レーヴァティン
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第十五話 沼の屍竜その六
「そうらしいです」
「よくわからない話だな」
「そうだよな」
智だけでなく久志も言う、順一のその話を聞いて。
「何かな」
「変な話だな」
「十八と二百十六の星?」
「何だそりゃ」
「あと百八のよからぬ星達も出るとか」
順一は続いてこうも言った。
「言っていたとか」
「百八って水滸伝か」
「そうだよな」
二人は百八の星と聞いて今度はこう言った。
「そのままだよな」
「何かな」
「星が出るってわからねえが」
「どういうことなんだろうな」
二人は首を傾げさせるばかりだった、そうしたことを話してだった。
久志は自分達の前に広がる沼地、その如何にもよからぬものがいそうなその沼地を見て順一と智に言った。
「まだドラゴンが出ていないってことは」
「俺達はまだドラゴンのテリトリーには入ってないんだな」
智が久志のその言葉に応えた。
「要するに」
「そうだよな、じゃああと少し先に進んだらか」
「ドラゴンが出て来るか」
「じゃあな」
智と話してだ、それでだった。
久志は意を決した顔になって沼地のそのヘドロそのものの水をすくえる距離にまで来た。すると。
沼の水面が動いた、そしてだった。
その沼地から巨大な何かが出て来た、それは角のある恐竜の様な頭だった。だがその姿は。
「!?あいつは」
「あの姿は」
久志も智もそのドラゴンの頭を見て驚きの声をあげた、それは普通のドラゴンではなかった。
身体が腐り果ててそこに沼の泥やヘドロ、瘴気までまとった恐ろしい姿だった。そのドラゴンを見て順一も言った。
「ドラゴンゾンビですか」
「死んだドラゴンかよ」
「はい、そうです」
順一は久志に即座に答えた、沼地から首も身体も出してきた身体が腐り溶けだしているそのドラゴンを。
「死んでゾンビとなった」
「まさにだよな」
「そのドラゴンです」
「そうだよな」
「まさかあのドラゴンだとは」
ドラゴンゾンビだとは、とだ。順一は沼地からその肉が腐っている翼で飛び上がったその屍竜を見て言った。
「思いませんでした」
「というかドラゴンゾンビなんてな」
智も言う。
「俺もはじめて見たぜ」
「この島にいるとはですね」
「思わなかったさ」
それこそというのだ。
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