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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1797話

 夜、午後11時50分くらい。
 日付が変わるまで……つまり、影時間がやってくるまでもう10分くらいというところで、荒垣がやって来た。

「邪魔するぜ。……ほら、これは差し入れだ」

 2月の冬という時季だけに、吐く息は白い。
 それこそ、下手をすれば雪が降ってきてもおかしくないだろう気温。
 だが、そんな中で荒垣が俺に渡したコンビニの袋の中には、何故か冷たいスポーツ飲料が入っている。
 いやまぁ、俺はどっちでも構わないから、それでいいけどな。

「悪いな、ありがたく貰っておくよ。影時間が始まるまでは部屋で待っててくれ」
「おう」

 幸い、部屋の中は電気ストーブで寒くはない。
 それどころか、4畳程度の部屋という事もあって、暖かくなるのに時間は掛からなかった。
 ……古い分、電気ストーブを消せば寒くなるのも早いんだが。
 ともあれ、俺の場合は混沌精霊なのでこの程度の寒さは全く関係ないんだが、荒垣の場合はそうもいかない。
 いや、荒垣の場合は寧ろこの程度の寒さは何ともなかったりするのか?
 ともあれ、テーブルに座った荒垣はTVに視線を向けていた。
 そこには、俺が何となく見ていたバラエティ番組が映っている。
 久慈川りせとかいう、駆け出しだろうアイドルが妙に印象に残っていた。

「お前も、こういう番組を見るんだな」
「暇潰しにはちょうどいいしな」

 荒垣にそう言葉を返してから、改めてその姿を見る。
 ゆかりにペルソナ使いとしてのアドバイスはするが、戦闘はしないという意思表示なのだろう。特に武器の類を持っている様子はない。
 そんな荒垣を見て……ふと、思い出す。
 本来なら、真っ先に聞かなければ事を。
 ゆかりのペルソナの件で集中していて、それどころではなかったのだ。

「荒垣、タルタロスに死神みたいな外見のシャドウが出るのは知ってるか? 1m近い銃身を持つ拳銃を両手に持ってるような」
「……は? 何の冗談だ、それは」

 荒垣にしては珍しく、目を見開いている姿。
 演技でも何でもなく、あの死神については知らないらしい。

「実は昨日、タルタロスでそういうシャドウに遭遇したんだよ。相当に強力なシャドウがな。それこそ、ゲームならラスボスとか隠しボスとか、そんな感じでもおかしくないだけの強さを持つシャドウだ」
「……いや、俺はそんなシャドウは知らねえな。それに、前にも言ったと思うが、俺が桐条グループに……いや、桐条に協力していた時は、タルタロスの攻略は殆ど出来ていなかった。それでも2階、3階くらいは進んだが……そんな中で、死神のようなシャドウと遭遇したといった記憶はねえな」
「そうか」

 あの死神に対して何の情報も得られなかった事を残念に思いながら溜息を吐くと、ちょうどそのタイミングで時間が影時間になる。
 既にこの世界に来てから何度も経験した事だけに、既に影時間に取り込まれても、特に驚くような事はない。
 周囲の様子を眺めながら、荒垣に向かって口を開く。

「じゃあ、ちょっとゆかりを迎えに行ってくるから、荒垣は待っててくれ」
「あ?」

 その返事を了承の返事だと判断すると、そのまま俺は影のゲートに身を沈めていく。
 それを見た荒垣が。何か言ってるような感じもしたが……取り合えず、それは聞かなかったことにする。
 そうして影を抜ければ、そこは既に俺にとってもお馴染みの場所、女子寮にあるゆかりの部屋だ。
 月光館学園の中でもかなり人気の高いゆかりだ。
 もし真夜中にゆかりの部屋にやって来ているという話を聞けば、恐らく……いや、間違いなく、冗談でも何でもなく血涙を流す奴が出てくるだろう。

「こっちの準備はいいわよ。じゃあ、行きましょう」

 ゆかりの声がやる気に満ちているのは、ペルソナという能力を実感しているからだろう。
 聞いた話によれば、まだ自由にペルソナを召喚する事は出来ないらしいが、間違いなく自分の中にペルソナがあるというのは、感じられるらしい。

