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リリなのinボクらの太陽サーガ

作者:海底
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過去のマイン

 
前書き
ようやく出せました。
色々と説明が多いですが、伏線回収も並行して行っているので、このような量になりました。今回はザジ視点が中心です。
 

 
石化したルシエの里から出発したうちらは星読みで見た次元港のある街の方角に歩き、なんとか日が沈む少し前に到着した。里から12キロメートルの距離なのにこんなに時間がかかったのは、まずキャロが旅慣れていないことや精神的ショックで色々消耗が激しかったのと、森の中を突っ切ったせいで方角が非常にわかりづらかったからや。もしキャロ一人で街まで行く羽目になってたら、一日どころか一週間以上迷ってたかもしれへんな。

『―――続いてのニュースです。先日ミッドチルダが襲撃されたことで発生した怪我人は1万を超え、そのうち死傷者は1000人弱、重傷者は2000人以上となっており―――』

街を歩いとると、電気屋の売り物のテレビからニュース番組の映像が流れとった。ミッドチルダといえばこの管理世界の中心地やったことを思い出したけど、今のうちらはそのことに意識を向ける余裕はなかった。なぜなら……、

「ここにも生存者はおらへんのか……」

「一体どうなってしまったんですか、アルザスは……」

キャロの言葉には沈痛な気持ちが込められとった。そしてうちも、こんな光景と何度も遭遇したことに内心困惑していた。

何が起きてるかと言うと、ルシエの里と同じで、この街でも生物が全て石化しとった。実は道中の森でも猛獣や鳥たち、蟻や小さな虫すらも石になって一面に転がってたし、なんちゅうか……この世界で生きてるのはうちらだけしかおらんような錯覚すら感じさせるほどやった。

「参った……次元港の人もことごとく石化しとる。うちらは次元航行艦なんて動かせへんし、これじゃあ他の世界に行くこともできひん。どないしよう……」

「いくらフリードでも、次元空間までは飛べませんもんね……」

「きゅるー……」

フリードが申し訳なさそうに落ち込む。竜と言えど召喚士に呼ばれたのならば次元の壁を超えることは可能やけど、単独じゃあどうしようもあらへんのな。

しかし……これはアレか? うちにまたアニマの器込みの転移魔法を使えと言うとるんやろうか? 今度は並行世界やのうて次元世界間を移動するわけやから難易度はこっちの方が低いとは思うけど、うちはアニマの器を使い慣れとらんし、昨日の転移失敗の件もあってどうしても抵抗が湧いてしまう。まぁ、ちゃんと使えるように練習すればええ話やけど、練習してない今は不安過ぎて、他にどうしようもないと判断するまではやめておきたい。

「……きゅる!? ぐるるるる……!」

「フリード? ど、どうしたの、急に……!」

いきなりフリードがある方角を向いて、小さい体躯ながらも翼を広げて威嚇行動を取った。うちらもつられてフリードと同じ方を見て……絶句した。

「なんや……あれは!?」

日没で太陽の光が一気に薄くなってきた空の向こうから、“闇”が迫ってきていた。正確には、大量のクロロホルルンが全身に憑りついた人型の巨竜……一応ドラゴンゾンビにまではなっていないが、さしずめ邪竜とでも呼ぶべき化け物ではあった。なぜか両翼が石化しているそいつは街の外からゆっくりと、足音で地響きを立てながら着実にこちらの方へ近づいてきていた。

「あれは……そ、そんなはずは!?」

「キャロ、あれが何なのか知っとるんか?」

「……アルザスの守護竜、ヴォルテール。この世界の守り神とも謳われるほどの力を持った竜で、わたしに竜の加護を与えた偉大な存在です。それがどうして、あんな目も当てられない姿に……!?」

「守り神……!? とにかく、あれと戦うのがヤバいってことはわかった。なら急いで逃げるで!」

状況を把握したうちはひとまず遮蔽物に身を隠そうと、キャロの手を引っ張って走り出そうとした。その直後……、

ズドォォォンッ!!

―――グルァァアアアアア……!!

ヴォルテールの方から謎の爆発音が聞こえた。何らかのダメージを受けたらしく、うめき声を上げながら膝をついたヴォルテールの背中に、うちは今の爆発音を発生させた存在を見つけた。

「あいつは……!」

真っ黒な突撃槍を持った黒い鎧をまとう少女。以前シャロンが言ってた、ジャンゴを次元世界に連れて行った少女と特徴が完全に同じやった。まさか彼女が……?

何はともあれ、彼女はどういう訳かその槍を振るって、体勢を立て直したヴォルテールと戦い始めた。苦し気な雄叫びを上げてもがく巨竜の腕をその細腕で弾き、暗黒物質が大量に混じった炎のブレスを槍の機構らしいジェット噴射で一直線に貫き、一気にヴォルテールの頭部へ接近していった。だがヴォルテールもそう簡単には倒れまいと、巨体を活かした頭突きを繰り出し、彼女を凄まじい勢いで吹き飛ばした。……うちらのいる方へ。

「ちょ!? こっちに……来よったぁ!?」

「あわわわわ!!???」

うちとキャロは思わず涙目で互いに抱き合うけど、少女はうちらの目の前で槍を上手く地面に突き刺して、それを軸に回転、衝突することなく一瞬で体勢を立て直した。そして今のでうちらに気付いた彼女は地面から槍を引っこ抜くなり、こう言ってきた。

「質問。……観光?」

「ぜ、全然ちゃうわ!?」

「冗談。水に流してほしい」

「あ、あの……ヴォルテールがこっちに砲撃を……大地の咆哮(ギオ・エルガ)を吐こうとしてますよ!?」

「残念。あの集束速度じゃ逃げ切れない。仲良く仏様になる?」

「なってたまるかいな! あ~もう、しゃあない! アニマの器発動! レイ・ロード!!」

うちが使える氷系最強魔法にアニマの器の力を注いで、巨大な氷塊をヴォルテールの頭上に生み出す。本来は一軒家ぐらいのサイズで生み出されるんやけど、今回はアニマの器によるブーストがかかっている影響か、サン・ミゲルの太陽樹に匹敵するほどのどえらいサイズになってもうた。まあそのおかげでヴォルテールは、うちらではなく早急に破壊すべきだと判断した氷塊に対して炎の集束砲撃を放ったから、こっちにブレス攻撃が来ることは無かった。

凄まじい重量で落下する氷塊と、とてつもない熱量のブレスの衝突は周囲におびただしい水蒸気をまき散らす。うちらはその衝突による爆風を受けて身をかがめ、ブレスが収まった時には氷塊は砕けて粉状に地面へ降り注いでいった。

「マジかいな……結構本気で出したつもりのアレを蒸発させるなんて、守り神のブレスってどんだけ凄い熱量やねん」

「6000℃ぐらいじゃないですか? 確かめた人はいませんけど」

「太陽に匹敵する温度やないか! そりゃ氷塊も溶け切るわ!」

ブレスをまともに喰らったら火傷程度じゃ済まないことを再認識したうちらに対し、ヴォルテールは直接攻撃を目論んだのか、その巨大な右腕を握り締めてこちらに放ってきた。超巨大質量の拳は街の建物を雪崩のようになぎ倒しながら迫ってくるが、あることに気付いたうちは全魔力とアニマの器の力を注いだシールドを展開、拳の進撃を辛うじて止めた。

「ざ、ザジさん!?」

「ふんぬぁあああああああっ!!! あ、ダメや! こんなん耐えられへんわぁ!!!」

「称賛。一瞬でも止めただけ上出来」

シールドが砕け散る寸前に、近くにいた黒い鎧の少女が爆音と同時に地面を抉りとるほどの凄い速度で突貫、土煙を背景に槍で渾身の一突きを放ち、ヴォルテールの右拳をカチ上げた直後、流れるように胴体にもスイング、ヴォルテールの体躯が空中に放り出される。

「突撃。……トドメは任せた」

盛大に土煙を浴びてせき込むうちらの向こうで、少女はなんか通信機で誰かに合図を送っていた。誰と通信したんかな、と思った刹那……。

―――キンッ!!

