八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十八話 大浦天主堂その六
「これが」
「そうですよね」
「ですがピアノに何かあってもすぐにです」
「ご自身でなおされる為に」
「覚えました」
調律もというのだ。
「勉強して」
「それは凄いですね」
「ピアノが好きなので」
とにかくこれに尽きた、早百合さんの場合は。
「ですから」
「覚えられたんですか」
「そうしました」
「本当にピアノがお好きなんですね」
「ですから」
「芸術とはそうしたものですね」
奥さんも言ってきた。
「好きだからこそ」
「はい、身に着けられます」
「そうですね」
「ですから私も身に着けました」
「ピアノの調律も」
「いつも弾いていたいので」
だから何かあった時にもすぐにそのピアノを修理したり出来る様にだ、早百合さんのピアノへの想いは本当に強い。
「努力しました」
「左様ですね」
「そのうえで身に着けました」
「そして」
「はい、私もです」
奥さんは裕子さんにもお顔を向けたが裕子さんも答えた。
「イタリア語やフランス語を」
「学ばれていますね」
「歌劇を原曲で歌いたいので」
「それで、ですね」
「そうした言語も学んでいます」
イタリア語やフランス語、そういった言葉をというのだ。
「イタリアオペラは本当に多いので」
「フランスもですね」
「そうです、フランスオペラも名作が多いです」
裕子さんはこのことにも言った。
「非常に」
「左様ですね」
「カルメンもそうですし」
ビゼーの代表作だ、八条学園の歌劇場でもよく上演されるあまりにも有名な作品だ。名曲もふんだんにある。
「他にもありますし」
「そうですね」
「幸いイタリア語とフランス語は似ています」
裕子さんはこのことは微笑んで話した。
「スペイン語、ポルトガル語もそうですが」
「あっ、それスペインから来た子に言われました」
僕は裕子さんのその言葉に応えた。
「実際にそうだって」
「はい、同じラテン系の民族で」
「ラテン語がベースの言語だからですね」
「非常に似ています」
「発音や単語も」
「方言位の違いしかないので」
この四つの言語はだ。
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