夢幻水滸伝
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第十三話 星と兵とその一
第十三話 星と兵と
夏目は井伏との戦闘に入った、井伏は即座にだった。
己の前に自身の足で立つ夏目に向かって突進してだ、体当たりを仕掛けてきた。しかしその体当たりをだ。
夏目は身体を右に翻してかわした、そこでかわす瞬間にだ。
闘牛士の様に菊一文字で刺そうとする、だがその一撃をだ。
井伏は突進のあまりもの速さでかわしてだ、突進を終え動きを止めて振り返ってから夏目に言った。
「よかったわ、かわせて」
「流石でおじゃるな」
攻撃をかわされた夏目は井伏と再び正対しつつ応えた。
「突進も葉やけばでおじゃる」
「当たらんわ」
「そうでおじゃるな」
「闘牛士になったつもりで仕掛けたのう」
「その通りでおじゃる」
夏目はその通りだと答えた。
「それが上手くいくと思ったでおじゃるが」
「わしもぶつかったと思ったが」
「紙一重で見切ったでおじゃる」
そうだったというのだ。
「いや、よかったでおじゃる」
「その紙一重が大きい」
実にとだ、井伏は夏目に返した。
「当たると当たらんではのう」
「それはこちらも同じでおじゃる」
「そう言うか」
「そうでおじゃる、しかし」
「お互いこれで終わりではないのう」
「無論でおじゃる」
「さっきのは挨拶」
闘いのはじめのというのだ。
「ほんのな」
「そうでおじゃるな」
「ではのう」
「さらにでおじゃるな」
「死合うか」
まさにという言葉だった。
「今からな」
「そうするでおじゃる」
「ではもう一度行く」
「受けて立つでおじゃる」
ここでだ、二人は互いにだった。相手に氷の魔法を放ったがそれは両者の間で炸裂して相殺された。この魔法の応酬から。
井伏は再び突進した、それから。
両手でだ、凄まじい張り手を繰り出してきた。
「千手観音!」
「おお、それで来たでおじゃるか」
「これでどうじゃ!」
「見事でおじゃる」
夏目はその張り手を魔法の障壁で防ぎつつ応えた。
「前よりも強くなったでおじゃるな」
「修行せんとのう」
「強くならない」
「だからじゃ」
それでというのだ。
「わしも鍛えてるんじゃ」
「いいことでおじゃるよ」
「それは我もじゃな」
井伏は夏目を見据えて彼に言った。
「そうじゃな」
「ほっほっほ、関西は政に忙しいでおじゃるが」
関西は日本の諸勢力の中でも特に内政に力を入れている、そのこともあり国はかなり豊かである。
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