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夢幻水滸伝

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第十五話 傭兵の四人その九

「自分等傭兵やろ」
「はい、そうです」
「天下統一までの限定期間ですけど」
「雇われてます」
「結構なお金もらって」
「それでいきなり何や」
 かなり真剣な顔で四人に言うのだった。
「双六だのトランプだのジュースだの出してや」
「この世界の日本は室町時代でもジュースありますさかい」
「林檎とかもあるんで林檎ジュースもありますで」
「お菓子もポテトリチップスもあります」
「布の袋に入ってますで」
「何か妙に現代も入ってる世界やな」
 つまり彼等本来の世界がというのだ。
「つくづく」
「そこがええとこですわ」
「ちなみにトランプは舶来のもんです」
「ちゃんと絵柄も入ってますで」
「あと花札やドンジャラや麻雀もあります」
「トランプとドンジャラ以外はせんわ」
 中里は四人が双六の盤を開いて賽子や駒まで用意しだしているのを見つつさらに突っ込みを入れた。
「ルールも知らんし」
「麻雀面白いですよ」
「当然お金は賭けてませんけど」
「ルール複雑ですけどやってみたらどうですか?」
「結構ええですで」
「別にええわ、そういうのやなくてや」
 四人にあらためて言った。
「仕事せんかい」
「そやからうち等戦と政が仕事ですやろ」
「姫巫女さんが出陣するまで仕事ないですやん」
「そやから今は暇潰しも兼ねてです」
「遊んで待機してます」
「ええ加減な奴等やな」
 中里は今度は苦い顔で言った。
「双六やってお菓子食ってジュース飲んでって」
「女子高生のパジャマパーティーみたいに」
「うち等四人やといつもこうです」
「中々楽しいですよ」
「夜とかこうして過ごしてると」
「パジャマパーティーってそんなもんか?」
 その自堕落と言ってもいい有様の四人にさらに突っ込みを入れた。
「女の子のキャッキャッとした話題してるんちゃうんか」
「それはちゃいますで」
「確かに色々なお喋りもしますけど」
「こうしてゲームもしますで」
「お菓子食べてジュースも飲みながら」
 そうしたことをしてというのだ。
「お酒も飲みますけど」
「今はお昼でさかいそれはないです」
「こうして楽に遊んでます」
「それが女の子ですわ」
「イメージ狂うとは言わんわ」
 中里も女の子というものは知っている、奇麗なだけ可愛いだけが女の子ではない。こうした遊びに興じる時もあるのだ。
「しかし自分等女子力低いな」
「これでもお料理出来ますで」
「あとお掃除も忘れません」
「洗濯は欠かしませんし」
「身だしなみにも気をつけてますで」
 四人は中里が言うのも構わず御所の会議の間で双六をはじめお菓子やジュースを飲みはじめつつ彼に言い返した。 
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