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レーヴァティン

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第十話 巨人その十三

「しかし共にこの世界に来てだ」
「目的も同じだからか」
「死なないで欲しい」
「そういうことか」
「そうだ、御前は死ぬな」
 絶対にというのだった。
「いいな」
「この世界を救う為にか」
「絶対に死ぬな」
 一人になってもというのだ。
「いいな」
「わかった、それじゃあ御前もな」
「俺も死ぬつもりはない」
「言った通りだな」
「そうだ、だから御前も死ぬな」
「ああ、そしてだよな」
「魔神を倒す」
 それぞれ然るべき戦力を備えてだ。
「いいな」
「よくわかったぜ、じゃあ港町まで行くか」
「サラミスまでな」
「ああ、しかし空を行き来する船か」
 久志は今度はこの船について考えた、東の島に行くその船のことをだ。
「上に羽が付いていて飛ぶってな」
「書に書いてあったな」
「何気に凄い技術だな」
「この世界の技術はアンバランスだな」
「ああ、中世の欧州みたいな感じでな」
 畑もそうした感じだ、畑には牛や馬がいて三圃式で農業が行われている。彼等がデルフォイに行くまでに多く見てきたものの一つだ。
「あまり進歩していない感じでな」
「俺達の世界から見ればな」
「かなり昔だな」
「そうした技術、文明の程度だ。しかし」
「それでもな」
「そうしたものもある」
 空を行き来する船の様なものがだ。
「魔術もあれば錬金術もありだ」
「そうした科学もあるな」
「だから完全に中世かというとだ」
「また違うな」
「作物も違っていた」
 中世の欧州のそれとはとだ、久志は指摘した。
「ジャガイモやトマトがあったな」
「トウモロコシもな」
「わかるな」
「どれも当時の欧州にはなかったな」
「そうだ」
 こうした作物が欧州に入るのは大航海時代に新大陸が発見されてからだ、それから欧州に伝わったのだ。
「全くな」
「そうだったよな」
「しかしこの世界にはある」
「しかもな」
 久志はさらに言った。
「パスタもあったな」
「それもわかるな」
「ソースのあるスパゲティがな」
 ミートソースやカルボナーラ等だ、彼等がその世界で実際に村や町で口にしてきている。
「フォークまで付いて」
「どれもなかった」
「当時の欧州にはな」
「パスタは麦から作るが」
「そうした余裕も技術もなかったな」
 パスタは長い間財産と言ってもいいものだった、そこまで貴重とされていたのだ。 
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