「…………………は?」

落下中のヴォルテールの胴体に無数の光の一閃が走った。刹那、体にまとわりついていたクロロホルルン群体が一瞬で霧散し、悲鳴のような声を上げて倒れ伏すヴォルテール。それと相対するかのごとく瓦礫の上に、刃が青く光る巨大な大太刀を持った一人の男が降り立った。そしてその後ろ姿は……サバタに非常に酷似していた。

「古の竜さえも限界を迎えたか……。……いや、違うな。身体が操られようと、心だけで今も抗い続けていたか。お前のその意思、無駄にはせん。……ネピリム!」

「了解。……あんこぉぉぉくっ!!」

彼の呼び声に答え、ネピリムと呼ばれた黒い鎧の少女は倒れてもがくヴォルテールの傍に近寄って手を当て、驚いたことに暗黒チャージを開始した。なぜサバタの暗黒チャージを彼女も使えるのか理由は不明だが、それはそれとして体内を蝕んでいた暗黒物質を失っていったヴォルテールは徐々に動きが緩慢となっていき、先程までの血走ったような表情が次第に安らかとなっていった。

「宣言。もう大丈夫、あるべき場所に帰るといい」

そしてひとしきりヴォルテールから暗黒物質を吸い取ったネピリムが暗黒チャージを止めると、ヴォルテールは石化の残る身体を何とか動かして、この街からふらつきながらも去っていった。それは少し危うげでありながら、どことなく憑き物が落ちたかのような姿だった。

何がどうしてこうなったのか状況がよくわからないが、とりあえず戦いは終わったらしい。ホッとするキャロとフリードだが、彼が現れてからうちは全くと言っていいほど目が離せなかった。うちの視線に気付いていたネピリムは、その彼と共にこちらへ歩いてくると、「追従。こっちに来て」と伝えてきた。

他に行く当てもないため、そのまま次元港の外れの方に向かっていく二人をうちらも追い掛けていったが、その道中でキャロはうちに質問を投げかけてきた。

「あの……ザジさん。なんでさっき逃げないで、防御魔法を使ったんですか? ヴォルテールの攻撃は、高ランク魔導師が全力で張った防御魔法でさえ紙のように破ってしまいます。なのにどうして……」

「あぁ、それか。うち、唐突やけど、あることに気付いてもうたんや」

「あること?」

「石化した状態で肉体が破壊されたら治るもんも治らんのちゃうか、とな。つまり石化破壊された人間はそのまま死ぬ可能性があるって考えたら……ほら?」

周りの至る所に転がっている、石化したこの街の人間達。そしてさっきのヴォルテールの拳を喰らって崩壊した建物の瓦礫。もしこれらが一緒くたに破壊されたら、石化した人間と建物の見分けがつかなくなる。それ以前に石化した人間は壊れないし死なないなんて話は聞いたことが無い以上、万が一という可能性もあった。人間としてではなく、石として生命を終える、なんてことになったら目も当てられへんからな。

それを理解したキャロはもし里の皆が破壊されてたらと血の気が引き、しかし今は治す方法を探すのが先決だと思って、焦る気持ちをどうにか堪えていた。まぁヴォルテールの件はともかく、余程の事が無い限り大丈夫だとは思うが、心配するなというのは流石に酷やね。

とにかく事態の解決に繋がる情報を早急に得るべく、うちらはあの二人に案内されるまま、次元港の外れにあった小さなハンガーまで歩いて行った。鍵がかかっていたそのハンガーの中には外装が白く染められたロケット型シャトルが凛とした佇まいで置かれていた。

「シュレディンガー。俺が所有する小型の次元航行艦だ。アウターヘブン社にあるラプラスのレプリカで、基本性能や外装などはほぼ同じになっている」

「指摘。でもOSなどのシステム面も含めてユーリ技術部長が製作したものだから、ラプラスほど特殊な能力は備わっていない。代わりに拡張性が高くなっているから、専用パッケージを装備して能力を向上させることができる」

「イモータル製のラプラスと、人間製のシュレディンガー。単一で性能が完結する万能な機体と、必要に応じて臨機応変に拡張装備を付けられる多様性のある機体。どことなく作り手の性質がうかがえるな」

確かに単体で完璧なのと、装備次第で何でもできるというのは、イモータルの自らの力のみを信じて他者の力を頼らない性質と、人間の成長性や他者との協力できる性質を体現しているようにも感じられた。

それはともかく、二人に進められるままこの機体に乗ったうちらはコクピットの後部座席に座った。そしてネピリムが助手席、サバタ似の男が操縦席に座り、エンジンを起動、船を動かし始めた。

「ちょい待ちぃ! 話を聞かせてもらえるっちゅうからついてきたのに、そのまま出発するとはどういうつもりや!」

「あの……せめてこれからどこへいくのか、教えてくれませんか……?」

「地球。次元世界のだけど、これから国連との極秘会談が行われる。元々私達はそのために移動していたんだけど、道中でとある反応……さっきの竜に憑りついていた特殊なクロロホルルンを発見したから、その対処を優先した」

「そうしたらおまえ達を見つけた、という訳だ。詳しい話は移動中に話す。アルザスがこうなった理由も含めてな」

「え、お二人はアルザスに異変が起こった理由を知っているんですか!?」

「ああ」

その一言を聞いた瞬間、居ても立っても居られなくなったキャロ。逸る気持ちのまま尋ねようとした直後、シャトルがグンッと発進し、圧力を受けた彼女は席に押し付けられていた。離陸中はシートベルトを着用していないと怪我する危険がある、なんてことを考えとったうちをよそに、シュレディンガーは次元空間へと飛び込んだ。

窓の外は変な流れが見える空間やけど、とりあえずここまで来たら操縦をオートモードにしても問題ないらしい。彼は操縦桿から手を放し、ネピリムと共にうちらの方へ体勢を向けて話をする姿勢をとった。うちらも気を引き締めて彼らの話を聞くべく、意識を集中させる。

「さて……まずは互いの自己紹介から行こう。俺はサルタナ、ラジエルの艦長だが、諸事情で今は代理の人間に任せている」

「紹介。私はネピリム、訊きたいことはたくさんあるだろうけど、ひとまず今は置いといてほしい」

「はぁ……うちは星読みのザジ。世紀末世界出身の魔女や。そんでこの子が……」

「きゃ、キャロ・ル・ルシエです……。こっちはフリード……」

「きゅる!」

一通り名前を言い合ったところで、まずはアルザスの異変の詳細を訊くことにした。個人的に知りたいことは、その後にしておこう。

「そんじゃこっから質問タイムっちゅうことで、まずはアルザスの異変について教えてもらえへんか? うちらも巻き込まれたわけやし、何よりキャロが知りたがっとるからな」

「いいだろう。……ザジ、おまえは世紀末世界出身と言ったな。ということは破壊の獣ヴァナルガンドのことは既に知っているだろう?」

「それはそうやけど、なんでいきなりあの絶対存在が話題に出てくるんや?」

「簡単なことだ。先程ヴォルテールを暴走させていたクロロホルルン、あれはヴァナルガンドから放出されたものだからだ」

……は?

