八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百十三話 別の楽しみ方その十六
「デザートを忘れていました」
「あっ、そういえば」
「そうだったわね」
僕もダオさんも言われて気付いた。
「夕食の時に食べたけれど」
「先程はなかったですね」
「どうもワイン、特に赤を飲みますと」
そうすると、というのだ。
「最後にデザートが欲しくなりますね」
「そうそう、ビールとかじゃないことね」
ダオさんも小夜子さんにその通りだと返した。
「お米から造るお酒でも」
「日本酒等の」
「我が国のお酒もそうだし」
ベトナムのお酒もお米から造るとのことだ。
「何しろお米年に三回採れるから」
「お酒もですね」
「お米から造るのがメインよ」
「そうなのですね」
「そう、それでお米から造ったお酒を飲むと」
「どうしてもですね」
「最後に甘いものを食べる気にはなれないわね」
お酒にもデザートにも合わない、ビールを飲みながらケーキを食べるとかもう想像することすら出来ないことだ。ただ八条学園の中にある神社の巫女さん、この人も高等部の人だけれど日本酒でおはぎを食べるということをしているらしい。
「まず」
「そうですね、ですがワインですと」
「確かに赤だと特にね」
「甘いものも欲しくなりますね」
「不思議とね」
「ですから」
「これからなのね」
ダオさんも小夜子さんに応えて言った。
「デザートをっていうのね」
「そう考えています」
「それじゃあ」
「はい、今から何処かに行きますか」
「甘いものを食べに」
「イルミネーションを観ながら」
「よし、ダオはそれでいいわ」
ダオさんらしい即決だった、この人はとにかく決断力がある。しかもその決断がいいからまた凄いことだ。
その決断をしてからだ、僕に顔を向けて聞いてきた。
「義和は?」
「いいね」
言われて見ればだ、夕食にデザートを食べたし言いだしっぺの小夜子さんはさっき太ることを気にしていたことも気になったけれど。
甘いものも大好きだ、それで僕もこう言った。
「じゃあ」
「よし、イルミネーションも甘いものもよ」
「どちらもだね」
「楽しむわよ」
何だかんだでダオさん主体だった、僕達は夜のハウステンボスの中を進んでいった。イルミネーションの輝きがもう僕達を照らしていた。
第百十三話 完
2016・10・23
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