転生とらぶる
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ペルソナ3
1783話
「これ、予想していたよりも使えるわね」
影を矢だけで倒したゆかりが、少し驚いたように自分の持っているショートボウに視線を向ける。
まぁ、ゆかりの気持ちも分からないではないが、多分……それは弓だけじゃなく、純粋にゆかりの技量も上がってるんだろう。
この世界が具体的にどのような原作の世界なのか……例えば漫画なのか、小説なのか、アニメなのか、ゲームなのか……その辺りは分からないが、もしゲームだったりすれば、経験値的なものが加わって、レベルアップした。
そういう可能性も、ない訳ではないのだ。
勿論この世界にレベルアップという概念があればの話だが。
今まで幾多もの世界に関わってきたが、実際にレベルというシステムが使用されている世界は見た事がない。
唯一の例外が、俺。
転生特典として得た、レベルという概念とシステム。
……そうなると、ゆかりが呆気なく影を倒す事が出来たのは、別にレベルとかそういうのが関係あるのではなく、純粋にショートボウの威力と、何よりゆかりがこれまで何度も影と戦ってきて、慣れてきた……というのが大きいのか?
なるほど、その可能性の方が高いな。
「ショートボウの威力も関係あるだろうが、同時にゆかりが影との戦闘に少しであっても慣れてきたってのが大きいんだろうな」
「……そういうものなの?」
「ああ。今までは、戦闘という行為にどうしても慣れないところがあったんだろうが、そういうのはいつの間にか慣れてくるんだよ。本人にあまり実感はないけどな」
俺が戦闘に慣れたのはいつだったか……
始めて人を殺したのは、俺が生まれた世界での出来事だったな。
そして始めて遭遇した原作キャラがリョウトだったのはいいけど、そのリョウトは死んでたし。
俺の場合は前世からの知識があったし、自分の生まれた世界がゲームの世界だというのも知っていた。
だからこそ、普通とは色々と違ったのだが。
「ふーん。……ただ、戦闘に慣れるってのは、あまりいい気分じゃないわね」
「だろうな」
戦闘狂って訳でもないゆかりにとって、戦いに慣れるという行為に嫌悪感すら抱くというのは理解出来る。
そういう意味では、ゆかりの方が正常なんだろう。
……まぁ、俺の場合は色々と異常なのは分かっているし。
「なら、止めるか? 今ならまだ、別に誰かに見つかった訳でもないし、塔の攻略を止めても問題ないと思うぞ?」
まぁ、この塔が原作において大きな意味を持っているのであれば、もしかしたら塔そのもの……もしくは塔の最上階とかにいるラスボス辺りがこっちを既に把握している可能性はある。
俺の念動力には特に反応がないし、多分大丈夫だろうとは思うが……何事にも絶対というものはない。
特にこの世界は影が使ってくるアギ、ブフ、マハブフといった俺が知らない魔法がある。
そう考えれば、何か俺の知らない魔法で見張られているという可能性は決して否定出来ないのは間違いないのだ。
だが、そんな俺の言葉に、ゆかりは一瞬の躊躇いもなく首を横に振る。
「こっちの都合でアクセルについてきてるのに、少し嫌な事があったからってそれを止めるつもりなんかないわ」
「……そうか」
個人的には、それこそゆかりがいない方が塔の探索は早く進むんだが……その辺りを言っても、仕方がない。
それにゆかりがこの世界の原作に出てくる人物である以上、鍛えておいて不都合はないだろうし。
そんな訳で、結局俺とゆかりはそのまま塔の中を探索していく。
そうして4階で上に向かう階段を見つけ、そのまま5階に上がり……
「うん? 空気が違うな」
ふと、その階層に流れている空気に違和感を覚える。
「え? そう? 別に私は何も感じないけど」
「もっと戦いに慣れてくれば、その辺りも理解出来るようになる」
そう告げ、改めて周囲を見回す。
この階層までは、特に問題なくやって来る事が出来たが……どうやらこの階層は、微妙に違うらしいな。
「そう? ……で、結局この5階には何があるの?」
「さて、何だろうな。そもそも、この現象の中でぶつかる影は今まで戦ってきた相手とは勝手が違うからな。どうしても、その辺りは判断しにくい。……ただまぁ、予想は出来る」
「予想?」
「ああ。ここは5階だ。……切りがいいと思わないか?」
「……ちょっと、何だか微妙に嫌な予感がするんだけど、気のせいよね?」
「だと、いいんだけどな。普通に考えれば、中ボス……いや、小ボスといったところか」
パターン的には、そこまで間違ってはいないだろう。
勿論違っている可能性も十分にあるのだが、それでもやはり……と、そう思ってしまっても不思議ではない。