「なんやと!? あのクロロホルルンはヴァナルガンドから出たもの!? せ、せやけどあれはカーミラが虚数空間に石化封印したってシャロンから聞いたで!? どないなっとるんや!?」

「そう、事は4年前のP・T事件で、ヴァナルガンドを虚数空間に封印したところから始まる……」

それからサルタナは誰も知らなかった真実を語りだした。P・T事件以降、虚数空間に漂う存在となったヴァナルガンドは、自らを縛り付けた石化封印に抗うべくカーミラの魂と衝突している。当然カーミラは今も抵抗しているだろうが、とにかくその衝突が原因でヴァナルガンドの身体を媒介に、虚数空間に凄まじい濃度の暗黒物質が充満していった。あまりの量ゆえに次元や時間が歪み、時折虚数空間から次元世界に勝手に出てくるほどに……。

「スカルズのようにヴァランシアが変異させたのもいるが、結論だけ言えば次元世界でアンデッドやクロロホルルンが自然発生するようになったのは、虚数空間から暗黒物質が溢れてきたのが原因だ」

「さよか……。魔女一人の魂では、絶対存在を完全には抑え込めへんかったんやね……」

それに暗黒物質の濃度が高すぎると、次元や時間が歪むという話も納得できる。なぜなら、かつて存在していた死の都イストラカンは暗黒物質によって他の世紀末世界の断片を引き寄せて、その姿を構築していた。そして、アンデッドダンジョンも外に出たら罠や仕掛けが復活していた。俗に言う世紀末現象が、どうやらヴァナルガンドと虚数空間を介して次元世界にも発生しとるらしい。ヴァナルガンドとの決着がついた、4年前から……ん?

「あれ? 4年前? 2年半前の間違いちゃうんか? サン・ミゲルにシャロンが来たのが大体2年前やから、逆算したらヴァナルガンドが封印されたのはそんぐらいの時期ちゃうの?」

「む? いや、P・T事件が起こったのは俺の記憶上でも、データの記録上でも確かに4年前だぞ。2年半前の事件と言えばニブルヘイム襲撃事件、2年前では髑髏事件だが、もしやファーヴニル事変と勘違いしているのでは……?」

「いやいや、シャロンがこっちに来たのはそのファーヴニルとの戦いが終わった頃やし、勘違いする余地なんてあらへんで」

「ふぅむ……これはどういうことだ? どうして時間の認識にズレが生じる……?」

考え込むうちらに対し、唐突にネピリムが挙手して真相を話した。

「忠告。現在の次元世界と世紀末世界とでは、時間の位相が歪んできている。暗黒物質の影響かどうかは不明だけど、とにかく昔と違って今の次元世界は世紀末世界より2年ほど時間が進んでいる。この状況下でもし並行世界移動をした場合、転移中のコントロールが乱れたり、転移先の座標がおかしくなることが考えられる」

「そうだったのか。しかしネピリム……そういうことは早く教えてくれ」

そこは同感や。それと、うちらが次元世界に来る際に皆がそれぞれ分断され、転移が失敗した理由も判明した。要するに荒波の海に無理やり飛び込んだ結果、バラバラに流されてしまったようなものなんやろう。ある意味、次元世界に来るタイミングが悪かったっちゅうことやな。

「さて……互いの世界の時間は今ズレているということで話を戻すが、もしあの時ヴァナルガンドが封印できていなかったら、いくつかの世界が完全に崩壊していたことだろう。ファーヴニルを目覚めさせられたニダヴェリールのようにな。だが、封印したらしたで今度は別の問題が生じてしまったわけだ」

「それがさっき言ってた虚数空間の暗黒物質か……」

「ヴァナルガンドから放出された暗黒物質は、当然ながらヴァナルガンドの影響を強く受けている。そして長時間ヴァナルガンドの力の影響を受けたクロロホルルンは本来の性質……憑りついた対象を吸血変異させる能力に加え、かつて暗黒の戦士サバタさえも翻弄されたヴァナルガンドの破壊衝動に苛まれるようになる。そう、あのヴォルテールが暴走したのは、クロロホルルンを通じてヴァナルガンドの破壊衝動に襲われていたからだ」

「ちゅうことは、他の世界でもヴォルテールと同じように、ヴァナルガンドの破壊衝動のせいで暴走してもうた奴もおるってことか?」

「その通りだ。強力な力を持った究極召喚獣でさえも、召喚士の意思に反して暴走してしまった場面に遭遇したことがある。確か名前は……“白天王”だったか。その時に俺はたった一人で対処に動いていたネピリムと会い、辛うじて召喚士達の命を助けることはできた。同時に白天王もあるべき場所へ帰した。その後、俺にも都合や予定はあったが、融通が利く範囲でならネピリムに協力し、強化された特殊なクロロホルルン……ネピリムが“ネメシス”と呼称していたそいつの排除に動くことにしたわけだ」

「ほうほう……。ところでそのネメシスやけど、憑りつかれた存在はもしかして石化してしまうんか?」

「察しが良いな……正解だ。恐らくだが、あれはヴァナルガンドを通じてカーミラが魔女の力を使っている影響だ。吸血変異に耐え切れない普通の人間がネメシスに憑りつかれてしまったら、恐らくイモータル程ではないが、これまで現れたのとは一線を画すアンデッドに変異するのは間違いないだろう。だからそうなる前に石化させることで、肉体と精神を一時的に封印している」

「ん、一時的?」

「ラジエルにいる仲間の監察によれば、石化している状態でも太陽の光を浴び続けることで、年単位の時間はかかるがネメシスを浄化できるらしい。つまりルシエの里の石化やアルザスの異変とは、即ちヴァナルガンドの闘争の巻き添えと言っても過言ではないのだが……時間さえ置けば自然に治りはするということだ」

サルタナの話を聞いたおかげで、うちらは大体の状況は把握できた。石化はヒトを苦しめるのではなく、守るためにあえてそうしているのだと。ただ、強大な力を持った存在には石化も完全には働かず、ヴォルテールのように限界を超えて暴走してしまうと。そしてネピリムはずっと前からそれを知っていて、カーミラを手助けするように一人で対処していたのだと……。

キャロも誰かが意図的に里に害を及ぼしたのではなかった、という事を知って一応は安堵していた。しかしネメシスがルシエの里を襲ったということは、一時的に虚数空間への穴が開いたわけや。それが次元世界全体で起こってるなら、道を歩いてたり自分の家にいるだけでもいきなり虚数空間に引きずり込まれる可能性だってある。つまり、こっちの世界にはどこにも安全な場所は無いってことだ。

