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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第二十七話

 
前書き
どうも、最近忙しくなくなった、と思ってたらじんわり忙しかったです。一週間に二回位のペースで書きたいのに………。
あ、今回は艦これ要素ほぼなしです。 

 

―自室―
 
「ただいまーっと……あー、疲れた。」
 
あれから。
 
俺はさんざん木曾に訓練をつけてもらいまして、二〇〇〇頃にやっと解放された。
 
木曾は、『あと三日で完成させてやんよ。』と、いつものクールスマイル。その後、木曾はありえねぇスピードでボートを漕いで帰っていった。
 
仕方ないから、暇になってボートで寝てしまっていた悠人を連れて帰り、晩飯を食って部屋に戻ってきた所だ。因みにだが、悠人は飯を食って直ぐに寝てしまっていた。仕方ないからおぶってきた。
 
「ん、おかえり。雷撃、ちょっとは上達した?」
 
すると、部屋では拓海がちゃぶ台を出して座っていた。ちゃぶ台の上には、宴会の時に何本か貰った酒びんが。一本は空いていた。
 
「いやー、このワインなかなかいけるね。飲む?」
 
「…………………おう、貰うわ。」
 
俺は色々言いたいことを噛み殺し、悠人をベッドに寝かした。その後、拓海の前に座る。
 
悠人は用意していたグラスに空けていたワインを注ぐ。
 
「どーぞ。」
 
「ん。」
 
俺はそのグラスを受け取った。
 
「んじゃ、久しぶりの再会を祝って……」
 
「「乾杯。」」
 
チン、と高い音を鳴らせ、俺と拓海はワインを一口飲んだ。
 
 
(※前にも言ったかもしれないが、この話はフィクションであり、実際では未成年の飲酒は法律で禁止されている。真似するんじゃねぇぞ?真似したら……分かってんな? By魔神)
 

……なぜだか知らないが、頭の中で木曾の声がした気がする。疲れているのだろうか。さんざんあいつの声は聞いた訳だし、あり得なくはないな。
 
「しかし、悠人は見事に寝てるね。」
 
拓海は一旦グラスを置いて、ベッドで爆睡している悠人を見ながらそう言った。悠人はなかなか幸せそうな寝顔で寝ていた。
 
「全く、久々に友人に会ったってのに、寝るかねフツー?」
 
「まぁ、おやっさんの仕事手伝ってた訳だし、疲れてるのも無理ないよ。」
 
んなこと言ってたなそういえば。しかし、テキ屋バイトで三徹位はしたこと会ったはずなのにな……。
 
「でも、今だって狸寝入りの可能性すら有るからね。試してみたら?」
 
ふむ、それもそうだな。
 
悠人は基本的に俺以上の寂しがりやだから、他人の目を惹くような行動をよくとる。俺が初めて学校で出会ったときも、わざわざ俺の机の上に置いてあった筆箱をぶちまけてきっかけを作ったっけな。
 
「んじゃま拓海、お前足もって。俺腕な。」
 
俺はそう言うと、ベッドの上に登って悠人の腕をなんか持ち上げた。
 
拓海は頷くと、悠人の足を持つ。俺達はいっせーのーでと掛け声をして、悠人を持ち上げる。
 
「右から振ろう。飛ばしすぎないことな。」
 
「了解。」
 
しかし、ここまでしてるのに悠人は起きる気配がない。こいつ、やっぱり寝てないんじゃねぇか?
 
ま、それはこれから分かるわけで。
 
俺と拓海は息を合わせて持ち上げた悠人の身体を左右に振る。
 
「「いーち、にーの、さーんっ!」」
 
そして、その合図で悠人をベッドの上からちゃぶ台の向う側、ドラム缶の近くにぶん投げる。
 
ライナー気味に飛んだ悠人は、ドサァ、と落ちたあと、ゴロゴロ転がって、ドラム缶にぶつかった。
 
そのまま動かない悠人。
 
「いや悠人絶対起きてるでしょ!?」
 
拓海がベッドから降りて、悠人の近くに移動する。確かに、あんな感じで投げられたら寝てたとしてら起きるはずだ。
 
つまり。
 
「オラァテメェら!何してくれとんなぁ!」
 
悠人はここまで起きてましたとさ。めでたしめでたし。
 
「さーて、今日は別の部屋で寝るかね。」
 
俺はじゃれ始めた二人を横目に部屋を出ようとする。
 
「いやいやいやいや、まだまだ夜は長ぇんだぜ?もっと話そーぜ?」
 
悠人は拓海に腕ひしぎ逆十字を掛けながらそう言ってきた。いやまて悠人、拓海の右腕がなかなかエキサイティングな方向に曲がってるぞ。
 
「ギブギブギブギブ!ムリムリ!つーか僕、今日は冬華の部屋に泊まるから!離して離して!」
 
拓海はそんなことを叫んでいた。後半は半分悲鳴に近かったけども。
 
「ほほう?冬華の部屋だぁ?」
 
それを聞いた悠人は、意地の悪そうな笑顔を浮かべた。
 
「なぁ、冬華の部屋って何人部屋?」
 
「えっと、確か一人部屋って言ってたな。ジャンケンに勝ったって。」
 
………………………………。
 
「「(ニヤァ。)」」
 
俺と悠人は顔を見合せた。その後、拓海を見る。
 
「いや、前からここに来たときはたまに冬華の部屋で寝るかね?」
 
なんともないといった感じで話す拓海。とゆうか、俺の中では拓海と冬華って別れてたと思ってたんだけどな。朝のあれを見る限り、今でもラブラブらしい。
 
「んでぇ?冬華の部屋で〇〇〇〇したり〇〇〇〇〇したり〇〇〇〇〇〇〇したりするのか?」
 
俺はそんなことを言った悠人の頭をしばいた。R-18のタグ着けなきゃいけなくなるだろうが。
 
「………………。」
 
……………うん?
 
