終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?赤き英雄
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太陽の傾いたこの世界で
走る黒猫と灰色の少女
そこには角も、牙も、鱗も、ないはずだ。
カイトは遠いところ見る目にして『やべぇ』みたいな顔にして少女言う。
「行くぞ俺てきには面倒くせぇからな」
少女の手を引いて、大股に歩きだす。「え、え、え」と状況をつかめずにいる少女が疑問の声を引きずりながら、それでも小走りについてくる。
急ぎ、その場を離れた。
「……よし。これでいいな」
手近な帽子店に入り、手近な帽子を購入。少女の頭の上に、ぼすんと載せた。
少々サイズが大きかったような感もあるが、予想していたよりもしっかり似合っている。
カイトは満足して調子のって白いワンピースを買ってしまた。
「あ、あの、これは……?」
そこまで完全にされるがままだった少女が、おずおずと尋ねてくる。
「帽子はまあ徴無しだなんてバレることはねぇだろ服いつもの癖だと思ってくれ」
カイトは頭をかきながら言った。
自分たちのような徴無しは、一般的に、疎まれている。しかし、憎まれているというほどの扱いを受けているわけではない。そもそも、外見的特徴がないことこそがその証しなのだ。派手に目立ちさえしなければ、それほど極端に騒がれるようなことはない。
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