夢幻水滸伝
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第十三話 星と兵とその四
「まだな」
「そやから僕がいます」
ここで別の手裏剣が来た、黒い忍装束の佐藤兄が投げたものだ。
「もう一人が」
「そうじゃな」
「この七見分身は並の術やないですさかい」
今度は赤の佐藤兄が火炎球を投げてきた。
「覚悟してもらいます」
「そうじゃのう」
山本は佐藤兄の攻撃も槍で防ぎつつ応えた、その攻撃は七身それぞれで違う独特なものだった。
青は氷の刃、黄は煙珠、緑は木の葉の刃、紫は雷、橙は目つぶしの粉が入った粉を放って来る。そしてだ。
七身それぞれが接近しては忍者刀で攻撃してくる、その七身の攻撃にも山本は言うのだった。
「並の者ならじゃ」
「相手になっていなかったと」
「そうじゃ、しかも兄妹じゃ」
双子でそれぞれ攻めてくるからだとも言う。
「余計に強い、しかしな」
「それでもですか」
「それは並の者やったらじゃ」
相手にならないのはというのだ。
「星の者やと違うわ、しかもじゃ」
「山本さんやから」
「そやからですか」
「そうはいかん」
こう言ってだ、山本は。
その槍を防ぐのから攻めに使ってきた、七身の佐藤兄のそれぞれに激しい突きを浴びせてきた。
その攻撃はあまりにも速くだ、佐藤兄はそれぞれの身体でかわしつつ言った。
「これはまた」
「どうじゃ」
「流石ですな、防ぐのも上手でしたし」
「日本号を甘く見るなや」
その槍での突きを続けつつ言う。
「天下無双の槍じゃ、しかもな」
「山本さんの腕があるからですか」
「そうじゃ、わしはこの世界では槍が使えるんじゃ」
こう言うのだった。
「その腕には絶対の自信がある」
「それでこの強さですか」
「もう一人もじゃ」
言いつつだ、彼は佐藤妹の手裏剣を突きで一つ一つ叩き落としていた。
「その手裏剣だけで何とかなると思ってるか」
「いえ」
佐藤妹はすぐに答えた、その手裏剣達を放ちつつ。
「まさかですか」
「そうじゃな」
「確かにこの神具も強いですけど」
それでもというのだ、自分でも。
「それだけで山本さんは倒せません」
「そうじゃのう」
「しかもうち一人では」
「そやから僕もいます」
山本は槍の攻撃をかわし続けている、そのうえでの言葉だ。
「二人ですわ」
「二人でわしの相手をすればか」
「やれます」
そう思ってというのだ。
「そやからこっちに来ました」
「二人やったらわしを倒せるか」
「自信はあります」
「ほなやりますわ」
妹も前に出て忍者刀を抜いた、そうしてだった。
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