夢幻水滸伝
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第十五話 傭兵の四人その二
「ええか」
「はい、暫くの間頼みます」
「うち等いたらほんま百人力でっせ」
「一緒に頑張りましょう」
「がんがんやりましょうで」
「ああ、それで名前何ていうねん」
ここでだ、中里は四人の名を問うた。
「一体」
「はい、田辺瑠璃子です」
まずは兎の顔の尼の格好の女が名乗った。
「人角星、神具は如意宝珠で四人の真のリーダーです」
「林由香です」
次は羊頭の女が名乗った、着ている服は新選組の服だ。
「人囚星、神具は虎徹で四人の影のリーダーです」
「野上紗枝です」
三番目はノーム、小柄で白い髪だが髭はない十二単の女だった。
「人蔵星、神具は空海さんの筆で四人の陰のリーダーです」
「岡本雅です」
最後は穏やかな顔の青い蛙の顔の女だった。漁師の服に軽そうな具足という山賊の様な恰好だ。
「人平星、神具は三叉戟で四人の裏のリーダーです」
「何かな」
四人の名乗りを聞いてだ、中里は微妙な顔になって言った。
「尼さんが宝珠で姫が空海さんの筆か」
「あきません?」
「合ってません?」
「ちょっとちゃうやろ」
瑠璃子と紗枝に実際に言った。
「そこはな」
「いやいや、宝珠は術の力を増加させますんで」
まずは瑠璃子が答えた。
「うち僧侶の術得意ですけど」
「尼さんだけにやな」
「はい、それで僧侶の術もです」
「宝珠で強くなってるんやな」
「そうです」
「それでええんか」
「はい、うち的には」
「あとうちは歌人ですさかい」
今度は紗枝が言った。
「この姫様の格好は十二単で」
「それはわかるけどな」
「小野小町さんみたいな美人ってことで」
「それはちゃうな」
中里は紗枝の笑っての今の言葉はあっさりと否定した。
「精々そこ等の可愛い娘や」
「小野小町さんやなくて」
「その可愛いってのも補正付や」
「先輩口悪いですね」
「変なこと言うからや、とにかくやな」
「はい、私は歌人でして」
「家人は歌詠んで書くな」
「その書いた歌が力になって」
空海の筆で書けばというのだ。
「敵の精神を攻撃したり文字自体が敵に武器になって飛びます」
「空海さんの力でか」
「はい、そうですさかい」
だからだというのだ。
「私もこれでええんです」
「成程なあ」
「そういうことで」
「あと私の武器ですけど」
今度は由香が言ってきた、腰にはその虎徹らしき刀がある。
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