不安そうな表情を浮かべているゆかりを落ち着かせる為に、軽く頭を叩く。
「心配するなって。そもそも、相手がどんな奴でも、俺に勝てると思うか? まぁ、どうしても怖いのなら、ゆかりはここで塔を出てもいいけどな。ここで怖がってるようじゃ、お前はこれから先は役に立たないだろうし」
挑発するようにそう告げると、ゆかりの顔が不安そうなものから俺を睨むようなものに変わる。
「私は戻らないわよ。自分でこの塔を攻略して、この現象の秘密を解明するって決めたんだから」
「……まぁ、ゆかりがそう言うなら、それでもいいけどな」
本人のやる気があるのであれば、それはそれで構わない。
そんな風に考え、俺はゆかりに頷きを返す。
「なら、行くか。……言っておくけど、この階にいるのは多分ゆかりだと太刀打ち出来ないような相手だ。俺も気をつけるけど、ゆかりも十分に気をつけろよ」
「分かった」
真剣な表情で頷くゆかりを見ながら、その足下にいる炎獣に視線を向ける。
まぁ、この炎獣がいるのを考えれば、多分そこまでゆかりの安全を気にする必要はないと思うんだけどな。
それでも、念には念を入れるに越した事はない。
気合いを入れ直したゆかりと共に、俺は5階を進んでいく。
そして……
「ああ、やっぱりな」
やがて視線の先に現れた存在を見て、呟く。
通路を塞ぐようにして、一匹の影がその場に陣取っている。
しかも現れたのは、今まで戦った事がない、初めて見る影だ。
その影は、一言で言えば服を着た鳥。
しかもその服も、何故か貴族っぽい感じの服だ。
また、こちらは今まで戦ってきた影と同じだが、この鳥もマスクを被っている。
顔の上半分全てを覆い隠すかのような、そんな黄金のマスク。
……まぁ、本当に黄金なのかどうかは分からないが。
ともあれ、そんな影の鳥は、こちらを見ると即座に行動に出る。
「ガル」
その言葉と共に、風の刃が生み出され、空気を切り裂くようにしてこっちにやってくる。
「ガル、か」
風の刃をゲイ・ボルグで消滅させながら呟く。
アギが火、ブフが氷……で、ガルが風か。だとすれば土系統の魔法があってもおかしくはないな。
ともあれ、風の刃は当然ながらゲイ・ボルグに触れるとその場で消滅する。
これは……ゲイ・ボルグが強すぎるのか、それとも鳥の攻撃が弱すぎるのか。
まぁ、武器が武器だ。
それこそ、魔王を倒しに城から旅立った勇者が、最初から王家の秘宝の伝説の武器を持っている……とか、そんな感じなんだろう。
実際、ゆかりは弓道部で使っている弓や、宝箱から入手したショートボウといった武器を使っているのだから。
だが……だとすれば、この敵の相手はこっちにとっても丁度いい。
恐らく小ボスか何かと思われるこの鳥は、ゆかりに戦闘経験を積ませるのにはちょうどいい。
今までの影もそうだったが、この鳥は今まで戦ってきた影よりも一回り強い敵なのは間違いないのだから。
「ゆかり、こいつの相手をしてみるか?」
次々に飛んで来る風の刃をゲイ・ボルグで消滅させながら、背後で呆然としているゆかりに声を掛ける。
……呆然としているのは、仕方がないか。
今まで出てきた影に比べると、ちょっと比べものにならないくらいの大きさだし。
小ボスだからなのか、実際に今まで戦ってきたスライムもどきを始めとした影に比べると、かなり大きい。
けど、こういう小ボス……はたまた中ボスって、ゲームとかだと後で普通に雑魚敵として出てきたりするんだよな。
ともあれ、いきなり出てきた小ボスに驚き、動きを止めていたゆかりは、俺の言葉で我に返る。
「え? 私だけであの影と戦えって、そう言うの?」
「ああ。少し戦ってみた感じ、そんなに強いとは思えないしな。多分ゆかりでも倒せると思う」
正確にはどのくらいの力量があるのかは分からない。
少なくても小ボスとしてここにいる以上、今まで戦ってきた影よりも強いのは確実だろう。だが、それでも炎獣がいる以上問題はないと判断した。
そんな俺の考えを理解した訳でもないだろうが、ゆかりは数秒考えた後で頷く。
……ちなみに、ゆかりが考えている間にも影はこちらに向かって風の刃を放ってきてはいたが、その全てが俺の振るうゲイ・ボルグによって消滅させられていた。
「そうか、じゃあ任せる」
その言葉にゆかりは緊張した様子で小さく頷くと、弓に矢を番えた。
俺はその場からすぐに離れ……俺と入れ替わるように炎獣が前に出る。
放たれた風の刃は炎獣が防ぎ、そうして次の瞬間にはゆかりが矢を射る。
真っ直ぐに射られた矢は、そのまま進み……
「ギエ!」
短い悲鳴と共に、鳥はそのまま通路に落ちた。
……落ちた? え? あの一撃で?
