八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十七話 ある晴れた日にその八
「あそこでも親父は親父でした」
「何といいますか」
「困った親父ですよね」
今度は苦笑いと一緒に言った。
「本当に」
「いえ、家族サービスの後で」
「そうしたからですか」
「いいと思います」
「そうですか」
「はい、遊ばれるにしても」
そうしてでもというのだ、僕に。
「節度は守っておられますね」
「というかですね」
僕も親父のそのことを話した。
「まずやることをやって」
「それからですね」
「遊ぶタイプです」
そうした親父だ、だから仕事もしっかりとしている。医師としてはとにかくかなりの腕の持ち主だと評判だ。
「そこはしっかりしてます」
「それならです」
「いいですか」
「世の中酷い人もいますね」
「まあそれは」
言われるとだ、破天荒な遊び人でも暴力を振るわず恨みを買うこともせず僕もちゃんと養ってくれるからだ。
「その通りですね」
「最低の人はいます」
「親父は最低じゃないです」
問題だらけの人間にしてもだ。
「そこははっきり言えます」
「それならです」
「それならですね」
「はい、いい人です」
「悪人じゃないんですよね」
このこともはっきり言える、親父は悪人でもない。
「ただ女好きで遊び人なんだけで」
「それだけですね」
「そうです」
「ではいいです、欠点のない人もです」
「いないですね」
「闇に堕ちた人でもないなら」
そうした人は僕も見たことがない、アニメや漫画で出る様な。
「私もお会いしたことはないですが」
「早百合さんもですか」
「悪人はあります」
誰でもあると思う、どうしようもない悪人に会ったことは。
「ですが」
「はい、それでもですね」
「義和さんのお父さんはです」
「闇に堕ちてもないですし」
「悪人でもないです」
「そうなんですよね、破天荒でいい加減にしても」
その破天荒さがまたかなりのものにしてもだ、いい加減さも。
「人の仁義っていいますか」
「踏み外してはならないことはですね」
「外さないです」
本当にそこは守る。
「人間守らないといけないことがあるって言ってます」
「その守らないといけないことはですね」
「絶対にです」
それこそだ。
「守ります」
「ならいいです」
「まあ破天荒でも」
そして非常識でもだ。
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