夢幻水滸伝
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第十四話 攻めるものその五
「むしろ下策や」
「その通りじゃな」
「そして自分は今回敵が一番困るやり方を見抜いてや」
そのうえでというのだ。
「そうした、このことはな」
「よかったな」
「まさに心を攻めるでな」
そしてというのだ。
「上策やった」
「一戦で山陽を手に入れた」
「上等や、ほなな」
「ああ、後はやな」
「城の方に戻ってや」
そのうえでというのだ。
「詳しい話をしよな」
「そやな」
こうしてだ、中里は兵はそのまま進ませたが自身は戻った。兵を進ませたのは井伏達に自分達の行動が本気であることを見せる為だ。そして。
岡山城を囲んでいる自軍の本陣で井伏達と会いだ、二人の言葉を聞いた。二人は中里達に言った。
「完敗じゃ、どうにもないわ」
「見事に負けたわ」
「そやから降る」
「後は好きにしてくれ」
こう言うのだった。
「煮るなり焼くなりのう」
「わし等はそうしてくれ」
「ただ兵と民には手だしするな」
「大事に扱ってくれや」
「わかった、兵も民も悪い様にはせん」
中里は二人に笑みを浮かべて約束した。
「そうする、それであんた等もや」
「わし等もか」
「今からうちの陣営のモンや」
そうなるというのだ。
「星の連中としてな」
「そう扱ってくれるか」
「そうしてくれるんじゃな」
「そうや」
笑みを浮かべたまま答えた。
「綾乃ちゃんが正式に決めるけどな」
「わし等もか」
「関西の陣営に入るんか」
「それで戦や政をする」
「そういうことじゃな」
「どっちも頑張ってもらうで」
中里は二人にこうも言った。
「忙しいから覚悟してもらうで」
「関西はかなり内政に気を使ってると聞いとる」
井伏は強い目で中里に問うた。
「それはほんまらしいのう」
「ああ、綾乃ちゃんの方針でな」
「それと宰相に太宰君もおってな」
「普通科の生徒会長じゃな」
「彼もおってな」
そしてというのだ。
「内政は充実てるで」
「そうか」
「そうじゃ、それで二人もな」
「政に励んでか」
「民も国も豊かにしてもらうで」
こう言うのだった。
「ええな」
「わかったわ」
「わしもじゃ」
井伏だけでなく山本も中里に答えた。そして山本は中里に対してこんなことも言ったのだった。
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