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レーヴァティン

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第十六話 あらためてその八

「まさかな」
「女の人だってのはか」
「思わなったぜ」
 こう智に言うのだった。
「俺はな」
「それはな」
「あるんだな」
「この世界では結構普通だぜ」
 女性の領主もというのだ。
「このことは知らなかったんだな」
「そこまでは調べてなかったんだよ」
「そうだったんだな」
「ああ、ちょっとな」
 神殿でも調べてなかったのだ。
「結構男女同権だとは思ってたけどな」
「キリスト教の考えですね」
 順一がここで言ってきた。
「それは」
「ああ、男が強いってのはか」
「キリスト教には元々女性蔑視の考えがありますので」
「イブの話だな」
「はい、そこからあります」
 人類の誕生からだというのだ。
「元々は荒野の宗教で男権の中で生まれたので」
「ユダヤ教の中からか」
「キリストもその中にいました」
 ユダヤ教のその中にだ。
「そこから生まれた宗教であるので」
「男が強いか」
「はい、しかしこの島はキリスト教だけではありません」
「ギリシアや北欧もあるな」
「ギリシアも女性蔑視が強かったですが」
 古代ギリシアもそうだった、それがあまりにも強く女性への愛よりも同性愛が好まれていた位だ。
「しかしです」
「こっちのギリシアの系列はな」
「女性蔑視はありませんね」
「キリスト教でもないな」
「そして北欧の方も」
「何かそういうのはないか」
「そうです」
 信仰から来る女性蔑視はというのだ。
「おそらくそのせいで」
「女の人の領主さんもか」
「存在するかと」
「そういうことか」
「はい、そもそも男女は身体の違いはあれど」
「同じ人間だよな」
「共に存在しないとです」
 男と女がというのだ。
「何も出来ません」
「社会が成り立たないな」
「その通りです、ですから」
「こっちの世界で女の人が強いことはか」
「いいことだと思います」
「それはそうだな、本当にな」
 実際にとだ、久志もこう応えた。
「恩の人が強くて多いとな」
「それならですね」
「社会も結構よく動くな」
「若し男性だけ、女性だけなら」
「女の子だけでもか」
「やはりよくないのです」
 所謂花の園と言うべき世界でもというのだ。 
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