しっかし、これは面倒な事態に陥っとるなぁ。虚数空間にいるヴァナルガンドとカーミラに再びアプローチし、封印を改善するなり、ヴァナルガンドの力を抑えるなり何なりしなければ、根本的な原因の排除にはならへん。うちかてジャンゴやリタ達を探さなあかんねんけど、この異変の原因が世紀末世界も大きく関わっとると知った以上、うちも見過ごす訳にはいかなくなった。それに何より……サバタの運命を歪めた破壊の獣に対しては、うちも思う所があるからなぁ。キャロもこの事態を解決して皆を助けたいのか、うちの目を見て頷いた。

「……なぁ、この異変の対処にうちらも協力できへんか? 一応戦力になると自負はしとるけど、どうや?」

「お前が望むなら構わないが……キャロは駄目だぞ」

「……え? わたしは駄目なんですか?」

「当たり前だ。この件に関わるということは、命懸けの戦いに乗り出すことを意味する。その覚悟も無い未熟者に戦わせるほど、俺は外道じゃない。この事態を解決したい気持ちは察せるが……やはり力不足は否めない。はっきり言わせてもらうが、俺の目の届くところでは相応の実力を持つ者じゃない限り、戦場には決して出さないぞ。ひよっこを戦わせたところで犬死が増えるだけだからな」

「そ、そうですか……。そうですよね……わたしなんて、皆さんと比べたらはるかに弱いですもんね。でも……それならサルタナさんに認められるぐらい強くなれば良いんでしょうか?」

「まぁ、間違ってはいないな。しかし俺の求めるハードルは相当に高い、それでもやるのか? そもそも疑問なんだが、おまえは強くなりたいのか? 強くならなければならない理由があるのか?」

「わたしは……ごめんなさい。まだ、わからないです」

「だろうな、おまえは状況に流されるままで、自分のやりたいことが見つかっていない。だから何もわからなくて当然だ。……安心しろ、別に俺達はおまえを見捨てたりはしない。異変は俺達で対処するから、おまえはただ、これを機に自分のやりたいことや、したいことを見つければいい」

「やりたいこと……。……わかりました、少し探してみます」

力になれないことをちょっとだけ落ち込みながらも、キャロはサルタナの言外に秘めた優しさを受けて微笑みを浮かべた。少しキツイ言葉遣いやけど、サルタナはキャロの召喚士としての高い才能を求めず、子供らしく視野を広げるように言ったのだ。子供のうちに色んなことを知っておけば、成長した後にその経験が活かせるようになる。未来でどうしたいか選択肢を増やすことができる。きっかけこそアレやけど、この旅はキャロの見聞を広げる良い機会にしようとしたんやね。

「とりあえず、これでアルザスの異変についておおよその説明はしたはずだ。他に質問は?」

「じゃあサルタナにズバッと訊きたいことがあるんやけど、ラジエルの艦長ならエレンのこともよく知っとるはずやな? あいつは今どこにおるん?」

「エレンの居場所は訳あって言えん」

「訳?」

「こっちの都合という奴だ。達者でやってるのは間違いないがな」

「……フラれたんか?」

「なぜそうなる……全然違う。単に別件で違う場所にいるだけだ、連絡は時々している。ま、時が来れば自ずと会える、あいつと話したいならそれまで待ってくれ」

「な~んか誤魔化されてる感が半端ないけど、いずれ話せるんならそれまで待ったるよ。うちばかり待たされるのはよくあることやしな。ま、そっちはそれでええとして、アイツに訊くつもりだったことは代わりにあんたに訊かせてもらうで」

一拍置いて、うちは真剣な目でサルタナに面と向かって尋ねる。

「―――なぜ、あんたらラジエルは……オーギュスト連邦は管理世界を切り捨てるような真似をしとるんや?」

「……」

「ずっと疑問やったんよ。いくら世界大戦を起こさないためだからと言っても、管理世界が困窮しとる原因をどうにかせえへんと、いつまで経ってもこの冷戦状態は終わらへん。あんたらが現状を維持するために必死なのも知っとるけど、だからと言ってこのまま手をこまねいてるような連中やないこともうちは知っとる。今のラジエルは一体何を考えて動いとるのか、うちが納得いく説明をしてもらえへんか?」

「……なるほどな、意外と物事を見る目はあるらしい。ひとまず誤解を先に解いておくが、俺達は別に管理世界を見捨てたわけじゃない。事態が動く前に無関係な連中を巻き込まない位置に動かしているだけだ」

「巻き込まない位置?」

「例えるならそうだな……ここに二つの国、“A国”と“B国”があるとする。目立った国交は無いが、戦争はしていない隣国だ。ある日、A国はテロリストによって密かに持ち込まれていた核兵器を発見、鹵獲する。当然、そこにあるだけで害があるから解体して無害化する必要があるわけだが、そいつには触れるだけで爆発する危険があった。もし核兵器が爆発すれば、B国にも甚大な被害が出る。だったら解体処理を行う前に万が一に備えて、無関係なB国の人間を避難させておく必要があるとは思わないか?」

「それは……そうやな。……ああ、大体察したで。これから近いうちに管理世界で“A国の核兵器”にあたる何かが起こるから、それに巻き込まれないように“B国こと管理外世界”をオーギュスト連邦という安全地帯に避難させているっちゅうわけか。でもそれだとB国の人は助けられても、A国の人は見捨てるってことにはならへんか?」

「そこが誤解だと言っている。確かにB国を避難させた後、そのまま自分達も避難するのなら確かにおまえの言う通りになるだろう。だが、A国も助けるつもりで動いているのなら、それは見捨てるということにはならない。……一度で全てを助けられるなら、その選択をしてほしいかもしれない。しかしそれが成功する確率は大抵の場合、天文学的に低いものだ。そして失敗すれば全てが無に帰すとなれば、勝手に命を懸けられた無関係な連中からすれば、どうして自分達に一言の相談もせず、その成功率の低い選択をしたと恨まれても文句は言えないはずだ」

「つまりアレか? ラジエルは最悪の事態に備えて、被害や犠牲が最小限になるように、段階を踏んで助けていってるってわけかいな? 100かゼロか……勝利か、さもなくば死しかない……というギャンブル性の高い勝負をするのではなく、もし負けたとしても40か60は残るようにしてから、次に100が助かるように動く……。なんちゅうか、めっちゃ面倒やけど合理的な理由で動いとるんやな……」

「一度に全てを救おうとすること自体を否定するつもりはないが、出来るなら最悪の可能性も考えて事前に巻き込まないようにした上で挑んだ方が良いはずだ。……話を戻すが、オーギュスト連邦という避難所(ヘイブン)を用意できた今、俺達は次の段階へ動き出している。“A国の核兵器”……つまり、これから管理世界で起こる壊滅的事態の阻止、もしくは被害の軽減のためにな。俺達の掴んだ情報では、今から一ヶ月後に管理世界が滅亡しかねないほどの大事件が起こると見込んでいる。だからその大事件の前に出来ることをしているのだ」

「なるほど……ラジエルを世界大戦阻止の役目に徹させたから、サルタナとエレンは影で別の行動をして、世界の崩壊を食い止めるのに専念しとるっちゅうわけか。……ところで、一ヶ月後に何が起こるんや?」

「イモータルとの停戦協定の調印式だ」

「!? 停戦って、イモータルが……!?」

「信じられないのも無理はない、だが事実だ。なにせこの話を持ち出したのはイモータルの大将、公爵デュマなのだから」

「公爵……」

一瞬、伯爵のことを思い出したが、どちらも爵位を持ってるだけで別に関係は無いはずだろう。というか、イモータルが爵位を持ってることには何かしらの意味があるのだろうか?

