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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十九話 長崎を後にしてその五

「楽しませてもらいます」
「それでは暫くしましたら」
「ディナーですね」
「今宵のメインは家鴨とのことです」
「家鴨料理ですか」
「はい」
「そういえば西洋でも家鴨は結構食べますね」
 言いながらだ、僕はニルスの不思議な旅という小説を思い出した。童話と言っていいかも知れない作品だ。主人公が小さくなって家で飼っている家鴨に乗って鴨の群れと一緒に旅行をする小説だ。ハッピーエンドだったのを覚えている。
「そうでしたね」
「はい、中国と同じです」
「そうでしたね」
「北京ダッグではないですが」
 あれは美味しい、皮を食べるのがまた絶妙だ。
「ですが」
「欧州の家鴨料理もですね」
「絶品ですので」
 だからとだ、畑中さんは僕にお話してくれた。
「ご期待下さい」
「はい、是非」
 僕も微笑んで答えた。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「いや、何ていいますか」
 僕は笑顔でこうも言った。
「このホテル色々なお料理が出ますね」
「食材がですね」
「メインにラムや家鴨と」
「欧州は確かに肉料理がメインですが」
「牛肉や豚肉だけじゃないですね」
「そうしたものは確かによく食べられますが」
 それでもというのだ。
「それだけではないです」
「そうですよね」
「ラムやマトンにです」
 どちらも羊のお肉だ、僕は子羊の肉も成人した羊の肉も好きだけれどどうも日本人は羊肉特にマトンのその香りが苦手な人が多い。
「鴨も家鴨もです」
「他にもありますよね」
「鳩も食べるそうですし」
 これも中国でも同じだ、僕も親父に連れて行かれたある中華料理店で食べたけれど味はいい。ただし骨が多い。
「白鳥も食べていました」
「そうでしたね」
「古代ローマではです」 
 畑中さんはこの時代のお話もしてくれた。
「鶯や孔雀も食べていました」
「そうした鳥もですか」
「鶯の舌や孔雀の脳味噌は珍味だったとか」
「何か色々食べていますね」
「当時のローマ人も美食を求めていまして」
 それでというのだ。
「そうした食材も口にしていました」
「そうだったんですか」
「今はそうしたものは食べないですが」
「それでも色々なお肉を食べているんですね」
「欧州では」
 こう僕に話してくれた。 
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