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夢幻水滸伝

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第十三話 星と兵とその三

 夏目も反撃に出た、まずは霧の術を出してだった。
 一瞬、まさにほんの一瞬だったが井伏の目をくらませた。井伏はすぐに普通の状態に戻ったが。
 その一瞬の間に攻めの態勢に入った、菊一文字を一閃させたのだ。
 刀と張り手が激突し銀の刃が飛び散る、二撃三撃と打ち合いつつそのうえで井伏に対して言った。
「麿も守ってばかりではないでおじゃる」
「攻めることもか」
「するでおじゃるよ」
 今の様にというのだ。
「こうしてでおじゃる」
「名刀菊一文字か」
「金剛石でも何でも斬れる名刀でおじゃる」 
 夏目は笑みを浮かべ井伏に言った。
「そして麿の力を飛ばすことも出来るでおじゃる」
「そうじゃな」
「こうしてでおじゃる」
  刀に爆裂の術を込めて斬った、すると凄まじい爆発が攻撃を受け止めた井伏を襲った。だが。
 井伏はそれでも立っていた、無傷で平然として言う。
「軍勢なら千人は吹き飛ばされとったわ」
「軍勢なら、でおじゃるな」
「しかしわしが違う」
 井伏、彼はというのだ。
「星のモンをそう簡単に倒せると思わんことじゃ」
「承知しているでおじゃるよ」
「それじゃったらのう」
「まだまだこれからでおじゃるな」
「そうじゃ、このまま戦うわ」
 二人で話しながらだ、激しい死闘を展開していた。そして。
 山本と佐藤兄妹も闘っていた、佐藤妹は霧を出してだ。
 手裏剣を遠間から投げる、しかもそれは一つや二つではなく。
 五十、六十さらに増やして投げる。山本はその手裏剣達を日本号を水車の様に己の前で振って弾き返しつつ言った。
「風魔手裏剣か」
「うちの神具ですわ」
 佐藤妹は霧の中で山本に応えた。
「投げる時は幾らでも増える」
「それこそ千二千とじゃな」
「増やせて投げて」
 そしてというのだ。
「敵を倒しますわ」
「威力も違うのう」
 山本は逆にだ、水車の様に回す槍に炎を込めて火車にさせてそれを佐藤妹に放ってから言った。
「これは」
「普通の手裏剣とちゃいますさかい」
「魔法の防具でも何でも貫く」
「そうですわ」 
 そこまでの強さだというのだ。
「頭に当たれば吹き飛びますで」
「強いのう」
「その手裏剣、どうですか」
「確かに強いわ」
 山本は佐藤妹が己の火車がかわされたのを感じ取りつつ応えた、霧の中で気配でそれがわかった。
「我の神具はな、しかしじゃ」
「うちだけでは」
「わしは倒せん」
 それは出来ぬというのだ。 
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