「調印式もまだ正式に決まったわけではないが、今の管理局は疲弊し過ぎている。そんな状態でこの話を持ち出されれば、受ける以外の選択は出来ないだろう。だが、俺は調印式が滞りなく進むとはどうしても思えない。そもそもデュマが管理局の人間に直接接触を図ってきた時点でおかしい」

「なんでや?」

「なぜなら、こんなことをせずとも奴は既に管理局を手中に収めているからだ。髑髏事件でスカルフェイスが大立ち回りをしている間、デュマは混乱の最中であった管理局本局に侵入し、最高評議会を暗殺、奴らの権限などを全て掌握した。最高評議会は既に肉体が滅びて脳しか残っていなかったが故にその姿を全く人目に晒さなかったが、そのせいで今の管理局は自分達の懐……と言うより頭脳にデュマが潜んでいることに全く気付けなかった。これまで続いていたイモータル襲撃も、奴にとってはただの戯れ……いや、“報復”なのだろう」

「?」

デュマについて何か知っているらしいサルタナは一瞬、物憂げな表情を見せたが、すぐに普段の仏頂面に戻った。彼が何を知ってるのかわからないが、なぜか妙に不機嫌そうだから今は追及しない方が良さそうや。

というかむしろ、管理局がとっくにイモータルに乗っ取られてることの方が問題やろ。なにせ全ての情報が筒抜けなんやし、命令系統などを上手く使えば思うがままに局員をコントロール出来てしまうんやから。……ん?

「あれ? じゃあなんでデュマはわざわざ停戦協定の話なんか持ち出したんや? 確かにおかしいわ」

「だから俺達もこの停戦協定に何かしらの罠や策があると踏んでいる。だが、デュマは管理局がこれまで確保してきたロストロギアを秘密裏に手にしたとの情報があり、迂闊にこちらから接触を図る訳にはいかなくなった」

「サルタナがそこまで警戒するほどのモノとは、デュマは一体何を手に入れたんや?」

「奴が手に入れたのは“ロストロギア・ドッペルゲンガー”……それは“直接会った相手を模写できる”……わかりやすく言うと“他人への変装道具”と表すべき代物だ」

「なんかどこかの怪盗が持ってそうな能力やな……。って、それってマズいやん!」

探偵もので言うなら、『犯人はこの中にいる』。怪奇もので言うなら、『この中に一人偽物がいる』。こんな感じで、普段何気なく接している友人や家族がいつの間にか別人に入れ替わり、変装して嘘を伝えたり攻撃したりすることで本人の信用を落とす。信じていた者からの裏切り、それは疑心暗鬼による人間関係の崩壊。連日の襲撃もキツイだろうが、身内に間者が紛れ込んでいて、日夜暗殺を警戒しなければならないというのも、それはそれでキツイに違いない。

他にも停戦協定の話を持ち出した時にその場にいた人間のことを考えると、その人物に変装して管理局を内側からボロボロにされる可能性もある。とにかく、デュマに会ったことがある人間は全員、デュマが変装してる可能性が浮かんできたわけだ。

「『仲間を疑え』と言うのは簡単だが、あいつらにそれが出来るかと言われれば、十中八九無理だろう。だから俺達は現在、デュマを確実に仕留められる時が来るまで、奴と接触しないことを重視している。一度きりの戦闘で倒しきらないと、奴の脅威は倍加していくからな」

なるほど……今回のイモータルはマジで嫌な所をかき乱してきとる。しっかり準備を整えてから挑まないと、相手に手札を与えるだけになる。まあ、信頼度が高い相手なら変装を見破れる可能性もあるかもしれへんけど、知り合いに常に疑いの目を向け、いざという時は本気で戦いを挑むのは誰やろうと気が引けるだろう。それも性根が優しい奴ほど、やりにくいというなぁ……。

まあとにかく、サルタナやエレン達ラジエルがオーギュスト連邦だけではなく、ちゃんと管理世界の人達も助けようと動いてると知れたのは大きな収穫やと思う。彼らの信念は、昔から何も変わってはいないのだと。

「……ラジエルのことは、今はこれでええか。じゃあ次はネピリム、あんたはもしかしてサン・ミゲルでヨルムンガンドの力を奪い、ジャンゴ達を連れて行った少女なんか?」

「正解。ヨルムンガンドのことはともかく、太陽の戦士ジャンゴをこの世界に連れてきたのは、彼にはこの次元世界でやってもらわなければならないことがあったから。実際、彼がいなければ髑髏事件は解決できず、次元世界は滅亡していた……」

「ま、マジか……。ジャンゴも相変わらず大変な目に遭っとるんやなぁ……ちゅうか髑髏事件解決の貢献者ってあいつやったんかい。まあ詳しい話はいずれ訊かせてもらうとして、あんたはジャンゴ達の居場所を知らんか? うちらはあいつらも探しに来た訳やから、せめて行方ぐらいは把握しときたいんや」

「返答。彼らの居場所は、今は知らない」

「は? 今は知らないって、どういう意味や? つまり前は知ってたっちゅうことか?」

「説明。2年前の髑髏事件の頃は、私も彼らの居場所は把握していた。だけど事件解決後に起きた爆破テロのせいで、彼らの行方はわからなくなった。もしかしたら次元世界のどこかで治療中かもしれない、世界を股にかけてどこかで今も戦ってるかもしれない、とっくに世紀末世界に帰ってるかもしれない。だけど万が一の可能性として、彼らはもうこの世に……」

「いや、最後のはあり得へんね。あいつは殺しても死なない奴や。なにせいっぺん死んでも、記憶喪失になって蘇ってきたほどやしな。せやからうちとしては、どこかで今も戦ってるって線が最もあり得ると思っとる。まぁ、うちらのような知り合いに連絡してないことには少し文句言いたいけどな」

「疑問。それは信頼からくる言葉?」

「一応、そうなるんかな。ジャンゴは絶対存在と二度も戦って生き残った太陽の戦士で……うちが知らない間にどこかでくたばってるようなバカやない。……せや、これ以上、大切な誰かに勝手に死なれたら、うちは……うちは……」

「……」

「……っと、変なとこ見せてもうたな。まぁどうせどこかで隠居しとるだけや。探し出してリタでも押し付けてやれば、空元気ぐらいは見せてくれるやろ。それまでせいぜい怠けとけばええわ」

「……」

一瞬、サバタのことを思い出して暗い表情になったうちはすぐに取り繕ったような顔でジャンゴの居場所を気にする言葉を言ったが、怪訝そうな表情をネピリムは崩さなかった。

「……そろそろ次元空間を出る。俺が国連との会談を行ってる間、おまえ達は隠れ家で適当に暇でも潰しておいてくれ」

サルタナが操縦席に戻り、シュレディンガーの操縦をオートモードからマニュアルモードに切り替える。隠れ家までの案内はネピリムがしてくれるんやろうけど、それよりうちは次元空間を出た直後に映った、宇宙から見た地球の姿に言葉を失った。

