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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十七話 ある晴れた日にその九

「そうした親父ってことですね」
「そうなりますね」
「ええ、とにかく悪人ではないです」
 踏み外してもいない、よく人間は姿形じゃなくて心で人間になるって言っている。餓鬼や怪物は心でなるとだ。
「そこはしっかりしてます」
「それならです」
「いいですね」
「はい、ではです」
「これからですね」
「ちゃんぽんを食べに行きましょう」
 これまた長崎名物のそれをだ、僕達は裕子さんが案内してくれたその店に入った。如何にも中華街のお店だった。
 それでだ、お店に入ってだ。四人用の席に座って。
 中華風の配色に模様のお店の内装を見つつだ、僕はお店の人に注文した。
「長崎ちゃんぽんと餃子と炒飯を一人前ずつ」
「合わせて四人前ですね」
「はい」
 こうお店の人に答えた、端整な若い男の人だ。姿勢がいい。
「お願いします」
「それでは」 
 他には豚の角煮を包で挟むものも注文した、デザートは杏仁豆腐だ。そこまで注文して暫くするとだった。
 まずはちゃんぽんが来た、豚骨スープの中に太い麺があって上にはお野菜に豚肉、蒲鉾を細かく刻んだものが大量に乗せられている。まさに長崎ちゃんぽんだ。
 そのちゃんぽんを見てだ、僕は唸って言った。
「ではですね」
「はい、今から」
「食べますか」
「麺類ですから」
 僕は裕子さんと早百合さんに応えた。
「のびないうちに食べましょう」
「他のものは後でも食べられますが」
 奥さんも僕に応えてきた。
「ですが麺類はそうはいかないですね」
「本当にそうですよね」
「のびますから」
 奥さんもこう言った。
「ですから」
「絶対にですね」
「最初に食べるべきです」 
 来たらすぐにというのだ。
「義和様のお考えは正解です」
「それは何よりです」
「では」
「はい、食べましょう」
 今からだ、そうした話をしてだった。
 僕達は実際にちゃんぽんを食べはじめた、独特の太い麺と白い豚骨スープが実によく合っている。
 その麺を食べている時にだ、裕子さんはこんなことを言った。
「この太い麺がいいですね」
「そうなんですよね」
「スープにもよく合っています」
「このスープは美味しいです」
「本当にそうですね」
「はい、ですが」
 裕子さんはこうも言った。
「細い麺も合います」
「ああ、博多ラーメンですね」
「そうです、博多ラーメンは豚骨ですが」
 こちらもだ、やはりスープの色は白だ。
「細い麺と絡まって」
「いい具合にですね」
「美味しいです」 
 実際にというのだ。 
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