| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百十五話 長崎へその十

「心もです」
「廃人にしますからね」
「ですから」
 本当にというのだ。
「お気をつけを」
「わかっています」
 薬物中毒の人の話を聞いて心から思った、どうしてあんなものに手を出すのか不思議で仕方がない位だ。
「そのことは」
「それでお願いします」
「そうですよね」
「私もしたことはありません」
「身体に悪いからですね」
「それも極めて」
「本当にそうですよね」
 僕も真剣な顔で畑中さんに頷いて返した。
「あんなものに手を出したら」
「何もかもが終わりです」
「全くです」
「そこはお願いします」
「絶対に」
 僕は心から誓った、本当にそのことだけはだった。当然八条学園でもそうしたものについては極めて厳しい。
 そしてだ、そうした話をしてシャンパンも結構飲んでだった。
 食後早百合さんと裕子さんにだ、こう申し出た。
「あの、今日は一緒に」
「長崎にですか」
「行きたいんですが」
「はい」
 裕子さんが笑顔で答えてくれた。
「そうされてもらいます」
「それじゃあ」
「はい、一緒に行きましょう」
「それにです」
 さらにだった、今度は早百合さんが言ってきた。
「畑中さんの奥さんもです」
「あの人もですね」
「一緒です」
 このことも話してくれた。
「そうなので」
「はい、それはもう聞いてます」
 僕は微笑んで答えた。
「畑中さんから」
「そうですか」
「ですから知ってますので」
「もう、ですね」
「安心して下さい」
「わかりました」
 早百合さんは僕に微笑んで答えてくれた。
「それでは」
「四人で、ですね」
「長崎に行きましょう」
「ここはいつも夜に回っています」
 裕子さんが言って来た。
「そうしています」
「夜にですか」
「そうしています」
「そしてお昼はですね」
「里帰りをしています」
 実家のある長崎にというのだ。
「そして両親、兄と会っています」
「お兄さんおられるんですか」
「実は家は喫茶店でして」
「あっ、そうなんですか」
「はい、グラバー園の近くの」
 あの蝶々夫人の舞台になっただ、とはいっても場所だけで歌劇の家はほんの小さな日本風の家である。
「あそこにです」
「あってですか」
「はい、お店が家になっています」
 よくあるタイプだった、お店と家が一緒になっているのは。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