「言っておくが、今日は無理しないぞ。……昨日の死神の件もある」

 そう告げると、ゆかりの表情が厳しく引き締まった。
 まぁ、無理もない。今まではシャドウといっても雑魚に等しい存在だったのに、いきなりあのような死神が姿を現したのだから。
 ただ……確証がないのでまだゆかりには言わないが、恐らく今日昨日と同じ階層に行っても、恐らく死神はいないだろうというのが、俺の予想だ。
 そもそも、あの死神はまだ低い階層で出てくるには強力すぎる。
 である以上、昨日俺達があの死神と遭遇したのは、恐らく何らかのイレギュラー的なものだったのだろう。
 可能性として一番高いのは、あの死神はタルタロスの中を自由に移動しているという点か。
 もしくは、ゲーム的に考えればタルタロスに長い間いると、そのペナルティとして死神が現れるとか……いや、ないな。
 今までにもタルタロスに長時間いた事はある。
 昨日だけが特別に長い時間いたって訳じゃないしな。
 となると、やっぱりランダム性が高いと考えた方がいい。
 それでも念の為、今日は2階や3階といった場所でシャドウを狩る予定だ。
 ランダム性があるのなら、2階や3階でも死神が姿を現す可能性は否定出来ないが……
 いっそ、俺だけでタルタロスに向かうってのも考えた方がいいかもしれないな。
 自分で言うのも何だが、俺だけであれば死神と互角に戦う事も難しくないと思う。
 昨日の戦い自体は短かったが、それでも向こうの実力はフェイト級だというのは理解出来た。
 つまり、フェイトに勝てる俺なら倒すのは不可能ではない。
 ……もっとも、それはあくまでも俺が本気で戦えばだ。
 そう、それこそ周囲の被害とかを考えないで。
 ……あの死神を倒したのはいいが、その結果としてタルタロスが消滅してシャドウとか影時間に関係する情報が何も得られないまま……というのは、色々と不味い。
 そうならない為には、何とか力を抑えたままで戦う必要があるんだが……さて、どうだろうな。

「アクセル?」
「ん? ああ、悪い。あの死神について考えていた。今度遭遇したら、どうやって倒すべきかってな」
「……あの死神を倒すって考えられるのが、アクセルらしいわよね。私は一目見ただけでどうしようもない相手だと思ったけど」
「ゆかりの場合は、戦いそのものに慣れてないからな。その辺りは仕方がない」
「何よ、じゃあアクセルは戦いに慣れてるの?」
「そうだな。前にも言ったと思うけど、俺の場合は色々な世界に行ってるから、色んな相手と戦ってもいる。例えば……幾つもの世界を滅ぼしてきた邪神とか、始まりの魔法使いとして異界を生み出した魔法使いとか、遙か古代に滅んだ文明から神として崇められていた宇宙生物とか……1人の人間にも関わらず、底知れぬ威圧感を持つ敵とか。それはもう、様々な相手とな」

 そんな中でも、一番の強敵というのが邪神とかそういうのではなく、1人の人間……シュウだというのが、実は人間の可能性というのを示しているのかもしれないな。

「……どんな人生を歩んできたのよ、あんたは」

 溜息を吐きながらも、俺の魔法とか持っている武器とかを見れば、それを否定出来ないと考えたのか、それ以上は何も言わなかった。

「ま、男は謎が多い方がいいだろ?」
「アクセルの場合、謎が多すぎるのよ」
「そうか? まぁ、それはともかくとしてだ。部屋で荒垣が待ってるし、そろそろ行くぞ」

 その言葉にゆかりが頷き、俺達はそのまま影に沈んでいき……

「うおっ!」

 部屋の中にゆかりと共に姿を現した瞬間、荒垣の口から驚愕の声が漏れる。
 まぁ、影に沈んでいくところを見ていたら、今度は影から俺達が出てくるところを見たのだ。
 普通なら……いや、多少普通ではなくても、驚くのは当然だろう。
 それでもさすが荒垣と言うべきか、驚いたのは一瞬で、すぐに動揺を沈めて口を開く。

「遅かったな」
「悪いな、ちょっと死神についてゆかりと話してたんだよ。……さて、それじゃあ……」

 行くか。
 そう言うよりも前に、荒垣が口を開く。

「待て」

 そう告げると、懐から拳銃のような物を取り出す。
 ただし、微妙に装飾が入っている辺り、本物の拳銃には見えない。
 そこまで考え、その拳銃に見える物が何なのかを理解する。
 荒垣が言っていた、召喚器なのだろうと。
 実際、次の瞬間に荒垣の口から出たのは、俺の予想を裏付ける言葉だった。

