転生とらぶる
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ペルソナ3
1778話
月光館学園の前までやってくると、そのまま何気なく学校の中に入っていく。
……本来なら、入校許可証とかそういうのが必要になるかもしれないが、幸い今の俺には気配遮断がある。
堂々と校門の中に入ると、そのまま進んでいく。
気配遮断のおかげで、特に誰に見つかるでもなく学校の中を歩く。
監視カメラの類があれば、俺がいるのは見つかるかもしれないが、こうしてざっと見た限りでは監視カメラの類は存在しない。
特に俺以外の面々は月光館学園の制服を着ているのに対し、俺は私服だから普通なら間違いなく目立った筈だ。
校舎内で監視カメラを隠して設置するという事は基本的にないのだろうから、それを考えれば校舎内に監視カメラの類はないと考えてもいいだろう。
勿論校舎の中を全て見て回った訳ではないので、確実とは言わないが。
ともあれ、今日は部活とゆかりが言っていたのを考えると、弓道場辺りを探す必要があるか。
2月というまだ冬の季節だが、体操着やユニフォームを着て走り回っている連中が結構多い。
2月という季節だけに、3年はとっくに引退して進級を控えているんだろうが……そういうのは、部活に関係ないのだろう。
「お?」
周囲の様子を見ながら歩いていると、ふと目についた建物があった。
それは見るからに弓道場ではないが……何故か、気になったのだ。
その建物の窓に、この寒い季節にも限らず何人もの女や男がいるというのも気になった理由の1つだ。
キャーキャー言ってるのを見れば、何か人気のある人物でもそこにはいるのだろう。
かと言って、窓の外には既に何人ものファンと思しき物がいる以上、そこから中を覗くのは無理だ。
影のゲートで転移するべきか……と考えていると、タイミング良く1人の男がその建物に入る為に扉を開けたのが見えた。
これ幸いと男が扉を閉めるよりも前に建物の中に入る。
「ボクシング部か」
建物の中にあったのは、部屋の中央にリングが1つ。それとサンドバックが幾つか吊されているという光景だった。
サンドバッグを殴っている者、縄跳びをしている者、腕立て、腹筋、背筋といった筋力トレーニングをしている者、様々な者がいたが……やはり一番目立っているのは、リングの上でスパーリングをやっている人物だった。
他の者達もある程度の技量はあるようだが、スパーリングをやっている人物は他の部員に比べると1段……いや、2段は上の技量だ。
「うわ、真田先輩相変わらず凄いな」
「ま、そりゃそうだろ。……そもそも真田先輩を見る為に、わざわざ寒い中ああやって見に来ている奴がいるんだからな」
まるで俺に説明するかのように話をしてくれたボクシング部の部員には感謝しよう。
どうやら、現在リングの上でスパーリングをしてる奴が、窓の外にファンを多く集めている理由らしい。
しかも実力で。
だが……少し不思議だ。
いや、勿論こうして見る限りでは、真田だったか? その男は他の奴よりも高いボクシング技術を持っている。
しかし、逆に言えばそれだけでしかない。
そもそも、他より凄いと言っても、所詮は学生レベルのボクシングでしかない。
W世界のデュオや五飛といった面々と試合をすれば、間違いなく真田とかいう奴が負けるだろう。
……にも関わらず、何かこう、俺の注意を引くだけの何かがあるように思えるのだ。
何だ?
ボクシングとしての技量で何か突出したものがある訳でもない。
なのに、何故俺はこの男が気になる?
