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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十話 明けない夜はないその九

「他にもいいつまみがある」
「串カツね」
「わかっているか」
「あれもいいわね」
 ダオさんはしみじみとした口調で井上さんに応えた。
「確かに」
「そうだな、ビールにな」
「大体揚げものが合うのよね」
「だから今もフライドポテトも頼んだ」
 そのお芋を実際に食べつつだ、井上さんは言った。
「この様にしてな」
「揚げものが合うから」
「そうしたし串カツもだ」
 合うというのだ。
「最高の組み合わせとなるのだ」
「あと日本だとお好み焼きや焼きそば?」
「そちらもいいな」
「そうよね」
「串カツはいい」
 井上さんはまた串カツの話をした。
「あれとビールだと幾らでもいける」
「ソーセージと一緒で」
「とことんまでな」
「日本のビールって美味しいしね」
 井上さんはもうジョッキを空にした、それでお店の人を呼んでおかわりをした。外の露店で楽しく飲んでいる。
「どんどん飲めるわ」
「ビールって国によって味が違うしね」
 僕もここで言った。
「ビールもって言うべきだけれど」
「そうよ、ベトナムのビールもね」
「その味があるね」
「ビールも色々よ」
「本当にそうだね」
「ダオは日本のビール好きよ」
 一口飲んでからの言葉だ、おかわりのそれを。
「この通りね」
「そうみたいだね」
「ただ、ジョッキは小さい?」
「ああ、それも言われるよ」 
 僕もここでジョッキを一杯開けた。井上さんはもう空けていて二杯目を注文している。
「日本のジョッキは大でもね」
「小さいわよ」
「本当に言われるよ」
「もっとね、リットル単位とか」
「ドイツみたいに」
「そうしたのがあると」
 結構切実にだ、ダオさんは言った。
「ダオとしては嬉しいけれど」
「ドイツみたいに」
「ドイツは行ったことないけれど」
 それでもというのだ。
「ダオとしては羨ましいし」
「ドイツ行きたい?」
「行きたいわね」
 実際にという返事だった。
「それでソーセージとかと飲むのよ」
「そうだな、バイエルン等でだ」
 井上さんはベーコンを食べつつ言った、ベーコンは炒められていて油でテカテカとしている。これまたビールによく合う。
「アイスバイン等と共にな」
「飲むのよね」
「ハンバーグもいいな」
「そっちもいいわね」
「ドイツではハンバーグは名前が違うが」
「あれっ、そうなの」
「その名前は忘れたが」
 しかしというのだ。
「確かそうだった」
「ふうん、そうなの」
「だからドイツでハンバーグといっても通じないことが多い」
「あの国のお料理なのに」
「それでもだ」
 こうダオさんに話した。 
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