レーヴァティン
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第十五話 沼の屍竜その一
第十五話 沼の屍竜
沼地まであと少しとだ、順一は夜休憩を取る時に食事を摂りつつ久志と智に対してこんなことを言った。食っているのはその熊の燻製だ。
「明日にはです」
「沼だな」
「はい、辿り着けます」
そうなるというのだ。
「明日の午前中には」
「そうか、いよいよだな」
「だよな」
智も言う。
「一週間この森歩いてな」
「モンスターも相当倒してな」
一日に何度も戦い倒してきている、多い日には十数回戦った。
「それでだからな」
「やっと沼まで着けるって思うとな」
「感慨があるな」
「そうだよな、けれどな」
ここで智は燻製を食いつつこうも言った。
「ここまで来たのはな」
「ああ、道中でな」
「本番はここからなんだよな」
こう言うのだった。
「実際は」
「そうなんだよな」
久志もそのことはわかっているので真剣な顔で頷いて答えた。
「道中は道中でな」
「これからが一番肝心だからな」
「ドラゴンか」
この捕食生物の中でも頂点に立つ存在についてだ、久志は真剣な顔のまま言葉を出した。その言葉の色も真剣なものだった。
「当然強いな」
「この世界でも巨人と並び最強です」
順一が答えた。
「恐ろしいまでに強いです」
「やっぱりそうか」
「はい」
そうだというのだ。
「むしろ巨人よりもです」
「強いか」
「術に息です」
この二つがあるというのだ。
「巨体と爪、牙、尾に飛行能力だけでなく」
「息は塩素ガスとか強酸でか」
「種類によって違います」
そこはというのだ。
「レッドは炎、ブルーは雷、ホワイトは冷気で」
「グリーンは塩素ガス、ブラックは強酸でか」
「他にも色々です」
ドラゴンの吐く息はというのだ。
「そして術ですが」
「強いのばかりか」
「はい、それぞれの術の最高位ですらです」
「使うんだな」
「高齢のドラゴンになりますと」
「頭もいいからか」
「術も使えますし」
それもかなり高位なものまでだ。
「ですから強いのです」
「ドラゴンはか」
「巨人達よりも」
「成程な、じゃあな」
「はい、くれぐれもです」
「明日は用心しないとな」
「さもないと返り討ちに遭います」
自分達の方がというのだ。
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