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夢幻水滸伝

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第十二話 西の動きその九

「だからこそ」
「注意すべきでおじゃる」
「全く以てやな」
「あの二人は共に足軽で攻めて来るでおじゃる」
「では」
「麿が鉄砲と槍で防ぐでおじゃる」
 関西の軍勢が多く持っているこの二つの武器でというのだ。
「弓矢も使うでおじゃるが」
「大砲も」
「それでおじゃる」
 まさにとだ、夏目はここで中原にこれまでよりも強い声で告げた。まさにそこにあるという声だった。
「頼めるでおじゃるな」
「ほな」
「敵は空船も鉄砲も砲も少ないでおじゃる」
「それはどの勢力もでおじゃる」
 このこともだ、夏目は言った。
「日本では」
「装備は命やしな」
「その点関西は有利でおじゃる」
 実は関西の兵は弱いと言われている、しかし具足やそうした武器の良さに数の多さで有利に立っているのだ。
「それを活かすのは当然でおじゃる」
「そやな、ほな」
「大砲は任せたでおじゃる」
「そういうことでな」
 こう話してだ、そしてだった。
 夏目と中原は敵の動きを読んでそのうえでだった。
 朝に備えて飯の用意もして早めに寝ておいた、だがそれは陣中に収めあえて隠していた。それは山陽の斥候達が見てもだった。
 夜は休んでいる様に見えた、それで彼等も言った。
「よお寝とるのう」
「ああ、このままやったらな」
「朝連中が起きた時に攻める」
「棟梁の策は効くわ」
「確かに朝起きて飯を食う時は力がでん」
「その直前はな」
「むしろ寝てる時を攻められるより怖い」
 起きてすぐ、そして食事の直前はというのだ。
「まさに狙い目じゃ」
「ほな棟梁にこのこと報告するか」
「そうすべきじゃな」
 こう話してだ、そしてだった。
 彼等は彼等の陣に戻った、しかし夏目はその彼等を見て言った。
「これでいいでおじゃる」
「そやな」
 中原も言う、彼等を見て。
「敵はかかったわ」
「麿達が寝ていると思っているでおじゃる」
「夜襲に気をつけていても」
 見張りは置いている、彼等は普段からこの用心は忘れていない。
「それでもな」
「朝はどうかでおじゃる」
 敵の狙いはだ。
「夜襲がなくてほっとして」
「そして飯を食う」
「日も出るでおじゃる」
 明るくなってきて周りが見えてきてこのことでもほっとする。 
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