて食べてからだ、またビールを飲んだ。苦い独特の味が舌を刺激する。その炭酸もだ。
 炭酸の刺激も味わってからだ、僕はごくごくと飲んでからジョッキを置いて言った。
「何かね」
「何かって?」
「調子が出て来たかな」
 飲むそれについてだ。
「どうもね」
「そうみたいね」
「この勢いだとね」
 そのごくごくといった飲み方を思い出して言った。
「そうなってきたよ」
「それは何よりね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「これが六杯目終わるまで続くか」
 それはだった。
「わからないね」
「ではだ」
 井上さんは僕のその言葉を聞いて言った。
「おつまみの追加だ」
「飲むあてのですか」
「お酒はそれだけで飲むよりもだ」
「おつまみですね」
「それがある方がいい」
 お酒だけ飲むと胃にもよくない、すきっ腹には堪える。
「だからだ」
「おつまみの追加ですか」
「ソーセージだ」
 具体的にはこれだった。
「そしてジャガイモもだ」
「その二つですか」
「ドイツ人の様にな」
 またドイツの話になる、オランダを模した場所でもビールといえばどうしてもこの国のイメージになるせいか。
「そうしよう」
「じゃあ」
「すいません」
 井上さんは右手をぴしっと挙げてウェイターの人を呼んだ。
「ソーセージとフライドポテト六人前ずつ追加です」
「えっ、六人前ですか」
「それだけないとだ」
 井上さんは僕の突っ込みに冷静に返した。
「それぞれ六杯は飲めない」
「だからですか」
「頼んだのだ」
 六人前ずつ、一人辺り二人前ずつというのだ。
「そして足らないならだ」
「追加ですか」
「そのつもりだ、これが枝豆ならだ」
「ひょっとして」
「もっと頼んでいた」
 二人前ずつで済まなかったというのだ。
「あれは麻薬だ」
「お酒が進む、ですね」
「特にビールの時はな」
「ここはオランダですからね」
「ドイツにもない」
「だからですね」
「頼まないが」
「ダオもね、あれは確かに美味しいけれど」
 それでもとだ、ダオさんも言ってきた。
「オランダにないから」
「頼まないんだね」
「だったらソーセージとジャガイモよ」
 この二つになるというのだ。
「そういうことでね」
「飲んでいくんだね」
「そうしましょう、いいわね」
「うん、じゃあダオさんも」
「ソーセージとジャガイモよ」
 この二つをというのだ。 
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