「これは召喚器だ。これがあれば、ペルソナを簡単に出せるようになる筈だ」

 そう告げ、荒垣は召喚器をゆかりに差し出す。
 それが何を意味しているのかというのは、当然のようにゆかりにも理解出来たのだろう。
 戸惑ったように、そして若干困ったように、ゆかりはこちらに視線を向けてくる。

「え? でも……その、いいの? これは荒垣さんの使う召喚器なんでしょう? それを私に渡しても……」
「構わねえよ。元々、俺はもうペルソナを使ってどうこうするなんてつもりはねえんだからな」

 そう告げる荒垣の様子は、虚勢を張っている訳でも何でもない、ただ正直に言葉を発しているだけ……といった様子だった。

「この召喚器を使えば、少なくてもペルソナを出そうと思って出せないって事はなくなるだろ。お前がタルタロスに挑む上では必要になる代物だ。もう使わない俺が持ってるより、お前が持ってた方がいい」

 半ば押しつけるような、そんな風に召喚器を渡す荒垣に、ゆかりもそれ以上は何も言わずに受け取る。

「ありがとうございます」
「アルマーの奴は色々と無茶をするからな。何かあったら、お前が止めてやれ」
「……私に止められるとは、到底思えないんですけどね」

 何故か苦笑を浮かべるゆかりに、荒垣は何故か納得したような表情を浮かべる。
 この2人の俺に対する意識って、どんな風になってるんだろうな。
 その辺り、少し気にならないでもない。

「とにかく、ゆかりは召喚器があればペルソナを使いやすくなるんだろ? なら、それでいいだろ。……じゃあ、そろそろタルタロスに行くぞ」

 そう告げ、荒垣とゆかりの準備を整えさせるといつものように影のゲートを展開し、そこに身体を沈めていく。

「おわっ! お、おいアルマー! これ、本当に大丈夫なんだろうな!」

 初めての感触に、荒垣の口から悲鳴のような声が出る。
 強面の荒垣にしては珍しい態度ではあるが……この辺り、初めて影のゲートを経験するのであれば、ある意味当然の結果なのだろう。

「心配するな、この魔法は今まで何度も使っている。それに、ゆかりを見てみろよ。悲鳴を上げたりなんかしてないだろ?」
「……私の場合は、もう慣れたってだけなんだけどね」

 ゆかりの口から漏れた声が聞こえてくるが、それは聞き流し……やがて俺達3人の姿は完全に影に沈むと、次の瞬間にはタルタロスの前に姿を現す。
 エントランスに直接転移してもいいのかもしれないが、タルタロスの中だけに何が起きるのか分からない。
 そう考えれば、やっぱりここに出てから自分の足でタルタロスに入って、エントランスに向かうのが最善の結果だろう。

「……っ!? タルタロス、か」

 影から出た事に驚いた荒垣だったが、それでも目の前にあるのがタルタロスであると知ると、どこか感慨深そうに呟く。

「ああ。荒垣にとってはいつぶりになるのかは、分からないけどな。……ともあれ、タルタロスだ」

 改めて目の前にある、それこそどこまでも伸びているかのようなタルタロスに視線を向けながら、荒垣の言葉に頷く。
 色々と感慨深いものがあるのだろう荒垣だったが、それでも俺に声を掛けられると我に返ったようにこっちを見てくる。
 そして……

「行くぞ」

 妙な姿を見せた照れ隠しなのか、それとも本当に何も感じていないのか……見た感じでは照れ隠しのように見えるが、ともあれ荒垣はタルタロスの中に入っていく。
 俺とゆかりは視線を合わせると、どちらからともなく頷き、荒垣の後を追う。
 そうしてタルタロスの1階……エントランスに到着すると、再び荒垣が口を開く。

「変わってねえな」
「そうなのか? まぁ、今まで何度もタルタロスに入ってきたけど、2階よりも上は毎日のように変わるけど、エントランスは一切変わらないしな」

 そう荒垣に尋ねるが、このタルタロスてのは本当にどうなってるんだろうなと、改めて思う。
 普通にシャドウが出てくる場所は毎日のように変わるのに、何故このエントランスだけは毎日変わらないのか。
 何らかの原作がある世界だと考えれば、戦力を整える的な意味でこういう風になっていると言われれば、妙に納得してしまうのだが。

「だろうな。……じゃあ、行くぞ。今日は浅い階層での戦いだ。死神とやらが出てきたらすぐに逃げるから、そのつもりでいろよ」

 そう告げる荒垣は、2階に続く階段に向かって足を踏み出すのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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