転生とらぶる
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ペルソナ3
1796話
即座に……いや、それどころか反射的にと言ってもいいような速度でゆかりの提案を断った荒垣。
当然ながら、考えもせず問答無用で断られた事にゆかりが納得出来る訳がない。
「何でですか?」
それでも責めるとか、問い詰めるようにとかじゃなくて、普通に尋ねているのは……やっぱり、自分が荒垣に教えを請うているというを理解しているからだろう。
「残念だが、俺はもうペルソナとか影時間とかに関わるつもりはねえんだ。……もしどうしてもペルソナとかについて知りたいなら、桐条やアキに紹介してやるから、そっちを頼れ」
「嫌です」
そして今度は、ゆかりが荒垣の言葉を聞いて問答無用で却下する。
一体、何なんだろうなこの2人は。
小さく溜息を吐き、口を開く。
「ゆかりは色々と訳ありでな。そっちの2人には頼りたくないらしい。だから荒垣に頼むと、そういう事らしいな」
「……そうか。だが、俺は今も言った通り、もうそっち方面からは足を洗ってるんだ。頼るのなら別の奴を……そう言えば……」
ふと、何かに気が付いたかのように、荒垣の視線が俺に向けられる。
「おい、アルマー。お前はペルソナを使えないのか?」
「ああ、俺の場合は事情があってな。恐らくだが、ペルソナは使えない」
この世界特有の能力であれば、ペルソナを使うのは難しい……と、思う。
勿論、ネギま世界の時のようにペルソナを使える者……ペルソナ使いをスライムで吸収すれば……ああ、いや。駄目だな。ステータスを見れば、スキル欄に空きはない。
基本的に10レベルが上がるごとに1つのスキル欄が追加される事を考えれば、もう7レベル上げないといけないのか。
レベル43とかなり高レベルになってきただけに、かなりレベルが上がりづらくなってるんだよな。
おまけに、ここ暫くはBETA、木星トカゲ、MD、シャドウと、倒しても経験値を貰えないような奴ばかりだったし。
ただでさえレベルが上がりづらくなっているのに、経験値を貰えない敵ばかりを倒してるしな。
……レベルが43になったのはいつだったか?
その事すら忘れそうになるくらいに、随分と前の事のように思える。
「使えない? じゃあ、お前はどうやってタルタロスを攻略してるんだ? もしかして、喧嘩の時みたいに、素手で戦ってるんじゃねえだろうな?」
喧嘩という言葉に、ゆかりの視線がどこか責めるように俺に向けられる。
ゆかりの前でも、何度か喧嘩した事はあった筈だけどな。
だからといって、ゆかりがそれを認めるかどうかってのは別の話だろうが。
「俺は……あー、そうだな」
こっちを責める視線を向けていたゆかりも、俺が何を言おうとしているのかは理解したのだろう。眼力を緩め、任せると頷いてくる。
本来なら、俺が魔法を使えるというのは出来るだけ隠しておく方がいい。
だが、この世界は元々魔法というのが存在しているし、影時間やらシャドウやらペルソナやら、色々とファンタジーに溢れている。
であれば、俺が異世界から来たとかいうのはともかく、魔法の類を使えるというのは示しておいた方がいいだろう。
「荒垣、お前もペルソナを使えるって事は、シャドウと戦った事はあるな?」
「あ? ああ。けど、それが何の関係があるんだ?」
「シャドウは魔法を使う。これは分かるな?」
「……ああ」
「だが、俺の場合はペルソナとは違う魔法を使えるんだよ。……こんな風にな」
指を鳴らすと、俺の腕が白炎となり、一匹の子猫の炎獣……ゆかりには見慣れている姿のそれが生み出される。
「っ!?」
だが、ゆかりにとっては見慣れていても、荒垣にとっては当然のように初めて見る代物だ。
寧ろ、驚きの声を上げないだけ大したものだろう。
「他にも幾つか魔法がある。……ちなみに、俺がタルタロスで主に使っている武器は、これだ」
空間倉庫から、ゲイ・ボルグを取り出す。
武器とかにそれ程の造詣がなくても、見て分かるだろう圧倒的な存在感。
「これは……」
荒垣は、いきなり目の前に現れたゲイ・ボルグに目を奪われる。
タルタロスの中で何度も見ているゆかりですら、思わず目を奪われているのだから、どれだけの存在感を持っているのかという事が分かるだろう。
