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夢幻水滸伝

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第十二話 西の動きその十

「まさに狙い目でおじゃる」
「夜よりもな」
「だから井伏氏もそう来るでおじゃる」
「しかしそこを」
「返り討ちでおじゃる」
「そうする為にも」
「今はお芝居でおじゃるよ」
「普段通りにしていて」
 これもあえてだ、普通の夜を過ごしてだ。彼等は朝のことを考えていた。
 井伏は斥候達の報を聞いてあらためて言った。
「よし、丑三つ時まではじっくり寝てじゃ」
「そしてじゃな」
「そうじゃ、丑三つ時に起きてじゃ」
 こう山本にも言う。
「後はな」
「飯を食うてじゃな」
「そこから攻めじゃ」
 それにかかるというのだ。
「日の出にな」
「一気にせめてじゃな」
「勝つ、兵の数はほぼ互角じゃ」
「相手は二万、こっちも大体二万」
「それじゃったら機先を制した奴が勝つ」
 井伏は断言した。
「だからこそ朝攻めるんじゃ」
「そういうことじゃな」
「やったるわ」
「おう、その通りじゃな」
「そして姫路まで攻め取ってな」
「都じゃな」
「そこも目指すか」
 四国の者達と協同してだ、彼等はそう考えていた。だからこそ今は丑三つ時まで寝ることにした。
 そしてだった、日の出と共にだった。山陽の軍勢は雄叫びを挙げ槍を掲げて関西の軍勢に向かって突進した。しかし。
 その彼等を見てだ、夏目は冷静に兵達に言った。
「鉄砲隊、攻撃用意でおじゃる」
「はい、三段ですね」
「三段撃ちですね」
「それを仕掛けるでおじゃる」
 鉄砲のそれをというのだ。
「いいでおじゃるな」
「わかりました」
「ほな手筈通り」
「あと長槍もでおじゃる」 
 これもというのだ。
「手筈通りでおじゃるよ」
「前に突き出し」
「敵を寄せ付けないんですな」
「鉄砲とそれで防ぐでおじゃる」
 この二つの武器でというのだ。
「冷静にしていれば問題なしでおじゃる」
「そしてやな」
 中原も言ってきた。
「大砲もやな」
「鉄砲を撃った直後にでおじゃる」
 まさにというのだ。
「敵に向けて一斉砲撃でおじゃるよ」
「これも手筈通りやな」
「そうでおじゃる」  
 その通りだというのだ。 
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