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夢幻水滸伝

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第十三話 星と兵とその十

「是非」
「わかったわ、ほなな」
「はい、では今から」
「行って来るわ」
 中里は微笑んで二人に言ってだ、そしてだった。
 御所から自身の転移の術で播磨と備前の境の戦場に来た。彼は鵺に乗ったうえで関西の軍勢の本陣に出た。
 その彼を見てだ、中原は目を瞠って言った。
「まさか」
「僕が来るとかはやな」
「思いませんでしたわ」
 こう彼に言うのだった。
「いや、ほんまに」
「綾乃ちゃんと太宰の決定でな」
 それでというのだ。
「僕が来ることになったんや」
「そうですか」
「領内なら何時でも何処でも観られる鏡が手に入って」
「その鏡で戦局を観て」
「それでや」
 そのうえでというのだ。
「ここに来たんや、つまりな」
「この戦いでな」
「一気に決めるんですか」
「山陰の方にも話がいったで」
 中里は中原にこのことも話した。
「そこからも攻めるとのことや」
「ほなこの戦も勝って」
「山陽完全に降すで」
「わかりました」
「騎馬隊と空船借りるわ」
 兵の中でというのだ。
「それでええか」
「いえ、軍全体の指揮自体が」
「兵の一部だけやなくてか」
「はい、神星の方ですから」
 だからだというのだ。
「宜しければ」
「そうか、神星やからか」
「神星の方は棟梁にもなられる方です」
「綾乃ちゃんとか」
「はい、芥川さんと中里さんもです」 
 その棟梁である綾乃だけでなく、というのだ。
「一軍全体の指揮も執れます」
「他の星よりも上か」
「はい、そして治もです」
 そちらについてもというのだ。
「一国の全権を受け持てます」
「そうか、ほなこの軍全体もか」
「星の者達も含めて」
 そうだというのだ。
「そうなります」
「わかった、ほなやるか」
「軍全体の采配を執られますか」
「ああ、ただ鉄砲隊と砲隊の指揮は頼むわ」
 中原の得意なそれはというのだ。
「それで僕は今言うたけどな」
「騎馬隊と空船で」
「あと翼人もや」
 彼等もというのだ。
「率いて攻める」
「そうされますか」
「ああ、自分はこのままや」
「鉄砲と大砲で敵を撃ち」
「守りに徹してくれ、それで僕がや」
 中原がそうして戦っている間にというのだ。 
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