荒垣と似たような何か。
数分の間真田とかいう男の様子を見ながら考えていたが、結局は何も見つからず……俺はその場を後にする。
もしかして、あの真田って奴がこの世界の原作となった話の主人公なのかもしれないな。
だからこそ、何か注意を引くものがあった。
そういう可能性は、十分にある。
原作の中でも重要な役どころだからか? とも思ったが、それだとゆかりに反応しなかったのが疑問だ。
勿論、実際にはゆかりは原作では既に死んでいたという可能性は十分にある。
そもそも、俺がこの世界にやってきた時も、ゆかりはスライムもどきに襲われていた。
だとすれば、もしかしたら俺が介入しなければ、ゆかりは影に殺されていた可能性は十分にある。
そして、あの妙な現象による最初の犠牲者となっていた可能性は否定出来ない。
そんな風に考えながら、月光館学園の校舎の中を歩く。
一応靴は脱ぎ、スリッパを履いての移動だ。
……弓道場を探すのなら校舎の中に入る必要もないのだが、この校舎がどんな場所なのか一度見てみたかったというのがある。
この校舎が、あの現象の中では塔になるのだから。
もっとも、塔になれば中は空間的に色々とおかしな感じになっているのだから、あまり参考にはならないと思うけど。
だが……そんな風に考えながら校舎の中を見て回っていた俺は、予想外の者を見つける事になる。
「では、書類はその通りに頼む。……昨日の件はどうなった?」
「はい、そちらは裏を取ってあります。残念ですが、月光館学園に苛めがあるのは間違いないかと」
「……処刑だな」
そんなやり取りが聞こえてきたのだ。
いや、それだけであれば特に問題はない。
処刑という言葉は色々と過激だが、あくまでもそれだけだ。
だが……その人物は、先程の真田とかいう男と同じく何だか妙に注目してしまう。
それはつまり、あの女がこの世界の中でも何らかの重要な要素だと、そういう事だろう。
こうして女を見ると、その外見はゆかりに勝るとも劣らぬ程に整っている。
いや、ゆかりが美人と可愛いの中間的な存在だとすれば、今俺の前にいる女は美人方向に偏っていると言うべきか。
また、この世界ではそれ程珍しい事ではないのだろうが、髪の毛が赤いというのも特徴的だ。
……てっきり、あの真田ってのが主人公なのかとも思ったが、同じように俺の注意を引くような女がいるとなると、やっぱり真田とかいう男は別に主人公ではなかったと考えてもいいのか。
ゆかりをからかう為に、ちょっとこうして月光館学園の中に来てみたんだが、大きな収穫があったな。
後でゆかりにちょっと聞いてみるか。
そう判断し、校舎の中を色々と歩き回り……ようやく弓道場と思しき場所を発見する。
何だかんだと、月光館学園の中に入ってから30分程が経っていた。
いっそ、影のゲートを使って転移した方が早かったんじゃないだろうか。
ともあれ、弓道場は弓を射る場所なだけあってかなりの大きさを持つ。
それこそ、あのボクシング部のリングがあった建物よりも大きな建物で、そこでは現在大勢の部員が練習をしていた。
「ちょっと、ゆかり。どうしたのよ。何だっていきなりこんなに上手くなってるの!?」
「あー……あはは。ちょっとまぁ、殻を1枚破ったってところかな」
「殻を破ったにしても、ちょっと凄すぎない?」
何人かの女の部員に詰め寄られている、俺の相棒を発見する。
……まぁ、こうなるのは何となく分かってたけどな。
実際、命を懸けた戦闘を潜り抜けたのだから、殻の1枚や2枚破っても特に不思議なことはない。
実戦というのは、それだけの意味を持っているのだ。
1度の実戦は数ヶ月分の練習量に匹敵するとか何とか聞いた事があるが、まさにそれを証明したといったところか。
勿論それは根底にある基礎がしっかりとしていなければ、意味のない話ではある。
もし何も知らない奴が実戦を経験しても、それが糧になる事は間違いないが、それでもゆかりのようにかなりの力を発揮するのかと言われれば……ちょっと難しいだろう。
「そ・れ・よ・り。ゆかりには聞かなきゃいけない事があるでしょ?」
「あ、そうそう。何でも『あの』ゆかりに彼氏が出来たんだって? 私なんか、ゆかりと同じ部活だってだけで、何人ものクラスの男に聞かれたんだから。全く、そんなに気になるなら、いざって時に右往左往しないようにアタックしておけばいいのに」
「ちょっと、『あの』って何よ、『あの』って。てか、アクセルとは別にそんな関係じゃないわよ!」
「ふーん。……ま、ゆかりがそう言うのなら、そういう事にしておいてもいいけどねー」
「ちょっと、だから!」