あまりに予想外の光景に、一瞬何が起きたのか理解出来なかった。
だが、間違いなくゆかりの一撃により、あの鳥は通路に落ちていた。
もしかしたら、何らかの作戦か? とも思ったが、通路の上でもがいている鳥を見る限り、演技のようには思えない。
この鳥が演技をしているのであれば、それこそどこの映画俳優だって疑問を抱いてしまうだろう。
「え?」
その鳥の様子は矢を射ったゆかりにとっても予想外だったのか、ゆかりの口からもどこか間の抜けた声が上がった。
……いや、本当に何を考えてこんな風になったんだ?
そんな疑問を抱いていたのだが、ともあれこれが絶好の好機だというのは間違いない。
「ゆかり、何があったのかは分からないが、今がチャンスなのは間違いない。一気に畳み掛けろ!」
「え、うん。分かった!」
俺の言葉で我に返り、呆然とした状態から再び矢を射る。
何本も続けて射られる、矢、矢、矢。
いきなりだった為か、数本は当たらずに通路の向こう側に飛んでいったが、それでも殆どの矢が鳥の身体に命中したのは事実だ。
しかも矢が突き刺さるごとに鳥は痛みによってか、動きが鈍くなる。
これは……もしかして、単純にこの鳥が弱かったのか?
いや、けど如何にも小ボスだといった様子で待ち構えていたのを思えば、それはちょっと考えられない。
だとすれば、考えられるのは……単純に弓が弱点だった?
なるほど、それは考えられる。考えられるが……もしかしてこの塔のラスボスなり何なりが俺達の様子を見ているのだという俺の予想は外れたのか?
でなければ、それこそこうしてピンポイントで俺達にとって……いや、ゆかりにとって楽に倒せるだろう相手を用意するとは思えない。
他に考えられるとすれば、実はこの塔のラスボスはゆかりに好意を持っているとか?
……何だか普通にありそうな気がしないでもないが、どうなんだろうな。
だとすれば、実はゆかりは原作では主人公と敵対する人物として出てくるという可能性は十分にある。
まぁ、別に俺が遭遇する相手全員が全員主人公側の人物であるとは限らないしな。
ともあれ、次々に矢を射られた鳥は、最終的には他の影と同様に消えていく。
「何しに出てきたんだろうな」
「……そうね」
俺の言葉に、ゆかりも同意して頷く。
自分で倒しはしたものの、まさかこうも容易に倒せるとは思わなかったのだろう。
ゆかりはどこか現実感のないような視線を、先程まで鳥がいた場所に向けていた。
「とにかく、小ボスと思われる敵は倒したんだ。なら、先に進むとするか。こうして小ボスが出てきた以上、この階層は恐らく……」
そこで一旦言葉を切ったのだが、それでもゆかりは俺の言いたい事を理解したのだろう。
二人で……炎獣も入れると二人と一匹で、そのまま通路を歩いていく。
そうして先に進むと、そこはY字路になっていた。
適当に右を選んで進むと、そこには宝箱が1つ。
その宝箱を開けると……
「なぁ、何だと思う? これ」
「そう言われても……ハンドル? いえ、違うわね。金属だし。武器……にしては、鈍器くらいにしか使えないでしょうし」
「……ただ、何らかの魔法が込められているは間違いないと思う」
「あの宝石のように?」
「ああ。……もっとも、攻撃魔法か、補助魔法か……それとも回復魔法かは分からないけどな」
その言葉にゆかりも困ったような表情を浮かべ……そこにある宝石? それとも石? ともあれ、丸くて中央に綺麗な穴が空いている不思議な物体を見つめるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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