「ま、これが俺の武器な訳だ」
ゲイ・ボルグそのものは見せたが、槍の名前や……ましてや、どうやって入手したのかという事は、当然教えない。
荒垣には協力を求めている立場ではあるが、ゆかりと違って運命共同体という訳ではないのだから。
……それに、荒垣はまだ桐条グループとの繋がりがある筈だ。
ゲイ・ボルグなんて武器を持っているとそちらに知られれば、間違いなく面倒な事になるだろう。
まぁ、ゆかりがペルソナに覚醒したという時点で、遅かれ早かれ向こうに情報が流れる事になりそうだが。
「そんな訳で、俺にペルソナ能力はない。純粋に俺自身の能力で戦闘を行っている。……だからペルソナ云々と言われても、残念ながら俺はそれに助言をしたりは出来ないんだよ。だから、ペルソナ使いとしての先輩の荒垣に、それを頼みたい」
ゲイ・ボルグに意識を奪われていた荒垣は、そんな俺の言葉で我に返る。
「だから、俺はもう……」
「お前が何を言いたいのかは分かる。分かるけど……そこを何とか頼めないか?」
荒垣に向け、深々と頭を下げる。
俺の横では、ゆかりもまた荒垣に頭を下げているのが横目で見えた。
ゆかりだけではなく、俺だって色々と後ろ暗いところはある。
そもそも、偽物であっても戸籍を手に入れてあるのならともかく、現状ではその戸籍すらないのだ。
桐条グループのような力を持った集団がその辺りを調べれば、間違いなく俺の存在に違和感を持たれるだろう。
また、タルタロスには殆ど挑んだ事がないとは言っても、ペルソナ使いとして影時間に関わってきた長さは、俺やゆかりとは比べものにならない程に長い。
そして経験というのは、時には何よりも重要な代物だ。
そんな訳で、出来れば知恵袋的な存在として荒垣をこちらの仲間に引き込みたいと考えるのは、決して間違っている訳ではない。
「……」
そのまま数秒の沈黙が流れ……
「ちっ、しょうがねえな。ただし、俺はあくまでもアドバイスをするだけだぞ。決してペルソナを使って戦ったりはしねえからな。いいな?」
念を押すように告げてくる荒垣だったが、恐らくそれが荒垣にとっても最大限の譲歩なのだろう。
荒垣のペルソナがどのような能力で、何故そこまで徹底してペルソナを使うのを拒絶するのか。その辺りの事情は気になるが、ともあれゆかりにアドバイスをしてくれるというのであれば、こっちとしては願ってもない。
「悪いな、助かる」
「ありがとうございます、荒垣さん」
俺が感謝の言葉を述べると同時に、ゆかりもまた頭を下げる。
俺よりもゆかりの方が真剣な様子なのは、やはりゆかりがペルソナ使いだからこそだろう。
イオだったか。
あのペルソナを使いこなせるようになれば、それはかなりの戦力になるのは間違いないのだから。
「……ふん」
だが、ゆかりに頭を下げられたのが照れくさかったのか、荒垣は視線を逸らして鼻を鳴らす。
「それで、出来れば俺達の件は桐条グループとかには知らせないで欲しい。頼めるか?」
「それは構わないが……だが、遅かれ早かれ、桐条達には気が付かれると思うぞ? 向こうは高い情報収集能力を持っているからな。というか、影時間にお前達がタルタロスに挑んでいるのが、まだ見つかっていない方が不思議だ」
「何でだ? 向こうは結局のところ2人なんだろ? その2人が動き回っていても、俺達と遭遇する確率はかなり低いと思うが。特に、向こうがタルタロスに潜っていない状況では、尚更な」
「影時間の中では、基本的に機械が動かないというのは理解してるな?」
荒垣の言葉に、俺とゆかりは揃って頷く。
当然だろう。影時間になれば、信号の類を含めて全ての機械が止まるのだ。
それに携帯の類も使えなくなっているのは、経験済みだった。
「そんな中、桐条グループの人間だけが影時間の中でも機械を使える。黄昏の羽根……とかいう希少物質を組み込む事によってな。桐条の奴は、それを組み込んだバイクとか持っていた筈だ」
「……バイク? 確か、その桐条ってのは桐条美鶴で、桐条グループの1人娘だったよな?」
確認の意味も込めて尋ねるが、そんな俺の横ではゆかりが微妙に嫌そうな表情を浮かべているのが見えた。
いやまぁ、理由は分からないが、ゆかりは桐条グループに対して思うところがあるのは間違いない。
