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夢幻水滸伝

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第十一話 岐阜城にてその五

「おみゃあが率いるだがや」
「私がですね」
「そうだがや、二万だがや」
 その彼等をというのだ。
「それで境を守るだがや」
「わかりました、それでは」
「頼んだぎゃ」
「そう致します」
 こうしてだ、正宗はすぐに二万の兵を率いて東に向かうことになった。甲斐の甲府城に入りそこからその甲斐と駿河、信濃の境を守ることになった。
 そしてだ、坂口は今度は自分が考えて言った。
「伊勢に向けていた一万は五千を尾張への守りに置いてだがや」
「残る五千をですね」
「美濃に入れるだがや」
 この国にというのだ。
「そうするだがや」
「一万五千の兵で、ですね」
「守るだがや」
 こう雅に答えた、腕を組んだうえで。
「そうするだがや」
「わかりました、それでは」
「伊勢は佐藤兄妹のどっちかが守っていただぎゃな」
「はい」
 その通りだとだ、雅は坂口に答えた。
「そうです」
「では、だがや」
「こちらもですか」
「尾張の守りは星の奴に任せるだがや」
「では私が」 
 雅が申し出た。
「尾張を」
「そうするだがや」
「はい、そしてです」
 雅はここで滝沢を見て彼に言った。
「滝沢君は騎馬隊を率いてです」
「そしてか」
「はい、棟梁が岐阜城をお護りしまして」
「城の外にいて何処かの砦を拠点として騎馬隊を率いてか」
「隙を見て敵軍を襲って下さい」
「わかった」
 滝沢は雅に確かな声で答えた。
「そうする」
「それでお願いします」
「岐阜城は堅城だがや」
 坂口は腕を組んだまま再びこのことを言った。
「空から来る敵への守りも固めればぎゃ」
「はい、そうそう容易には陥ちません」
「そうだぎゃな」
「山城なので砲撃にも強いです」
 高い場所にあるので砲弾が届きにくいからだ、雅もこのことはわかっていた。
「ですから」
「それで、ぎゃな」
「はい、守りを固めて」
 そしてというのだ。
「隙を見て反撃に移りましょう」
「そうするだがや」
 こう話してだ、そしてだった。
 東海の者達は今は守りに徹することにした、関ヶ原では敗れたがそれでも彼等は気持ちを沈めてはいなかった。
 そのうえで彼等はそれぞれ動いた、雅は尾張に入り正宗は兵と共に東に向かった。そうして坂口と滝沢で岐阜とその近くの砦に入った。
 戦に勝った関西の軍勢はまずは戦の後始末をした、捕虜にしたり倒した東海の将兵達を集めて傷付いた兵の手当をし死んだ兵達を復活させてだった。
 そのうえでだ、芥川は中里に言った。 
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