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白き竜の少年 リメイク前

作者:刃牙
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潜入作戦立案

ハルマは甲板から海を眺める。静かで、穏やかな海に月が映り込む様はある種の神秘を生み出していた

ふと後ろから気配を感じる。後ろを振り返るまでもなく、誰がいるのかは分かる。ハルマは気配に敏感なので、下忍と言えど一般人か忍かの判断ぐらいはつく

「眠れないのですか?姫」

アサヒが後ろから近付いて来る。同じ歳であるが縁遠い存在だと思っていた。大名家と一介の忍が会う事はないだろうから。会えるとしても火影か、相談役のような上層部に位置する一握りの者だけの筈。それがハルマの常識だった。その為、今こうして大名家の娘といるというのは変な感じでもある

「ハルマでしたか?貴方もでしょう?」

「昔からの習慣で。姫はどうしてです?」

自嘲するように笑うハルマにアサヒが深く詮索する事はなく、ハルマの問い掛けに対して答えを探しているようだった

「私はアカデミー生が遠足に行くのが楽しみで寝れないようなものです」

「外に出るのは初めてなのですか?」

首を振り、アサヒは答える。ピンク色に頰を染めていて、とても大切なものであるのだと傍目から見ても分かる

「いいえ。夜桜は私が兄のように慕っていた方の形見なのです。だから戻って来るのだと思うと嬉しくて」

彼女の言葉にハルマの頭にレツとカナ、ナルトの顔が浮かぶ。アサヒの気持ちが理解出来たのだろう。夜桜はアサヒとその者の繋がり。ハルマ達とはまた違う目に見える形での繋がりだ

「そうですか。確かに血が繋がっていなくとも誰かとの繋がりがあると嬉しいものです・・・・それが大切な者であればある程」

2日後。ハルマ達一行は光の国に着く。着いた途端にオビトとリンは姿を消している。ただ、近くにはいるだろうからあくまで補助に回るつもりなのだろう。そう考え、二人から意識を外す。前を見れば既に光の国の門に到着しようとしていた




ハルマ達は宿に着き、ホッと一息吐く。アカデミーでこういった類の実習をした事はあるが実際に任務でやるのはこれが初めてだ。それで張り詰めた緊張の糸が切れた様子だった

レツが一安心というように笑顔で言う

「ここまでは上手くいったな」

「ああ。だけど休んでもいられない。カナが歩いている時に受け取った別働隊からの情報を見て、これからの動きを決めよう」

ハルマはそう言うとカナに視線を向ける。彼女はそれを受けて、巻物を取り出してハルマに渡す。ハルマはそれとは別にこの国の地図が描かれた巻物を広げる

「夜桜があるとされる場所は二箇所です。一つは国の中央に位置する光月城」

「もう一つは城下町で開かれるオークション。俺達が担当するのは光月城にあるとされる方です」

驚く事に月に一度開かれるという城下町のオークションに出品される可能性は過去に出品された品から考えても高いという。ただ、城の方も可能性は高く、どちらも有り得るという事態になっていた

「城に入るの自体は簡単よ。マキトさんから貰った予定表には明日姫様は大名と小茶会を城でするとあるから入城する時に侵入すればいいんだし。付き人が一人だけっていう制約付きだから二人が奪還の方を担当ね」

笑顔でそう話すカナを見てレツがハルマに問い掛ける

「近くで護衛するのは誰にする?」

「カナは白眼で城の中を透視出来るから探索に必要だから俺かレツだな」

火力で言えばどちらも同じだが、二人の戦い方は異なる。しかし、守りながら戦うという状況下においてはハルマの方が適任だというのが彼らの意見だった

「護衛って点ならお前の方が得意だろ?」

「決まりだな。俺が護衛。レツが探索だ」

話を勝手に進める男子陣に呆れつつカナがアサヒに確認を取る。二人が勝手に進んだ時、フォローする役目はいつもカナに回ってくる

「姫様もそれで?」

「はい。構いません」

アサヒも頷き、役割が決まる。彼らはこの夜。行動の確認に余念がなかった




光も届かぬ暗い洞窟。その中に二人の男がいた。一人は筋肉隆々の男 王虎。もう一人は細身の色白い肌が特徴的な茶髪の青年 シリュウだ

「王虎様。新たな任務ですか?」

シリュウがにこやかに笑ってそう問い掛けると王虎は仏頂面のまま、シリュウに告げる

「そうだ。国滅ぼしのな。ダイゴと行け。期待しているぞ。シリュウ」

「はい」

シリュウは穏やかに笑うが、その目に見える狂気の色によってその笑みが恐ろしいもののように普通は感じられるだろう。しかし、王虎にとっては安心出来る笑みだ。狂気の色は闇に染まっている証。自身と同類であるがゆえにそれは期待を寄せる要素にしかならない

「(さて、奴の狂気が国をどんな色に染めるのか楽しみだ)」 
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