レーヴァティン
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第十五話 沼の屍竜その八
「それこそ身体が止まるまでな」
「弓矢撃つしかないぜ」
「そうした相手だな」
「まあ自分の弓矢はアポロンの弓矢だろ」
久志は智の武器のことを問うた。
「そうだよな」
「だからだってのか?」
「神様の武器でしかもアポロンだからな」
ギリシア神話の中でも重要な神の一柱だ、現代でも漫画や小説の媒体で人気のある神でもある。
「アポロンは太陽神だよ」
「ヘリオスと並んでな」
この辺り代替わりしたとも言われている、この関係はヘリオスの妹セレニティーとアポロンの妹アルテミスも同じだ。
「そうされてるな」
「だったらその熱でな」
太陽のそれでというのだ。
「あと太陽の聖なる力でな」
「アンデットを焼く、か」
「それが出来るんじゃないのか?」
「そうかもな」
智も言われて否定せずに返した。
「アポロンってそういう神様だったらな」
「俺のレーヴァティンは世界を救う剣だぜ」
「そうされてるな」
「俺達の世界じゃ世界を焼き尽くすけれどな」
「それは使い方次第だろ」
「使い方によっては救ったり滅ぼしたりか」
「それだけの力があるってことさ」
「じゃあその剣を使えばな」
世界を変えるだけの血宇からをというのだ。
「ドラゴンゾンビ位はな」
「倒せるか」
「というかドラゴン位倒せなくてな」
「世界を救えるか」
「だろ?楽勝で勝ってみせるさ」
あえて余裕を見せてだ、久志は言った。
「今からな」
「それも三人だしな」
「楽に、それこそ学校に行って講義を受ける位にな」
そこまで簡単にというのだ。
「勝とうぜ」
「それじゃあな、やるか」
「簡単に勝ってやるぜ」
如何に相手が強大なドラゴンゾンビであろうがとだ、二人で話してそのうえでだった。順一も入れて三人でだった。
ドラゴンゾンビとの戦いに向かった、順一が解呪の術を智が矢を放つ。そして久志はというと。
レーヴァティンを持ったうえで天高く跳びそうしてだった、自身に来たドラゴンの腐った毒の息をかわしてだった。跳躍の頂点まで至ったところで。
剣を大きく振りかぶり下にいる屍竜に向かって振り下ろす、敵も反応したが死んでいる為か反応は今一つ遅く。
久志はドラゴンゾンビが自分に顔を向けて再び毒の息を吐く前にその剣を一閃させた、炎を宿した巨大な剣身が切り裂くと。
屍はそこから燃えそのうえで動きを止めた、さらに聖なる日輪の炎をまとった矢を何本も受け最後に解呪も受けてだった。
ドラゴンゾンビはその身体を眩い光に包み込まれ消えていった、その屍は夥しいまでの金塊に変わり沼のすぐ前にいる智と順一のところに来た。
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