レーヴァティン
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第十六話 あらためてその二
「並の腕で並のアイテムだったなら」
「やっぱりそうか」
「はい」
その通りという返事だった。
「そうなっていますした」
「やっぱりそうだよな」
「私達は腕もありますし」
これは自己分析だ、自惚れでの言葉ではない。しっかりと客観的に観て分析して言ったのだ。
「それに武具もあったので」
「いけたんだな」
「沼地まで行けてドラゴンを倒せて」
あの屍竜をだ。
「そして戻って来られました、そもそも」
「そもそも?」
「途中で飢え死にしていました」
並の冒険者ならというのだ。
「燻製や干し肉の知識もなく」
「それもか」
「そうした知識がなくては」
とてもというのだ。
「何も出来ません」
「まあそれはな」
「はい、久志君も知識があったので」
「特にこいつがな」
久志は智を横目に見て言った。
「そういう知識があってな」
「そういうのないとな」
実際にとだ、智も言う。
「死ぬからな」
「やっぱりそうだよな」
「本当に餓え死にするぜ」
順一の言う通りにというのだ。
「それか腹減って動けなくなったところをな」
「モンスターに襲われてか」
「死んでたぜ」
「実際にか」
「そうだよ、人間食わないと死ぬからな」
「何といってもか」
「こういうの本当に二流だとな」
つまり並だと、というのだ。
「死んでたぜ」
「今回の冒険はか」
「相当深い森だったしな、俺はこの森にいたけれどな」
「ここまで深いって思わなかったんだな」
「とてもな」
実際にという返事だった、智の今のそれは。
「だからな」
「並だったらか」
「俺もそう思うぜ」
ここまで戻って来られなかったというのだ。
「冒険の知識もな」
「必要か」
「そうなるな」
「私達は全てにおいて並ではなかったので」
順一はまた久志に話した。
「ここまで来られました」
「そうか、それじゃあその並じゃないことでか」
「これからやっていきましょう」
「そうなるか」
「自分達の力量ははっきりと認識して」
そのうえでというのだ。
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