八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十四話 ワインとデザートその十五
「花火にはです」
「そうよね」
「では飲まれますか」
「ううん、けれどね」
それでもとだ、ダオさんは花火を観ながらにこにことして小夜子さんに答えた。花火が三発連続で上がってそれぞれの彩色の大輪を見せている。
「さっきアイス食べて」
「アイスの味がですね」
「お口の中にあるから」
だからだというのだ。
「今はいいわ」
「そうですか」
「ビールは甘いものとは合わないから」
「それは確かに」
「ワインは合うけれど」
だからティータイムのお菓子と一緒に楽しむことも出来る、ワインはそうしたものとも合う素晴らしいお酒だ。
「ビールは違うから」
「だからですね」
「ええ、いいわ」
ビールはというのだ。
「花火観て余計にお酒が回って明日の朝が怖いけれど」
「ワインですか」
「あるかしら」
「この近くには」
「ないの」
「残念ですが、ただ」
ここでだ、小夜子さんは懐からだった。
ブランデーの瓶を一本出してだ、ダオさんに差し出して言った。
「如何でしょうか」
「あっ、ブランデーね」
「どうでしょうか」
「ワインの蒸留ね」
「その観点から出しました」
小夜子さんにしてもというのだ。
「幸い持っていましたし」
「ええ、じゃあね」
「はい、それでは」
「コップもあるの?」
「こちらに」
小夜子さんはまた懐から出して来た、今度はコップをだ。しかも一つじゃなくて三つ出してそのうえで僕にも言ってきた。
「義和さんも」
「飲んでいいんだ」
「はい」
微笑んで僕に答えてくれた。
「こうしたものは皆で飲んでこそです」
「だからなんだ」
「いいものですのね」
「それでだね」
「三人で飲みましょう」
「そうよ、一人や二人で飲んでもね」
ダオさんも僕に言ってきた。
「そんなの駄目よ」
「そうです、普通にです」
それこそというのだ。
「皆で飲んでこそです」
「いいから」
「一緒に飲みましょう」
「それじゃあ」
「それとです」
さらにだ、小夜子さんは僕にこう言ってきた。
「明日の朝はお気をつけ下さい」
「ああ、二日酔いだね」
「そうです、ワインをかなり飲んで」
「今からブランデーも飲むから」
「間違いなくです」
「二日酔いになるね」
「私達もそうなります」
絶対にというのだ。
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