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夢幻水滸伝

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第十五話 傭兵の四人その三

「虎徹です」
「国定忠治さんや近藤勇さんが持ってたか」
「近藤さんの方です」
 そちらの虎徹だというのだ。
「私の虎徹は」
「そうなんやな」
「はい、そして」
 由香は中里にさらに話した。
「これを持ってると自分の気も放てますし抜群に切れて」
「ええ刀か」
「まさに銘刀です」
 そうだというのだ。
「虎徹だけあって」
「そうなんか」
「はい、ただうちは斎藤一さんのファンです」
「渋いな」
「渋好なんです」
 笑って言う由香さった、そして最後は雅だがこう言うのだった。
「うちは漁師です」
「蛙だけにか」
「はい、御覧の通り川や海での戦が得意で治水もめっちゃ得意です」
「そやねんな」
「そうです、それでこれですけど」
 その三叉戟を右手に出して言うのだった。
「これは陸でも水の上でも中でも縦横に戦えます」
「それで水も操れるか」
「はい、水術なら何でもです」
 それこそというのだ。
「陸でも津波出せますさかい」
「強いのう」
「軍荼利さんの戟ですけど蛇やなくてです」
 軍荼利明王は蛇を身体の一部にまとっている、一面八臂で憤怒の形相をしている明王である。
「水なんです」
「蛇と水か」
「多分その関係で」
 雅自身も言う。
「水を使うんです」
「そうなんか」
「あとちゃんと陸でも戦えるんで」
「水陸両性か」
「他の人間より少しお水が欲しいだけです」
 それが蛙人だというのだ。
「そうしたものです」
「そうか、それやったら人魚と一緒か」
「まあ蛙人も人魚もあと魚人も」
「水におる種族は陸地でも普通に暮らせるか」
「お水が普通の人間族より多く必要なだけで」
「それはええな」
「それも進化ですわ、しかも水の中では強くなって」
 そしてというのだ。
「勿論泳ぎも達者ですで」
「長所はそのままか」
「そうですわ」
「中々ええのう」
「どの種族も長所はそのままです」
 進化の発端となる生物のそれがというのだ。
「そのうえでえの強さです」
「そういえば鬼もやな」
 中里は自分の種族である鬼のことにも言及した。 
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