さっきから拓海がずっと黙ってる。
 
「…………おーい、拓海ー?」
 
流石に悠人もおかしいと思ったのか、拓海に声を掛ける。しかし、拓海は依然として黙ったままだ。
 
すると、
 
「ねぇー、二号さーん、拓海くん居るっぽい?」
 
外から、件の冬華が声を掛けてきた。
 
「うん、居るよ。すぐ行くから、待っててね?」
 
拓海は、その声にそう答えた。
 
「分かったっぽい!」
 
すると、冬華はタッタッタッと走っていった。
 
「んじゃ、そーゆーことで。」
 
拓海はそう言うと、立ち上がって部屋の外に出ていった。心なしか、嬉しそうだ。
 
「お、おう。それじゃ、お休み。」
 
「うん。お休み。」
 
ギィイー、バタン。
 
拓海はそう言い残して出ていった。部屋には、俺と悠人だけ。
 
「…………千尋、俺たちも早く恋人でも作ろうぜ。なんか悔しい。」
 
「同感だ。」
 
無性にあのやさ男に腹が立ってしまう。拓海は中学生時代、一週間に一回位のペースで告白されてた。因みに俺は心の底から女の子を好きになったことがないし、悠人は恐らくあちらの世界の人とになるのだろう。
 
だから、なかなか悔しい。
 
「あーでも、千尋はこれからの半年で恋人ができそうだな。」
 
酒が入っているからか、悠人はそんなことを口走った。
 
「はは、冗談は行動だけにしとけ。んで、その根拠は?」
 
たかが一日見ていただけの奴が一体何を語ろうとするのか。でも、意外とこいつ鋭いしな………ボロ出さねぇようにしねぇとな。
 
「俺の見立てでは、春雨って娘かな。」
 
「…………ほう?」
 
確かに、今日の昼過ぎにも春雨とはドイツ語の勉強したあとに、暫く一緒に訓練してたけども。
 
僕はそこから悠人がどんな理論を展開するのか、少し楽しみにしながらワインを口に運んだ。
 
「まず間違いなくお前に惚れてるよな。」
 
「ぶっ。」
 
俺は思わずワインを盛大に吹いてしまった。悠人はワインを頭から被ってしまっていた。
 
「す、すまん。ほれ、タオル。」
 
俺はすぐそばに置いてあったタオルを悠人に渡す。お礼を言ってそこかしこに飛んでいるワインを拭く。
 
あらかた何とかなった所で、俺は悠人に聞いた。
 
「……なんでそう思うんだよ。」
 
「いや、だって春雨ちゃんのお前を見る目が完全に恋する乙女だもん。あの様子じゃあ本人も気付いてないみたいだけどさ………やっぱりお前も気付いてなかったか。」
 
はぁ、と溜息をつく悠人。悪かったな鈍くて。
 
「……他には?」
 
「木曾さんからきいたんだけどさ、お前と春雨ちゃんって、木曾さんの昔の話を探ってんだろ?それで成り行きで摩耶さんと対決するとか言うことも。」
 
どこまであの娘はバカなんだ。わざわざ言うなよそんなこと。
 
「でもさ、どうせお前のことなんだから、春雨ちゃんを誘った訳じゃないんだろ?」
 
確かに、あのときは春雨から一緒に調べさせて下さいって頼まれたんだっけな。
 
「それって、好きな男の子と一緒にいたいっていう恋心の表れじゃね?」
 
「…………知らねぇよ。」
 
俺は若干頭に来て、そのまま寝転がる。このまま寝てやろうか。

「……ま、ただの推理。確証無し。証拠もなしだ。けどな、」
 
そう言うと、悠人は一旦ベッドに移動して、寝転がった。
 
 
 
「後悔すんなよ?」
 
 
 
その言葉には、どんな意味が込められているのか。死に際での意味なのか、人間関係での意味なのか。
 
「……忠告ありがとさん。俺はもう寝る。」
 
しかし、忠告は素直に受け取っておくことにした。今までもこいつや拓海の言葉には何回か救われてきたんだ。覚えておこう。
 
「そうか、お休み。」
 
「おう、お休み。」
 
俺達はそう言うと、お互いに黙った。
 
久々に会った親友とこんな感じでいいのか、とも思ったけど、俺達はこれでいい。
 
またいつか、こんな感じで泊まり込みで遊びたいな、と思ってしまった。
 
………………一体いつになるのやら。
 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。実のところ、予定ではとっくに摩耶さんとの対決も終わっている予定だったのですが……いやはや、おそろしやおそろしや。
それでは、また次回。 
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