青くて綺麗な海。真っ白で躍動感が伝わってくる雲。ありとあらゆる存在を受け止める荘厳な大地。この真っ暗な宇宙でポツンと浮かびながら、必死に生きている星……。これが……この世界の地球の姿だった。そして……世紀末世界の地球も、宇宙から見れば同じくらい偉大な姿だったのだろうと思うと、自然とうちはサン・ミゲルの皆に想いを馳せていた。



シャトルが大気圏に突入し、そのままうちらはアメリカという国のとある空港に着陸した。事前に会談へ参加することが伝えられてるのか、もしくはいつでも隠れ家に戻れるように以前から借りていたのか、シャトルは専用のハンガーに移動し、うちらもサルタナの連れとして陸に降り立った。ちなみに地球に竜なんていない以上、人目について騒ぎになったら色々面倒なのでフリードには認識阻害魔法をかけておき、ひとまず魔法がかかってる間、一般人にはフクロウやワシといった大型の鳥類に見えるようにしておいた。

「おお、違う世界から遠路はるばるよく来てくれたね」

空港に降りた後、国連の議員の関係者らしいご老人がうちらを出迎えてきた。スーツを着て杖を突いて歩くその人は、「私は国連安保理の補助機関に所属している、ロイ・キャンベルだ」と自己紹介し、そのままうちらにはわからない色々難しい話をサルタナと始めた。ネピリム曰く、サルタナはこれから直接国連の会議に参加するから、うちらは隠れ家で適当に待ってるように、とのこと。
なのでネピリムは隠れ家までの足を確保するべくタクシーを手配しに行き、ターミナルのど真ん中でやる事もなく手持ち無沙汰になったうちらは、ネピリムが呼びに来るまで適当に辺りをうろついた。空港だからなのか色んな店があり、料金も安いらしい。

なんてことを思ってると、キャロがとある店をジッと見ていた。そこはアイスクリーム屋で、色んな味のアイスを販売していた。……そういやジャンゴに一度ソーダ味のアイスバーをもらったことがあるけど、食べたら冷たくて甘くて美味しかった。あれとは別のアイスなのかと思うと、キャロと同じようにうちも食べてみたくなってきた。でも、うちはこっちの世界のお金を持ってな……あ。

ピンポンパン♪

『いらっしゃいませ、暗黒ローンです。本日はどのような要件ですか?』

「今日は引き出しや。うちのソル残高から500ドルほど両替して引き出してほしいんよ、暗子ちゃん」

『500ドルですね、かしこまりました。現在の1ドルのレートは0.95ソルなので、475ソルの両替、および引き出しとなります。ご利用ありがとうございました!』

475ソルか……そういやジャンゴはソル・デ・バイスの弁償代がまだ残ってたなぁ、なんてことを思い出したが、とりあえず500ドルが入った袋を受け取った。そこそこの出費にはなったが、ひとまず当面のお金は工面できた。

「キャロ、どのアイスが食べたい?」

「え、いいんですか!? じゃあ……」

「「これ!!」」

元気よくバニラ味を指さしたキャロの隣で、偶然同じタイミングで声を出した男の子の指が同じ場所に伸びていた。その男の子は白っぽい銀髪が若干上に向かってて、手にプラスチック製のおもちゃの刀を持っていた。互いにポカンと見つめ合うキャロと男の子やけど、後ろから男の子の母親らしき黒髪の女性が慌てた様子でやって来た。

「ごめんなさい、いきなり割り込んでしまって……」

「いやいや、何が食べたいか聞いてただけやし、邪魔したわけでもないので、あんまし気にせんでええですよ」

「そうですか……それでも順番は守るようにこの子にちゃんと言っておきますので。……ジョン、ちゃんと謝れる?」

「うん。……順番守らなくて、ごめん」

「あ、あの……わたしも驚いただけですから、そんな謝らなくても……。そ、それよりアイス、一緒に食べませんか? みんなで食べればきっと美味しいですよ」

わたわたしながらも出したキャロの心優しい提案にうちも女性もつい穏やかな表情を浮かべ、とりあえずバニラ味のアイスクリームを4人で購入した。近くのソファに座って仲良くアイスを食べ始めるキャロとジョン、そんな二人を眺めて全く知らない者同士、それも住んでた世界が違う者同士でもあんな風に笑い合えるのだと思うと……大袈裟かもしれへんけど、あの子達のように手を取り合えるのなら世界はもっと良くなる、そんな気がしてきた。

「ほんま、子供の笑顔って、不思議な力があるなぁ。守ってやりたくなるっちゅうか、元気をもらえるっちゅうか……」

「そうですね……あの子は私にとって、太陽みたいな存在ですから。私はいつか、その太陽が雨に光を与えてくれる、そんな日が来ることを願っています」

そう言って誰かに想いを馳せる女性やけど、雨に光なんて、ちょっと不思議な表現やな。

「僕ね、アニメのヒーローみたいになりたいんだ」

「ヒーロー、ですか?」

「うん。弱い人を助けて、強きをくじく。皆が幸せに暮らせる世界を守る、そんな正義の味方になりたいんだ」

「へ~、なんだかカッコイイです。頑張ってくださいね!」




アイスを食べ終えたうちらは二人と手を振って別れ、ターミナルへ戻ると丁度いいタイミングでネピリムが呼びに来ていた。そんなわけでタクシーに乗って、うちらは空港を離れた。後ろ窓で遠ざかる空港を眺めながら、うちは置いて行ったサルタナのことを気にしてたけど、立場が偉くなると色々やる事も多いんやなぁと、どこか他人事のように感じていた。

「政治に興味が無い人が議員を見てる時の気持ちって、大体こんな気分なんかな?」

「忠告。世界の情勢を知らなくても別に死にはしないけど、情報戦などで必ずと言っていい程乗り遅れるから、そんな気分でいるのはあまりおすすめしない。もっと色々なことに耳を傾けておくといい」

「えっと……政治の話って、外界とほとんど接触しないまま育ったわたしにはよくわかりません……」

「助言。キャロは政治について、今は大して気にしなくていい。もっと大きくなって、色んな知識を覚えて、自分の考えがちゃんと伝えられるようになってからの方がいい。今はまだ他のことじゃなくて、自分のことに集中しておくべき。例えばちょっとした夢でもいいから、目標を見つけるとか」

「(ジョン君の言ってた、アニメのヒーローみたいになりたい、みたいなことかな?)……わかりました、わたしも、何か目標を探してみます」

妙にやる気を見せるキャロ。よくわからへんけど、あの親子との接触はキャロに良い影響を与えたのかもしれへん。空港に降りた時より前向きに頑張ろうという姿勢が見られた。

その後、うちらを乗せたタクシーはそこそこ長い時間走り続け、とある住宅街にある家の前で停止した。ネピリムが料金を払って降りると、うちらも続いてタクシーから降車。去っていくタクシーを背にネピリムが家のインターホンを押すと、少し経ってから扉が開き、中から薄い紫のロングヘアーの女性が出てくる。

「いらっしゃい、ネピリムさん。サルタナさんからしばらく滞在するとの連絡を聞いてから今か今かと待ってたわ~」

「再会。元気だった?」

「おかげさまで私も娘も元気よ。そちらはお客様?」

「仲間。これから一緒に暮らすことになる」

「そうなの。二人初めまして、私はメガーヌ・アルピーノ。わけあってここに身をやつしてる管理局の魔導師よ。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします……」

「まさか人妻さんがおるなんて知らんかったけど、ともかくお世話になります」

そう挨拶して中に入ったうちらだが、なぜかいきなり少女の高笑いが聞こえた。声が聞こえた方に向くと、2階へ続く階段の踊り場でメガーヌを小さくしたような、キャロと同年代の少女がこちらに妙なポーズを決めているのが見えた。

「我が名はルーテシア・アルピーノ! 数多の支援魔法の使い手にして、昆虫の召喚獣を操る者!」

この子は爆裂道でも突っ走るつもりなんやろうか……?

