夢幻水滸伝
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第十一話 岐阜城にてその十七
「それで」
「話、詳しく聞こか」
綾乃はその中里にこう答えた。
「話を聞かんで戦を続けるのもよおないし」
「それでやな」
「そや、ここはまずはな」
「話を聞いてやな」
「それからや」
「それでは」
翼人は綾乃の返事に笑みになり応えた。
「すぐ我等の棟梁にお伝えします」
「それでやな」
「三方が顔を見合わせてです」
そのうえでというのだ。
「お話をしましょう」
「ほなな」
関西の方は承諾した、そして東海の方もだった。
戦を中断してだ、坂口は即座に雅と正宗に人をやって岐阜城に戻してそのうえで北陸の使者の話を聞いた。場所は天守閣だった。
その天守の三階でだ、坂口は北陸からの使者に問うた。
「戦を止めて話をしてこっちに利があるぎゃ?」
「はい」
使者は坂口の問いに即答で答えた。
「間違いなく」
「そしてそのことをだぎゃな」
「棟梁はお話されたいそうです」
「あいつはいつもこうだがや」
坂口は使者の言葉を聞いて苦笑いになった。
「何かっていうと世話を焼くだがや」
「そうした方なのは事実ですね」
雅も少し苦笑いになって述べた。
「世話焼きな方です」
「身内にも僕等にもだがや」
「そうですね、しかし」
「この話はだぎゃな」
「聞かれるべきです」
雅は軍師として坂口に言った。
「ここは」
「私もそう思います」
「拙僧もです」
滝沢と正宗もこう言った。
「まずはお話を聞きましょう」
「それからどうするか決めてもいかと」
「話を聞くのは人の基本だがや」
芥川もこのことはわかっていて言った。
「ではだぎゃ」
「戦は中断ですね」
「一時にしても」
「そうするぎゃ」
こうしてだ、双方一旦兵を退いた。そのうえでだった。
北陸を仲介役として会談に入った、その場jは岐阜城の正門の前だった。そこで中里達と坂口達は対したのだった。
するとだ、芥川が苦笑いでこう言った。
「戦の場で会わんと気楽やな」
「ああ、お互いな」
坂口が芥川に応えた。
「そうだぎゃ」
「自分等のことは嫌いやない」
芥川はこう坂口に言った。
「そやから配下にしたいんや」
「気が合うぎゃ、こっちもぎゃ」
坂口も言う。
「そう思ってるぎゃ」
「そうか、神星をか」
そうだぎゃ、名古屋人の意地にかけてぎゃ」
「ほな名古屋城で城下の盟誓わせたるわ」
「都でそうしたるぎゃ」
言い合う二人だった、だが。
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