「あ、もしかしてゆかりの弓の腕が急に上がったのって、彼氏が出来て日常生活が充実してるから? ほら、弓って射る人の精神が強く出るでしょ」
「だーかーら! アクセルとはそんなんじゃないってば!」
「へー。……じゃあ聞くけど、ゆかりとその……アクセルだっけ? その人とはどういう関係なのよ?」
「それは……その、友人?」
「男女間の友人関係なんて信用出来ませーん!」
「何? どうしたの? ゆかりに出来たって恋人の話? 私も混ぜて」
「きゃーっ!」
ゆかりと友人の話が聞こえたのか、周囲にいた他の何人かがゆかりの話に入っていく。
それにまたゆかりが戸惑い、慌てたように口を開く。
「もう、アクセルとはそんな関係じゃないって言ってるでしょ!」
いよいよ我慢の限界だったのか、ゆかりはそんな風に叫ぶ。
それを見ながら、女ってのはやっぱり他人の恋愛にはかなり興味を持つんだな、と納得する。
まぁ、それを言うのであれば男もゆかりの恋愛に関しては興味あるんだろうけど。
弓道場に視線を向けると、何人かの男が俺との関係を必死に否定しているゆかりの方に何度も視線を向けている。
これを見る限りでは、弓道部の中にもゆかりを好きな男ってのは結構いるのだろう。 もしくは、明確に異性としての好意を抱いているのかどうかはともかく、憧れだったりするのかもしれないが。
月光館学園に来る途中で聞いた話によれば、ゆかりの失恋スレとかいうのが普通にあるらしいし。
だとすれば、ゆかり目当てで弓道部に入ったって奴も結構いそうだな。
「もうっ!」
頬を膨らませながらそう告げると、ゆかりは弓を持って弓道場の端……弓を射る場所に向かう。
そうして苛立ちからか、素早く弓を構えるとすぐに射り……だが、焦っていた為なのか、射られた矢は的に当たらず、土か? 砂か? ともあれ的が埋まっているそこに突き刺さる。
「あー……」
そう言ったのは、一体誰だったのか。
ゆかりも、ここで自分が外すとは思わなかったのか、少しだけ頬を赤くして視線を逸らす。
だが、ここで外すのも無理はない。
確かにゆかりは命を懸けた実戦を潜り抜けた。
それは大きな力になるだろうが……ただ、潜り抜けたと言っても、影の1匹を……スライムもどきを1匹倒したにすぎない。
それだけに、得られた経験値の類も決して大きくはなく、絶対的な力を持つ……という風には言えないのだろう。
だが、寧ろそんなゆかりの態度が良かったのか、弓道部の部長と思われる女が手を叩いて皆の注目を集める。
「はいはい、今日は集中出来ていないわよ。ゆかりの恋愛模様が気になるのは分かるけど、それよりも前に自分の腕を磨く事を優先しなさい。そうじゃなきゃ、恋愛だけじゃなくて弓でもゆかりに置いていかれるわよ」
「ちょっ! 部長!? いきなり何を!」
「はいはい、今回の騒動の張本人は黙った、黙った。とにかく、今日は皆色々と浮ついているよ。弓に集中しなさい」
部員には信頼されているのだろう。その部長の言葉に他の皆も意識を切り替える。……少なくても、表向きは。
もっとも、女子弓道部の部長は一種のカリスマ性があるが、男の方はそうでもないらしい。
女の部長に出番を取られ、何かを言おうとした様子で固まっている人物が見える。
多分、あれが男子弓道部の部長なんだろうが。
特に何か特徴があるとは思えず、恐らくだが何となく成り行きで決まったのだろうと、そう思えた。
勿論何か明確な理由や証拠があってそう思っているのではなく、何となくそうなのではないかと、そんな考えからだが。
「ほら、そっちもしっかりと練習しなさい!」
女子弓道部の部長に言われ、男子弓道部の方も練習を再開する。
……こうしてみると、実質的に女子弓道部の部長が弓道部全体の部長といった感じなんだな。
あくまでも、俺が見た限りではだが。
「ふぅ」
そんな他の部員達の様子を見て、ゆかりは安堵の息を吐く。
これ以上質問責めにされるのは、避けたかったのだろう。
だが……その考えは甘いと言わざるを得ない。
「ゆかりに対する質問は、部活が終わった後でしっかりするから、それまで各自何を聞くのかしっかりと意見を纏めておくように」
『はーい』
「え? ちょっ!」
突然の部長の言葉に、ゆかりは慌てて何かを言おうとするが、それは既に遅かった。
皆がゆかりに対する追求を止め、練習に戻っていったのだから。
「あー、もう! 別に私とアクセルはそういう関係じゃないんですからね!」
そんな声が弓道場に響き渡るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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