うちもキャロも呆気にとられる中、妙にイタイ雰囲気を漂わせている彼女に対し、母親はというと……、

「そんなわけで娘とも仲良くしてくれると、嬉しいわ~♪」

「あの自己紹介をスルーかいな!?」

「わ、我が名はキャロ・ル・ルシエ……! 得意な魔法はまだわからないですけど、竜の召喚獣を操る者です……!」

「いやいや、キャロも乗らんでええよ!?」

そんなこんなで、うちらはアメリカのとある住居にしばらく住むことになった。サルタナとネピリムから次元世界の現状を聞いて、先行きがとんでもない暗闇に覆われて何もわからへんのはよくわかった。けど……新しい仲間が徐々に増えつつあることに、うちはどことなく未知の世界に対する不安が払拭されていく気がしていた。こっちの世界も、きっと何とかなる。そう信じて……うちも頑張ろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ミッドチルダ北部、聖王教会病院。

「検査の結果、なのはちゃんの脳組織に異常は見られなかったわ。体の方は一応オメガソルを摂取したおかげで回復が進んできてるけど、暗黒物質の使い過ぎで削った寿命の全ては流石に取り戻せないわね」

「それでも少しは取り戻せたんやな。なんとか首の皮一枚は繋がったで……」

「うん。ただ……なのはが目を覚ましたのは本当に良かったけど、アレは想定してなかったよ……」

私の呟いた言葉にシャマルもはやても難しい表情を浮かべる。それもそのはず、2年ぶりに目を覚ましたなのはが私達を見て発した言葉に、とてつもないショックを受けたからだ。

「はぁ……なのはちゃんに『誰?』って言われるなんてなぁ……正直、今でも信じられへん。確かに私らも何かしらの後遺症はあるって想定はしとったけど、まさかの記憶喪失とは……」

「私達どころか高町家もユーノも、自分の名前すらも覚えてなかったもんね。起きてからもずっと窓の外を見つめてボーっとしてるし、ずっと上の空というか……」

「こういう言い方は悪いかもしれへんけど、心が抜け落ちてるっちゅうか、魂が無いっちゅうか、吹けば消えそうなぐらい儚い印象を抱くもんな、今のなのはちゃん」

「ええ……さっき慌てて来たヴィータちゃんもなのはちゃんに同じことを言われて呆然としてたわ。今はユーノ君と二人でどうにか記憶を取り戻せないか話しかけてるけど、全然効果が無いみたい」

深いため息をつくシャマル。はやてもどうしたらいいかわからず落ち込む中、私はそういえば同じような例が前にもあったことを思い出していた。

4年前……姉さんが幽霊だったあの頃、姉さんは魂の損傷で記憶を失って、存在も綻んでた。その損傷をサバタお兄ちゃんが月の力で修復したおかげで、姉さんは記憶と存在を取り戻せた。もしかしたら今のなのはは昔の姉さんと同じく、魂が損傷してるのかもしれない。ただ、私には魂の状態がわからないし、下手に皆に伝えて、もし間違ってたら余計哀しみが深くなるはず。

「もしかすると、月詠幻歌の回復が中途半端だからあの状態なのかもしれへん。今回目を覚ましたのは、どこかでシャロンちゃんが月詠幻歌を歌って、その余波を受けたからやと思う。ならもっとちゃんと聞こえる所で歌ってもらえば、あるいは……」

「なるほど、直接聞かせれば治るかもしれない可能性は確かにあるわ。結局の所、シャロンを探して歌ってもらうことに変わりはないのね」

二人の出した結論は、ある意味間違ってないのだろう。だけど、わざわざ彼女を探し出して連れてくるより、彼女が歌ってる所にこちらから紛れ込んだ方が穏便に済むのではないか、と私は思った。あまりシャロンを刺激しない方法の中では、これが一番良いかもしれないけど……早くなのはを治してあげたいというはやて達の気持ちもわかるから、何とも言えなかった。

その後、病院から出た私達はそれぞれ行動を始めた。はやてはシャロンの捜索、ユーノはなのはの看病、ヴィータ達も本来の業務に戻る中、私は一人考え事をしながら、そこそこ大きな池がある公園に向かっていた。

というのも、先日の襲撃でフレスベルグが現れたのはこの公園で、あのイモータルが最初に目的にしていたものが何なのか捜査に来たのだ。猛毒の羽は一枚残らず掃除されたが、戦闘の跡はまだ残っていて、特にこのベンチなんかは凄まじくボロボロになっていた。

「もしかして、このベンチに座ってた人が狙いだったとか?」

なんて冗談を口にしてみたけど、実はこの時の私は的を射た発言をしていたらしい。尤も、それを知ったのは割と先だったが。

次に私はフレスベルグと交戦を始めた場所へ向かった。そこは何の変哲もないただの道路だが、電灯が一本、真ん中がへし折れた状態で倒れていた。恐らくこの電灯がフレスベルグに電気ショックを与えたのだろう。それにしても、この電灯の根元の切り口……凄まじい切れ味の何かで斬られたように見える。それこそ、魔力を帯びた刃物以上に……。

「まさか高周波ブレード……? でもこんな武器持ってる人間が、ミッドにいたっけ? ……ん?」

ふと顔を上げた私は、点々とした血の跡が歩道部の上に残っていることに気が付いた。その血の跡は向こうの路地に続いてて、途中でちょっと広がっているのを最後に途切れていた。一体、この血は誰のだろう……?

「ほう? 近頃話題の執務官殿がこのような辺鄙な所で調査か? 誰もが街の復興に忙しいというのに、管理局は随分と暇を持て余しているのだな」

こちらを苛立たせるような言葉と共に路地の向こうから現れたのは、カソックを着た男だった。彼はドレビン……本来は武器商人だけど普通の商品も売ってるし、かなりの情報屋でもある。正直、こういう手合いは私達にはかなり苦手なんだよね……。

「あいにく、私はドレビンに頼む事なんて無いよ。別にあなたを取り締まるつもりはないけど、調査の邪魔だけはしないで。時間を無駄にしたくないから」

「時間を無駄にしたくないなら、なおさらこの話を聞くべきだ。その血を流した人物の情報、欲しくは無いか?」

「ッ……ほんと商売上手だね、こっちのことを的確に見抜いてくるなんて。で、いくら出せばいいの?」

「おまえが妥当だと思う金額次第だな」

つまりこっちの誠意がどれだけこもった金額なのかによって、情報が変わるってことだ。ちょっと胡散臭い彼を頼るのは気が引けるけど、これまで情報が間違ってたことはほとんどない。……仕方ない、心づけ程度には支払っておこう。

