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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十九話 長崎を後にしてその一

                 第百十九話  長崎を後にして
 天主堂の外も独特の趣があった、木が多くて白いコンクリートを引き立たせている感じだった。その緑を見ながらだ。
 僕はローマ法皇の胸像を観ていた、すると奥さんが話してくれた。
「ヨハネ=パウロ二世ですね」
「来られたんですよね、ここに」
「はい、かつて」
「そうでしたね」
「かなり長い間法皇の座におられました」
「そうだったんですか」
「法皇は実は在位が短い場合が多いです」
 このことも話してくれた。
「お歳の関係で」
「法皇に選ばれる人がお年寄りですか」
「ですから」
「そういえばそうですね」
 言われてみればだ、僕の中にあるローマ法皇のイメージもだ。
「白い法衣を着ておられるお爺さんですね」
「そうですね」
「ご高齢ですね」
「はい、多くの場合は」
「どうしてもそうなるんですか」
「その様です、枢機卿の方々から選ばれますが」
 あの見事な緋色の法衣を着ている人達だ、法皇を除けばカトリックの聖職者の最高位にある人達とのことだ。
「枢機卿の方々もです」
「おおむねご高齢で」
「ですから」
「法皇さんもですか」
「ご高齢になります」
「そういうことですね」
 そのせいでなのだ。
「だから在位もですか」
「短いことが多いのです」
「そういうことですね」
「中には若い法皇猊下もおられて」
 奥さんはローマ法皇の敬称も話した、天皇及び皇后陛下は陛下であり他の皇室の方々は殿下となるが法皇さんや枢機卿の人はこうなるらしい。尚皇太后様は陛下である。
「ヨハネ=パウロ二世はそうでした」
「若かったんですか」
「法皇になられた頃は」
「それで在位もですか」
「長かったのです」
「そうだったんですね」
「流石に昭和帝程ではないですが」
「いや、それはちょっとですね」
 昭和帝の在位のお話になると思わず笑ってしまった。
「あの方は六十四年ですから」
「流石にですね」
「及ばないです」
「そうですね、ですが」
「法皇さんとしてはですね」
「在位の長い方でした」
「お若かったので」
 全てはその為だ、とかくローマ法皇はご高齢であることが多い。
「そうでした」
「そして来日されて」
「その時にここまで来られました」
「カトリックの人としては」
 僕達にとってみればそうなんですかで終わる話だ、けれどこれがカトリックの人にしてみればどうなるかだ。
「物凄いことですね」
「歴史に残る名誉です」
「そうですよね」
「カトリックの頂点におられる方ですから」
 何につけてもだ。
「天皇陛下にも比肩される方でもありますから」
「皇帝の待遇、ですね」
 ここで僕はこのことを思い出した、そのことはというと。 
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