それだけに、桐条美鶴がバイクをに乗っているというのを聞いても、素直に納得出来ないんだろう。
「趣味は人それぞれだからな」
だが、荒垣にとっては特にその辺は気にする事ではないのか、あっさりとそう告げる。
「さて、話を戻すが、影時間になればバイクで移動していたり、何より桐条のペルソナは探知能力に秀でている。……少なくても、俺やアキのペルソナよりはな」
「つまり、普通に街中を移動していれば見つかる可能性が高いって事か」
「そうなるな」
「……やっぱり、俺の魔法は便利だと思わないか?」
荒垣の言葉を聞き、ゆかりに笑みを浮かべてそう尋ねる。
そんな俺の言葉に、ゆかりははいはいといった様子で返してきた。
桐条グループに対して色々と思うところがあったゆかりだったが、今の状況を考えると桐条美鶴を欺いてやった、といった思いがない訳でもないのだろう。
「うん? どういう意味だ?」
だが、俺とゆかりのやり取りの意味が分からない荒垣は、当然のように戸惑った視線をこちらに向けてくる。
「俺が魔法を使えるというのはもう、知ってるな?」
「あ? まぁ、ああやって見せられればな」
元々この世界にも魔法があり、更には炎獣を目の前で見せている為か、荒垣は俺の言葉を特に疑う様子もなく、受け入れる。
いやまぁ、子猫の炎獣がいるのを見れば、当然か。
指を鳴らして子猫の炎獣を消しつつ、言葉を続ける。
「俺の魔法の1つに、影の転移魔法ってのがある。それを使えば、それこそ一瞬にしてここからタルタロスに向かうのは難しい話じゃない。そして俺とゆかりは、影時間の移動に関してはこの影の転移魔法を使っていた。……後は、分かるな?」
「な……に……? 転移魔法、だと? そんなのがあるのか?」
転移魔法という存在に驚いたのか、荒垣は目を大きく見開いていた。
いやまぁ、その気持ちも分からないではないけどな。
この世界の魔法に、転移魔法があるかどうかも分からないし。
ああ、でもターミナルみたいな不思議装置があるのを思えば、もしかしたら転移魔法とかがあっても不思議じゃない、よな?
「ああ。普通にあるぞ。シャドウが使う魔法とは全く別系統の魔法だがな」
「……それは、ブフとかか?」
「詳しいな」
にしても、最初に出てくる魔法が氷魔法のブフとはな。
普通なら、火のアギとかそっち系じゃないのか?
そんな風に思うが、残念ながら荒垣にとって魔法というのはブフらしい。
もしかしたら、かつての仲間……桐条と真田のどちらかが、そっち系統の魔法を得意にしていたのかもしれないな。
ああ、でも最初に遭遇したシャドウ……スライムもどきが使った魔法も、ブフだった。
だとすれば、この世界で一般的な魔法としてイメージされやすいのは、もしかしてブフって可能性もあるのか。
ともあれ、その辺りは今はどうでもいい。
「まぁ、タルタロスの中でシャドウが使ってくるしな」
「なるほど。その辺りは、タルタロスを攻略しているお前達には言うまでもなかったか」
少しだけ驚いた様子の荒垣だったが、すぐに納得の表情を浮かべる。
この辺りの切り替えの早さは、荒垣らしいと言えるだろう。
「とにかく、そんな訳で俺達は影時間の時にその辺りを全く動き回っていない……って訳じゃないけど、大抵は影の転移魔法を使っている。移動するのに一瞬で済むから、便利だしな」
「……あの魔法は、便利とかそういう言葉だけで済ませてもいいようなものじゃないと思うんだけど」
ゆかりの言葉に、俺は特に反応しない。
実際、この世界に転移魔法の類があるのかどうかはともかくとして、今それを使えるのは俺だけらしいのは間違いないのだから。
勿論、探せばこの世界でも転移魔法を使える奴がいる可能性というのは、十分にあるのだが。
だが、少なくても現状俺の側にいる者で転移魔法を使える者はどこにもいない。
「話は大体分かった。……ともあれ、だ。俺はお前達の事を桐条達に言うつもりはない。それでいいな?」
確認するように尋ねてくる荒垣の言葉に、俺は頷く。
そして今日の夜にタルタロスに行く予定を話すと、それぞれが準備を整えるべく帰っていくのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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