夢幻水滸伝
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第十一話 岐阜城にてその十三
「これを使って何としてもぎゃ」
「はい、防ぎますか」
「そしてそのうえで、ですね」
「守りきりますね」
「そうするぎゃ、だからおみゃあ達もぎゃ」
城を守る将兵達もというのだ。
「頼むぎゃ」
「承知しております」
「陸から来る敵も空から来る敵もです」
「両方凌ぎます」
「何としても」
「そこを頼むぎゃ」
こう言うのだった。
「そして凌いでぎゃ」
「頃合を見て、ですね」
「反撃に転じて」
「そしてまた攻める」
「そうされますね」
「そうだぎゃ」
この考えは変わっていなかった。
「わかったぎゃな」
「はい」
「無論です」
将兵達は口々に答えた。
「それではですね」
「まずは凌ぎますか」
「そうするだぎゃ、この岐阜城をわしが守ればぎゃ」
そうすればというのだ。
「誰にも攻め落とせんぎゃ」
「そうですね、棟梁が守られているとです」
「誰にも攻め落とせません
「だからぎゃ、やってやるぎゃ」
坂口も退くつもりはなかった、しかも関西の動きも読んでいた。そのうえで戦うつもりだった。
戦いの時は迫っていた、そして実際にだった。
関西の軍勢は城攻めにかかった、陸と空から一気に攻める。
麓の門や櫓にも砲撃や銃撃を浴びせる、だが中里は今は陸にいて彼等の采配を執りつつそのうえで将兵達に言った。
「砲撃はするけどや」
「それでもですね」
「この砲撃自体は」
「そや、山城を攻めてるんや」
だからだというのだ。
「高い場所には届きにくいさかいな」
「そうした大砲もないですし」
「持って来てませんし」
「そや、しかもこの山は高い」
岐阜城がある稲葉山はというのだ。
「上の方には届かん、城を占領する度に徐々に上に持ってくけどや」
「大砲自体を」
「そうするにしましてもですね」
「そこまで時間はかけん」
城の攻略自体にというのだ。
「そやから今回はあんまりあてにせん」
「わかりました」
「ほなそういうことで」
「そや、それでや」
中里はさらに言った。
「ここの采配はこれからは綾乃ちゃんが執る」
「棟梁がですね」
「そうされますか」
「僕は空に上がる」
彼自身はそうするというのだ。
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