「ふぅ……執務官のくせに、たったこれだけしか払わんのか……もっと貢献してほしいものだ」

「文句言わないで……今の情勢のせいで、私達も収入が少ないんだから。それで情報は?」

「……その血を流した者はフレスベルグの毒に侵され、ここで力尽きて倒れていた。それを見つけたとある局員は、ミッド北部のアウターヘブン社が協力している医療施設に運び込んだ」

「フレスベルグの毒に侵されて即死しないなんて、その人かなりの耐毒性を持ってるようだね。それで他には?」

「これ以上のことを知りたいのなら、先に払うものがあるだろう?」

「え、さっきお金払ったじゃない……」

「あれっぽっちの金額で話せるのは、今の情報までだ。もっと詳細を知りたいなら、さっきの3倍は払ってもらわんとな」

3倍……ちょっと家計に痛いけど、仕方ない。今日の晩御飯は半額弁当にしよう……。
渋々払うと、ドレビン神父はニヤリと嗤った。あぁ、また私の財布に冬が訪れる……。

「クックックッ……まあいい。医療施設に運び込まれたその人物だが、治療の甲斐あって命は助かった。その後はどうやらアウターヘブン社の首輪付きことケイオスが面倒を見ることになったようだ」

「ケイオスが……これはこれで面倒なことになったかも。彼、あんまり私達と話そうとしないから……」

「ま、彼はお前達にあまり良い感情を持っていないからな。当然の話だ」

「良い感情を持っていない? どうして?」

「それは彼の過去……恩人が関係している。聞いたことは無いか? 管理外世界で有名な噂となった、幸福を運ぶゴールド・フォックスことマキナ・ソレノイド。旅の最中で彼女に命を救われた者はかなりの数に上る。戦闘、説得、医療、薬剤……あらゆる手を使ってな。そして……」

「その救われた者の一人が、ケイオスってこと?」

「彼は自らが生きる理由を彼女にもらった。彼にとって彼女は誰より特別だった。彼女のためなら自らの命を簡単に投げ捨てられるほど。だが、そんな彼女はどこかの誰か(高町なのは)に殺された。理由があったとはいえ、彼女の死は彼にとっては生き甲斐を奪われるも同然だった」

「……」

「だが生前の彼女と交わした約束が、彼にもう一つの生きる理由を与えた。彼女の意志を代わりに叶えること。そしてその約束は……実を結びかけている」

「実を結びかけている……? まさかケイオスが面倒を見ることになった人物って、シャロン・クレケンスルーナ!?」

今の話を聞いて、一気に情報が繋がって来た。先日の襲撃でニーズホッグとフレスベルグに狙われていたのは、シャロンだった。彼女は奴らから必死に逃げ続け、ここで一度力尽きたのだ。それをとある局員が救出してアウターヘブン社の医療設備に運び、そして治療を受けた彼女にマキナへの恩があるケイオスが護衛に着いた。じゃあ今シャロンはケイオスと共にいるってことだ……!

あ、でも……ケイオスが私達に良い感情を持っていない理由も同時にはっきりした。そりゃあ恩人を殺した人と親しい人間に自ら近づこうとは思わないよね……確執が起こるのが目に見えるし。それに約束の件もあって、シャロンが嫌がることでもしようものなら彼がキレる可能性だってある。うわぁ、これはマズい。

なのはを助けるにはシャロンの力がいる、でもなのははマキナを殺した。マキナと唯一同郷の友であるシャロンと彼女への恩があるケイオスに、なのはを治すようにお願いするのは、爆弾の山の中に火を投げ入れるも同然の行為だった。

「あぁ、なんだか今いる場所が地雷原の中心だって言われた気分だ……。しかも仲間はそれを知らずに動いてるという……もうどうしたらいいの……」

「全員で盛大に地雷踏んで爆発すればいいだろう。そうしてもらえた方が私は愉しみを味わえるのだがな」

「一切合切吹き飛ばすつもり……!? あ、そっか……武器商人としては火種が燃え上がった方が商売繁盛するんだね……。はぁ、この情報をはやてに伝えるより先に、私が現状を少しでも改善しておかないと、両者の間で衝突が起きかねないや……」

「クックックッ……今お前に教えたのと同じ情報を、夜天の書の主たちにも伝えても良いのだぞ? 彼女達から見れば喉から手が出るほど欲しい情報だろうしな、情報料もそれなりに積んでくれるはずだ……」

「あ~もう! 口止め料を払えってことでしょ! わかったよ、これだけ払えば今の話を他に話さないでいてくれる!?」

「毎度ありがとうございます。今後ともごひいきに……クックックッ……」

財布の中身全部を差し出すと、ドレビン神父は腹が立つ満面の笑みを浮かべてそれを懐にしまった。あぁ、これで当分の食事はおにぎり一個か……グスン。

「そうそう、彼らの前では嘘をつかない方が良い。燃やされるかもしれないからな」

「わけのわからないこと言ってないで、もうさっさと帰って……」

それに私は嘘をつくつもりはない。はやてはやるかもしれないけど、私はあまり腹芸とかは得意じゃないし、むしろ相手の心に近づくにはこちらの気持ちを素直に示す必要があると思う。だから今の忠告は大して気にしていなかったけど、それがとてつもなく重要だったことに気付いた時は、もう全てが手遅れだった……。
 
 

 
後書き
レイ・ロード:ゼノギアス エリィのエーテル。ここでは成功率は関係ない安心設計です。
ヴォルテールと白天王;キャロとルーテシアの究極召喚獣ですが、ここでは頼れない状況になってます。
シュレディンガー:ボクタイDSより、ボス機体。今回は味方です。装備が増えるにつれて逆に弱くなるボスですが、原因は操縦者にあります。
ネメシス:次元世界にアンデッドが現れるようになった伏線の回収。ちなみにこの名前は復讐の女神から付けましたが、なんか某追跡者を出したくなります。スタァァァァアッズ!!
ドッペルゲンガー:ザジ視点なら傍観者、シャロンとフェイト視点なら当事者という感じです。潜在的な脅威への恐怖を醸し出せれば幸いです。
仲間を疑え:MGSV TPPの2章より。
ミラー「いいか、仲間を疑え。そして疑わしきは告発しろ。それこそが俺達を守る唯一の方法だ!」
ロイ・キャンベル:MGS4より大佐。ちなみに現在はAct1のブリーフィング前の時期です。空港でザジ達が会ったのはローズマリーとジョンです。
アルピーノ親子:サルタナに救出された後、隠れ家に滞在しています。ちなみにルーテシアはStSを通り越してVivid寄りの性格になると思います。
なのはの記憶喪失:エピソード1のアリシアと同じです。


ザジのパーティメンバーにサルタナ、ネピリム、メガーヌ、ルーテシアが加入しました。
……戦力過多?
なお、サルタナとエレンの出会いはエピソード・ゼロで、マキナとケイオスの出会いはエピソード1.5みたいな位置にあります。
最近、この小説のはやて達が原作のはやて達と会ったらどうなるんだろうと想像しちゃったりしてます。これまでの経緯も考え方も戦闘スタイルも色々異なりますし、何らかの形でGODと絡ませてみてもいいかなと考えています。
 
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